シナプス・マーケティング・カレッジ☆公式ブログ

株式会社シナプスの公式ブログサイトです。 シナプス・マーケティングカレッジ情報を始め、 講師陣のブログなども転載して参ります!

個人ブログ

新規事業向きの人

シナプス後藤です。

以前、「新規事業(イントレプレナー)に向いている人ってどんな人だろう?」という会話をしたのですが、久しぶりに思い出して書いてみます。

新規事業は難しい、とはよく言われることですが、一方で、ベンチャービジネスの立ち上げ・成功に比して、新規事業に携わるのは割りが悪いとも言われます。
起業して成功した場合、それこそ株式公開(IPO)や売却まで持っていければ、その瞬間に大金持ち、というようなことは多々ありますが、大きな会社で新規事業を立ち上げても、多少偉くなる程度でものすごく大金持ちになるわけではありません。一方、同じ偉くなるのであれば、新規事業よりも、花形事業で成功したほうがよほど効率が良かったりするわけです。

それでも、企業に属しながら新規事業を立ち上げる方はいらっしゃいます。
仕事柄、インタビューをさせていただいたり、インタビューとは言わなくてもいろいろとディスカッションをさせていただくことが多いので、その感覚値で書くと、新規事業の成功者は、

・新規事業は普通、大変なのでやめたくなるが、それでもやめない人は多い(やめてないから新規事業として成功しているとも言えますが)
・インタビューをしてみると、「会社が好き」「会社に恩がある」という回答が多い

というのが標準値である気がします。

つまり、会社が好きになる、恩を感じるだけの期間は会社に在籍しないといけないとすると、10年程度、ちょうどスキルも社内ネットワークも整ってくる10年目くらいが新規事業にチャレンジさせるにはちょうど良いのでは、と思います。

企業の体質やスタンスにもよりますが、新規事業立ち上げのために外部から人材を招へいする(採用する)ケースも見られます。その場合、事業開発のスキルとしては申し分ないものの、社内のリソースを知らなかったり社内政治の手順を知らないなどで失敗した、というケースも聞きます。つまり、新規事業の成功は、事業開発のスキルだけではない、ということです。
(そういう方はスキルがあるので、肌に合わないと思うと簡単にやめてしまう、ということもあります。)

ということで、統計を取ったわけではありませんが、30代前半くらいが新規事業開発に携わるに一番いい時期ではないか、と思うわけですが、いかがでしょうか。

(とはいえ、リクルートさんやサイバーエージェントさんみたいな、新規事業が次々と生まれる企業だと、もっと若いうちからチャレンジさせた方が良いと思います。)

新規事業開発におけるVOC収集のポイント

シナプス後藤です。

新規事業開発では、早い段階で顧客のニーズをつかむ必要があります。そのためには、顧客の声VOC(Voice Of Customer)を聴く活動が欠かせません。
それでは、質の良いVOCを収集するためにどのようなアプローチをとればよいのでしょうか?

ポイントは3つです。

1) 仮説を立てる
2) 数をこなす
3) 本当に欲しがる人を最低一人見つける


1) 仮説を立てる
 顧客の声を聞く場合に、最初に行ってほしいのは、仮説の構築です。仮説とは、何らかの現象・事例・法則性等から導き出される推定のことです。例えば、「世の中がこうなっているから、消費者は〇〇を欲しいに違いない」とか、「〇〇は、△△なセグメントの人が購入するに違いない」などです。
 主に、考えていただきたい点は、ターゲットセグメント仮説とニーズ仮説です。
つまり、
・誰が買うのか?
・購入しそうな人はどのような属性で、どのような心理状況で、どのような購買行動をとるのか?
と、
・なぜ欲しいと感じるのか?何に困っているのか?何を解決したいのか?
・ニーズが発生する背景(社会的変化や環境状況)は何か?
を考えてほしいのです。

 なぜ仮説が必要か?
仮説がないと、聞くポイントがぼやけてしまい、事業案を先に進めることが難しいからです。ヒアリングできる時間は限られているでしょうし、特に事業開発ではスピードは重要な要素です。

 たまに、「仮説を持たない方が良い」という文献を見かけるケースがありますが、これは本質的には「バイアスをかけるな」という意味です。事前に思い込みが強いと、相手が言っていることを素直に聞けなくなってしまうので、間違った解釈をするケースはあります。ですが、それ以上に仮説を持たないデメリット(無駄な話をする、事業案を検証できずにいつまでたっても先に進めない)の方が大きいです。
よほどスキルがあったり、業界知見が深ければ仮説を持たないというのも選択肢ですが、慣れるまでは仮説を文章化して、ヒアリングごとに仮説を磨く(文章を書きなおす)ことをお勧めします。

