シナプス後藤です。

先日、facebookを眺めていたら、友人がこんなことを書いていました。

昨日後輩のアドバイザー的に会議に参加しました。
別件あって途中で抜けたら、ちょっと「妥協」がなされていた。

聞いてみると妥協が必須である明確な理由がなかったので後輩に以下のように伝えた。
「軽い妥協だから、まあいいかと思っているでしょ?
俺自身もこれだけをとれば大きな影響はないと思う。
でも、多分これまでに数十個の『小さな妥協』をしているよね?
1つの企画で数十個の小さな妥協があると、最終的な影響はかなり大きい(売れない)よ」


Steve Jobsの凄さの一つはその「こだわり」だと言われます。彼は一切の妥協を許さず、素晴らしい製品の数々を作り上げたと言います。
一方で、最近の「イケテナイ」と言われる製品の多くは狙いが何かがわからなかったりします。これは、結局、多くの人の意見を聞きすぎて、言いかえれば、多くの人が妥協することで製品が成り立つ、と言う事に他なりません。
その結果、誰も喜ばない製品が出来あがってしまうのですね。
妥協


では、どういう時に妥協が起こるのでしょうか?
大きく3つの妥協が想定されます。
一つは、QCDの観点ですね。たとえば、Quality(品質)を追求しようと思うとトレードオフになるCost(コスト)、Delivery(納期)が犠牲になります。言いかえれば、コストがかなり安い、あるいは、納期がかなり早い、と言うような制限条件が出来るとどうしてもギリギリまで良いモノを追求することが出来なくなってしまいます。だから、妥協する。

二つ目は、ターゲットです。ターゲットを絞り込めば絞り込むほど、その商品の特徴が際立ちます。たとえば、女性向けの商品を作ったとしても、途中で「売れるなら男性にも」という気持ちが芽生えます。そうすると、元々持っていたコンセプト以外の機能を付けることになり、結果的に「元々のコンセプト」に対する妥協になってしまいます。

三つ目は、周囲の想いです。関わる方が増えれば増えるほど、その商品に対する思い入れが変わってきますからそのせめぎ合いの中で、「全員が少しずつ折れる」つまり、妥協の産物が出来あがるわけです。

Steve Jobsはなぜ出来たのでしょう?
それは簡単です。彼がCEOであり、彼が欲しいモノを作っていたからです。また、BtoC向けの商材で「待っている人がいたとしても納期がそれほど重大なダメージにならない」という側面も有ったでしょうね。
いずれにしても、「彼が妥協しなければ良い」というだけの話だったわけです。


では、我々はどうしたら良いのでしょう?
それはSteve Jobsと同じように「自分が妥協しなければ良い」というだけの話です。但し、組織の中で働く場合、どうしても組織の力学が働きます。つまり、妥協せざるを得ないような環境が出来かねません。

状況によって様々なハードルが想定されますが、結局コンセプトの時点でいかに周囲と握れるか、これが重要なのではないでしょうか?
そして、ブレそうになった時にはコンセプトが実現できるかどうか、この一点で考える。


やはり、何か芯を作っておく、その芯をブラさないようにする、と言う事が重要だと思います。
それが出来れば苦労しないのでしょうけど、優れた商品と言うのは、それが出来たからこそ苦労せず売れていくのではないでしょうか?


その友人は、こちらの彼と同じ方です。
シナプス・マーケティング・カレッジ☆公式ブログ「バターの塗り方にイノベーションを感じること」