シナプス後藤です。

京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞しましたね。
ここ最近では、「ノーベル賞に最も近い男」とも言われていましたので、ある意味では妥当な結果です。

iPS細胞は、再生医療と呼ばれる領域の一つの技術で、「どんな細胞にもなり得る細胞」を作り出す技術です。これによって、様々な病気を治す可能性が出来たと言う事です。分かりやすいのは脊髄損傷などの体の重要な一部が壊れたり病気になったりした場合に、この細胞を使って再生することで、直す事が出来るのです。
要するに人体の壊れた部分を同じ細胞で補充できる、と言う事ですね。

iPS細胞の研究は山中教授が最初に提唱して以降、日本が最も研究として進んでいます。それに、山中教授が今後をにらんで様々な特許を取得しているようで、日本初の技術としてかなりの期待を持たれています。

恐らく、実用化はまだまだ10年以上先ではないかと思いますが、実用化された時には様々なビジネスが起こります。周辺、すそ野も広いでしょう。
そうなった時に、誰がどのようにデファクトを握っておくか、と言うのは極めて重要な議論で、そのデファクトを握っているプレイヤーが儲かります。
そういった意味でも、国がiPS細胞を支援しているのですね。

尤も、現時点で様々な企業が投資できるかと言うと、研究開発費を中長期にわたって入れられるところだけ、と言うのも間違いないと思います。だから、今の時点では大企業と小さな会社の場合は潤沢な資金を得られる目途が立っているバイオベンチャーくらいではないかと思います。
言いかえると、これから新規事業として考えたい場合には、「どの時点で投資するか?」というウォッチの仕方が重要でしょう。技術の進化と市場の立ち上がりがリンクするところでしょうから、その「技術の進化のウォッチ」程度は投資しておくと良いのではないでしょうか。


日本が技術立国を標榜してもう何十年にもなりますが、まだまだこういった新しい研究成果が出てくると言うのはとても良いことです。
しかも、今まで直せなかった病気に可能性を見せるものでもありますので、その観点でも素晴らしいことをされています。山中教授自身も儲けや名声より、その可能性のために努力している、というような印象を受けます。

まだ技術が確立したわけではありませんが、ノーベル賞として世界に認められるのは素晴らしいことですね。