シナプス後藤です。

サントリーの黒烏龍茶のCMが変わったようですね。
漫画ではありますが、哀川翔さんが笑ゥせぇるすまん喪黒福造と共演しているCMです。
サントリーHP: http://www.suntory.co.jp/softdrink/kuro-oolong/cm/index.html

今までのCMとちょっと違うのは、前からインパクトのあった「脂肪にドーン」が無くなったことでしょう。
最初のCMはこちらですね。



脂肪にドーン、の表現は消費者庁がサントリーにSTOPをかけたことで一時期話題になりました。
産経ニュース:「脂肪にドーン」の黒鳥龍茶CMに改善要望 消費者庁「偏った食生活を助長」

このSTOPはなかなか難しい議論で、CMの表現はどこまで許されるのか、と言う事に繋がります。
黒烏龍茶は特保を取得していますが、この特保:特定保健用商品と言うのは「特定の保健の目的が期待できることを表示した食品であり、身体の生理学的機能などに影響を与える保健機能成分(関与成分)を含んで」いるものです。(出所:https://hfnet.nih.go.jp/contents/sp_health.php)
つまり、国が健康に対して特定の効果が期待できる、と言う事を認めたもので、本来的には効果があると言ってしまって良いのです。ただし、黒烏龍茶が「骨折に効きます」とか「虫さされに効きます」と言うような全く効果のないモノを謳って良いわけはなく、対象の範囲が決められています。その範囲で言うと、「脂肪にドーン」はかなりグレーなラインですね。「ドーン」とは効くとも効かないとも言っていないし、一方で脂肪を吸着しにくいという効果はあるわけです。但し、「ついてしまった脂肪を減らす効果」はありません。
この辺がグレーゾーンなわけですね。

その時の議事録がこちらです。
第8回 新開発食品調査部会 議事録

○□□□委員 あれが誇大広告かどうかというのは、一般消費者は判断の基準がないわけですね。「ドーン」と言われればドーンかなと思ってしまうので、問い合わせがないとか、クレームがつかない、というふうな考え方もできると思います。許可している現場にいる私の立場では、とてもあの広告を見ることがつらい。つらいというのは、何か個人的な感想みたいな感じかもしれませんが、適切ではないということの怒りがとても大きい。ここで審議して、あの状況で広告されることを含めて許可しているのではないことはわかりつつも、でも、それがああいうふうに利用されることに対して、とても大きな違和感があるので、一般からの問い合わせやクレームがつかないということではなくて、さっきおっしゃっていただいたような、いわゆる一般の人間としてここに審議に参加していて、それがああいう形に出てくることに違和感があることを、御議論というか、是非御検討をいただければと思います。


確かに、一般消費者たる私からすると「ドーン」と言われればドーンかな、と思ってしまうので、この指摘はあながち間違っているわけではないと思います。が、まぁ、「ドーン」って何だ、と言われると良く分からないわけで、この辺りの広告表現はどこまでをOKとして、どこからがアウトなのか、は難しいところだと思います。


医薬品や化粧品等は薬事法にかなり縛られていますが、抵触しない程度に効果をにおわせるような表現をどのように行っていくのか、と言う点もクリエイティブに求められる力だと思います。
サントリーからすると、「アウト」を認識した上で、じゃあどうしよう、と考えた時に上記のCMになったのでしょうね。

ただ、「脂肪にドーン」に慣れている私からすると、新しいCMは若干肩透かしな感じです。まぁ、肩透かしな感じだからこそ印象に残ってエントリーを書く気になったわけで、そこまで読んで作られているのだとしたら、さすがはサントリーというところですね。