シナプス後藤です。

プレゼンテーションを語る時に、話し方以前に「ストーリー」について言及されることが多いのは知っている方も多いのではないでしょうか。

恐らく、一橋大学 楠木教授の著書「ストーリーとしての競争戦略」が出てからというもの、「ストーリー」というキーワードが一つのビッグワードになっている感があります。

ストーリー、と言う時に、なんとなく
1) 話の筋道がある
2) 感動的な出来事がある
という二つのことが語られているように思えてなりません。

楠木氏の著書で言うところは間違いなく前者だけの意味で使っています。つまり、競争戦略には何らかのロジックがあり、個別の施策や事象ではなく、全てが綺麗なロジックで説明できる、という話ですね。

プレゼンテーションでもストーリーが重要と言います。
その時も多くの人は、起承転結等の筋道を明確にしましょう、と言っています。

筋道は理解のしやすさにつながります。だから、プレゼンテーションのように相手の理解を期待したいものについては、「筋道」は極めて重要です。


ですが、筋道があるからと言って、相手が動くかどうかは分かりません。
だから、心を揺さぶる何かが必要になってきます。それが、「感動的な出来事」です。
お金儲けのためにやった事業、と言うよりも、大好きだった父の遺言で彼の夢を果たすために、とか、アフリカで泣いている子供のために、とか言った方が心が動かされる可能性は高いですよね。
だから、「感動的な出来事」はあった方が良いのです。


では、どちらが重要か?

創作できるなら多分後者でしょう。人間は論理よりも感情が意思決定に優先します。だから、感動的な出来事を入れられるなら、それが多くの聞き手の魂を揺さぶるレベルのものであれば申し分ないわけです。
ところが、それらの話はなかなか存在せず、ねつ造をしなければならない上に、ねつ造したとしても「魂を揺さぶる」話に仕上げるのは相当の能力が必要です。

人によっては、話すだけで魂を揺さぶれるタイプの人もいます。
だが、それもその時点での能力、人間としての熱量が影響するので、残念ながら再現性が高くないのが実情です。


だから、我々凡人が取り組むべきは「筋道を作ること」ではないでしょうか。
筋道が納得できて、それを何度も何度も話していれば、多分徐々に熱量が上がってくるのではないかと思うのです。
そうすればいずれ人の魂に火を付けられる時も来るのではないかと。


結局、プレゼンテーションには「まずは筋道をはっきりさせる」ことが良いのだと思います。