シナプス後藤です。

mildseven
写真出所:日本経済新聞


スモーカーの方にはなじみ深い通称マイセン、こと、マイルドセブンの名前をメビウスに変更する、というニュースが出ていました。
ロイター:JT、「マイルドセブン」を「メビウス」に名称変更



理由は
・「マイルド」という単語を欧州では煙草に使えないこと
・日本と比較して欧州の方が市場として魅力的であること
の2点と想定されます。

要するに欧州を攻略するために、欧州向けにネーミングを変えた、と言う事です。


ネーミングはブランドのかなりの部分を持っています。たとえば、社名変更として今のアデランスが一時期「ユニヘアー」という名前に変更していました。アデランスはカツラのブランドとしてかなり立っていましたので結果的に戻す、という選択肢を摂りましたが、ブランドネームが大きいと言う結論です。

ユニへアーとアデランスの社名変更から長期戦略の難しさを考える



上記のロイターの記事によると、単に欧州展開しよう、という事だけでなく、今現在サブプレミアムにあるブランドをプレミアムに上げていきたい、という意思も有るようなので、名称を変えることでリブランドを狙っている、と言う事なのでしょう。


元々、欧州で「マイルド」がダメなのは、マイルドやライトという名称が煙草の害が少ない、という印象を与えるからで、ネーミングそのものの影響を大きくとらえている、と言う事ですね。

一方で、日本人の多くは煙草の代名詞としてマイルドセブンを思い描いているのは間違いありません。また、現在、17カ国・765億本売っている、と言う事ですから、そのマイナス影響がどの程度出るのかが気になるところです。

戦略的には衰退する日本市場と一緒に落ちていくのか、多少リスクが合っても伸びるマーケットに適合していくのか、という議論だと思います。その意味ではまだまだ利益が出ている今のタイミングでブランドシフトをする、と言うのは悪い選択ではないと思います。

環境適合するための意思決定は、単にネーミングで合っても様々なリスクが伴うものです。特に、日本のような「金のなる木」市場に対するリスクはかなり大きなものでしょう。ですが、金のなる木に金がなっている間に動かなければならないのも自明のことであり、今回の意思決定は極めて正しいものではないかと思います。

今後の動向が楽しみですね。