シナプス・マーケティング・カレッジ☆公式ブログ

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迷ったらワイルド

「迷ったらワイルド」でなければならない理由

シナプス後藤です。

先日、Yahoo!Japanの意思決定ルールについて書きました。迷ったらワイルド、というやつです。
シナプス・マーケティング・カレッジ☆公式ブログ 「迷ったらワイルド:Yahoo!Japanで考える意思決定ルールの効果」

これはとても大事なことだと思うのですが、あえて言わないとなかなかできないのも事実です。
wild


なぜなのでしょうか?

人間は不確実なものを嫌う、と言われます。特に確率がわからない不確実性、をもっとも嫌うようです。昨日の日本経済新聞朝刊に次のような記事が載っていました。

こうした予測不可能な事態が経済行動に与える影響について、最近のゲーム理論で研究されている内容を説明する。経済学では、この予測不可能な事態を「リスク」と「不確実性」という2つの場合に区別して分析する。

 リスクとは、例えばサイコロの目のように、実際にどの数字が出るのかは予測できないが、各数字が出る確率はあらかじめわかっている場合をいう。これに対し、不確実性とは、あらかじめ各数字が出る確率さえわかっていない場合をいう。例えば、次に中東で戦争が起きる可能性や、今から20年以内にタイムマシンが発明される可能性については、誰も正確な確率を見積もれない。こうした不確実性に直面した場合には「あいまい性回避」と呼ばれる現象が発生することが知られている。

 例えば、赤玉が3個と白玉が5個入っている壺(つぼ)Aと、それぞれいくつかはわからないが、赤玉もしくは白玉が合わせて8個入っている壺Bがあるとする。このとき、どちらかの壺から1つだけ玉を引き、赤玉を引けば賞金1万円がもらえるとしたら、どちらを選ぶかと尋ねると、多くの人が壺Aと答える。

 壺Aでは赤玉を引く確率は8分の3とわかっている。一方、壺Bでは全部が赤玉かもしれないし、全部が白玉かもしれないし、赤・白が半分ずつかもしれない。こうした不確実性の高い「あいまいな」状況よりは、当たりの確率の高低にかかわらず、確率がわかっている状況の方を人は好む。これが「あいまい性回避」という現象であり、「人々が不確実性に直面したとき、生じうる可能性の中で最悪のケースを想定する」という理論を用いるとうまく説明できる(イツァーク・ギルボア「意思決定理論入門」)。

ゲーム理論で考える政治・経済 (上)「不確実性」、景気に悪影響


つまり、不確実性の高い意思決定は基本的に選択しない、と言う事に他なりません。


では、不確実性の高い意思決定は基本的に選択しない、というのはいけないことなのでしょうか?
ある状況、ある意味では正しい意思決定だと思います。企業経営において不確実というのは危険であり、特にキャッシュフローの観点から考えると「良く分からないがキャッシュをショートするかもしれない」と言うような話は経営者としては受け入れられないでしょう。だから、出来る限り確実にしようとする、あるいは、「最悪の場合、どこまでリスクを想定しなければならないか」を意識することは悪い事ではありません。

ところが、一方で環境は基本的に変化していきます。大きいもの、強いものではなく、変化するものが生き残る、と言われる通り、環境に如何に適合して変化していくかが重要になります。
と言う事は、ある時点で不確実な事が確実に起こり得る、と言う事も意味します。それは、環境変化自体が確実な方向に変化するわけではないからです。


そう考えると、有る瞬間では不確実性の高い意思決定をしていかなければなりません。
ワイルドとは何か?それは、つまり、よりわからない方、不確実な方にチャレンジしていく表現のように思います。つまり、「迷ったらワイルド」と言うのは変化対応力の別な表現なわけです。


この辺の話は、Yahoo!Japanの方に聞いたわけではありませんので、それこそ不確実な話なのですが、「迷ったらワイルド」と言うのは環境変化に適合していく上で極めて重要な考え方のように思います。

迷ったらワイルド:Yahoo!Japanで考える意思決定ルールの効果

シナプス後藤です。

昨日、Yahoo!Japanの「爆速」に触れましたが、Yahoo!Japanにはもう一つユニークなルールとして「迷ったらワイルド」と言うものがあります。
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写真はWBS公式アカウント @wbs_tvtokyo から


正確には、Yahoo!Japanの方針として4つあり、
・FAST:爆速
・FUN:仕事を楽しむ
・FOCUS:得意な事に集中する
・BE WILD:迷ったらワイルド
なのだそうです。

迷ったらワイルド、と言うのは、例えば、「Yahooのポータルにクックパッドを置いていいのかな?問題が出るんじゃないのかな?」という迷いが生じた時、つまり、Go / NoGo判断や、A案とB案の比較で決めきれず迷った時には、よりワイルドな方、つまり、「ワイルドにクックパッドと提携してしまえ」となるわけです。(*1)


意思決定は通常、トレードオフのどちらを取るか、と言う議論です。例えば、ハイリスクハイリターンとローリスクローリターンはどちらが良いか?という選択ですね。
同じリスクでハイリターンとローリターンの案件があったら、誰でもハイリターンの案件を選択します。これは意思決定でも何でもなく、判断、作業の範疇です。意思決定と言うのはどちらが良いかわからないから決めるわけです。


しかしながら、どちらが良いかわからない、と言う事は迷うわけです。その時に、どういう選択をするか、は多くの場合、個人のセンスに任されます。ただ、企業文化がしっかりしている企業ほど、意思決定の際、どちらを選択するかが明確だったりしますね。つまり、誰が意思決定しても同じ結果になる、と言う事です。
例えば、保守的な企業が有ったとしましょう。一般的には社会インフラを担っていたり、金融機関だったりすると体質としては保守的になる傾向があります。これは失敗するとダメージが大きい業種であるためです。また、エンターテイメント業界だと革新的であることが多いですね。これはもともと当たり外れが大きい業界なので、失敗が当たり前な一方でチャレンジすることで利益が生まれるからです。

つまり、
A案件:ハイリスクハイリターン
B案件:ローリスクローリターン
だった場合、社会インフラ系企業であればB案件を、エンターテイメント系企業だとA案件を選択しやすい、と言う事です。

これは、「迷った時にどうすべきか」という基本的な考え方が従業員に刷り込まれているからですね。


まだ企業文化として固まっていない場合や変えたい場合にはこの判断基準を明確にしてやる、と言うのは非常に効果が高いやり方です。
例えば、シナプスの場合は、「迷ったら変える」というルールがあります。普段はあまり言いませんが、自分自身で悩んだ時、あるいは上司と話をしていて2人で悩んでいるときには「迷ったら変える」というキーワードを言ったりします。


意思決定の方針が明確になっていると言う事は、トップから末端まで迷った時に同じ方向に進みやすい、と言う事でもあります。
迷った時に何を根拠に意思決定をするのか、こういったルールを明確にしておくことで組織全体が進むべき方向に進んでいく、そんな効果があるのだと思います。


*1:クックパッドの事例は、Yahoo!Japan CMOの村上さんが講演で話されていたのを聴いて引用しました。
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