シナプス後藤です。

最近、「新規事業を構築する」というテーマのワークショップ型研修が増えています。
新規事業開発ワークショップ研修

新規事業構築のポイントは幾つかあります。幾つかありますが、初期段階の難しさは「テーマ設定」ですね。
新規事業を考える場合、特に大きな事業規模を期待する場合、世の中が大きな課題を抱えている必要があります。

新規事業のテーマを扱っていると良く出てくるのが、自動車、携帯電話、食、医療、ですが、これらはどれも事業規模が大きくなることが多いです。
自動車、携帯電話は完成品の数が大きいので、部品一個当たりの単価が安くても最終的に台数が出るため大きな市場になります。また、食はほぼすべての人に関係しますし、医療も「要らない」と考える人が少ないのに加えて、参入してしまえば比較的利益率の高い業界になるので魅力に感じるわけです。

業界はどこでもチャンスはあるのですが、間違いやすいのが、「業界のメインストリームで勝負しようとする」ことです。
例えば、今、自動車業界はコストダウンとEV化が大きなテーマです。ここで、
・提供する商品を安くして事業を拡大する
・電池の容量を拡大する
と言うようなテーマは出やすいのですが、大体上手く行きません。上手く行かない理由は二つあり、
1) あらゆるプレイヤーが指向している領域なので競争が厳しすぎる
2) 出来そうなことであればその企業が既に取り組んでいるはず
だからです。

それよりも、「解決されない困ったこと」、つまり「不」(不満、不安、不便、不都合、等)を解消することを考えた方が良いと思います。上記の「業界のメインストリーム」は解決されない困った事ではなく、「時間の問題で解決されてしまう、そこそこ困っていること」、だと思うのです。

だから、世界を変えるほどのイノベーションは、メインストリ−ムを考えるのではなく、違うところを考える必要があります。それには、顧客の困り事を探しに行く必要があります。例えば自動車の困り事を考えたければ、自動車を運転しているところを見る、自分で運転してみることで「困ったこと」を探すのが良いのではないでしょうか。


顧客が「安くして欲しい」と言うから、コストダウンできる事業を考える、と言うのはあくまで短絡的だし、他社が値引きしたら、更に値引きをしなければならなくなります。

新規事業を考える際には、「メインストリームではないところ」を探す、これが効率のよい考え方でしょうね。