シナプス後藤です。

先日、某所にてファシリテーション研修を賜り、実施してきました。
講座満足度、講師満足度共に、4.8以上あり、ご依頼いただいた事務局の方も大変ご満足いただいたようで良かったです。
ご受講者様からも「楽しかった」とか、「現場で活用してみたい」という定性コメントを頂けたのが更に嬉しいですね。


さて。

「ファシリテーション」は色々な手法があり、かなり汎用性が高いスキルだと思うのですが、一方で「講座」という形で提供されるものは必ずしも現場に即したものではない場合もあります。
その理由は、現場によって事情がかなり違うので、使えるテクニックが変わってくるからです。

代表的なものは、「今日呼ばれたい名前」を書くものでしょう。
ファシリテーション協会で実施している定例会に参加すると、基本的に名札に「今日呼ばれたい名前」を書きます。
これは、お互いを対等の立場にするとともに、あだ名で呼び合う事でお互いに親密感を増す、という事を狙っています。
初めて会う人が、深くディスカッションする場合には役に立つやり方だと思いますし、状況次第では私もこの手法を選択します。

ですが、多くのビジネスシーンではこのやり方はほとんど機能しません。例えば、私の事を「ごっちゃん」(後藤なので)と呼ぶ友人はいます。ですが、ほとんどのビジネスシーンでは「後藤さん」と呼ばれます。
これを急に「ごっちゃんと呼んで下さい」とやると、極めて不可思議な事が起こるでしょう。人によっては、「ごっちゃんさん」と呼び始める人もいるわけです。

というように、すぐに機能しないものもあるわけで、ある程度修正していく必要があります。勿論、長い時間をかけて関係性を構築し「ごっちゃん」と呼ばれた方がビジネスでも上手く行くはずですが、「ファシリテーション」という言葉すら聞いたことのない人にそのような上級編を期待するのは無理な話なのです。


当社のファシリテーション研修は、基本的に「ビジネスシーン」で使う事を目的にしていますので、それに合わせた講義や演習を準備しています。今回は、少し特殊な業界だったので、その業界・参加者に合わせた内容に修正したのが良かったのではないかな、と思います。

同じ業界でも、管理職向けなのか、若手(2-3年目など)向けなのか、によっても違いますし、営業向けなのか開発向けなのかによっても変わってきます。


私は研修提供のゴールを満足度ではなく、「現場での活用」に置いています。そういった意味で、今回の研修は上手く行ったのかな、と思いますが、実際に現場で試そうとすると、様々なハードルが発生します。その代表的な例が上司から「分からないこと言ってないでいつも通りにやれ」というリクエストかもしれません。
そのフォローをどうやって行くか、が私の課題です。