2) 数をこなす
 顧客の声は、量が質を担保します。

 以前、ある事業開発をテーマとした研修を実施していた時のことです。事業開発の研修では、複数のグループが半年くらいかけてそれぞれ事業案を考え、最後に事業部長へ提案します。そのプレゼンテーションであるグループはプレゼンテーションが面白く、事業案も深く練られていて、事業部長のコメントや他のオブザーバの質疑も極めて本質的な議論でとても盛り上がりました。ところが、あるグループは全く盛り上がらず事業部長からも辛口のコメントで締めくくられました。
 この差は何か?
 差を分けたのはVOCの数でした。かたや何十件も周り丁寧にヒアリングを重ねて事業を検証していたのに対して、盛り上がらなかったテーマは様々な事情でVOCの数が数件程度だったのです。その結果、仮説に仮説を重ねるだけで新たなアイデアも出ず、つまらない事業提案しかできませんでした。

 研修では往々にして、事業を選択した領域だったり、メンバーのスキルだったり、プレゼンターの力量だったりが影響することもありますが、こと事業開発をテーマにする場合、ほとんどVOCの数に比例します。上述の研修でも、盛り上がったテーマは、当初、我々コンサルタントや事務局からは「難しいからどこかで見切りをつけたほうが良い」という意見でしたが、メンバー自身で丹念に検証を重ねることで、我々の常識をひっくり返してきたのです。

 事業開発の場合、数を重ねているうちに、「強いニーズを発見する」ということが多々あります。ですので、とにかく数をこなし、その領域では世界一詳しくなるくらいの気持ちで当たるのが良いでしょう。

3) 本当に欲しがる人を最低一人見つける
 事業開発で常に気になるのは、「本当に売れるのか?」ということです。なかなか成果が出ない事業開発においては、買ってくれそうな方を見つけることが難しいのが実情です。ところが、事業開発をやっているとある日、「それ、いつ発売されるの?」という質問を受けることがあります。この質問はかなり欲しいということを示している可能性が高いです。それがより具体的な要望(こういうことに困っているのでこういう機能を付け欲しい、こう使うつもりだが可能か、等)を伴ってくると、要望に合えばかなり高い確率で購入するでしょう。
 一方で、「それあったらいいよね」「そういうの欲しいんだよね」というコメントがあったとしても、具体的な質問が続かなければ、恐らく買わない可能性が高いです。

 本当に欲しがる人が一人でもいる、ということは、ニーズが世の中に存在することを示しています。似たような人が世の中に何人いるかによって市場規模は変わってきますが、事業開発の初期の失敗の多くは「ニーズがないのに製品を作ってしまう」ことなので、これが回避できるのは極めて大きいです。
 また、ある一定量のユーザが存在すると、事業を継続しながら改善できる可能性が高いので、その点でも重要です。


以上、VOCのポイントを三つ記載しました。
1) 仮説を立てる
2) 数をこなす
3) 本当に欲しがる人を最低一人見つける

新規事業ができるまでの4つのフェーズ

シナプス後藤です。

「新規事業開発」というと、事業計画作成の部分がフォーカスされることが多いのですが、現実には4つのフェーズが存在します。

Phase1:領域選択とテーマ設定
Phase2:事業計画作成
Phase3:事業立ち上げ
Phase4:事業拡大

どのフェーズにいるかによって立ち振る舞いが異なることも多いので、参考にしてください。

◆Phase1:領域選択とテーマ設定

領域選択とテーマ設定では、「どのような領域/テーマで新規事業を検討するのか?」という方向決めを行います。「なんでもよいから新規事業を」というリクエストもありますが、どのような経営者でも「なんでもよいから」の裏にはいくつかの制限条件があり、
・そこそこの事業規模が期待できること
・当社が取り組むべき分野であること
の二つは概ね匂わせていることがほとんどでしょう。

このフェーズでは有望領域の見極めと、数多くのテーマ出しが求められます。
有望領域の見極めはほぼLogicで決められ、「市場が期待事業規模に合わせて大きく」「その会社が取り組みたい分野、あるいは、No.1になれる分野」と考えるとよいでしょう。
その中で、できるだけ多くのテーマを出しておくことが望まれます。(ブレインストーミングをはじめとしたさまざまなアイデア出し手法が使われるのもこのタイミングが多いです。)

なお、このフェーズは、既存事業の中で発見された「種」からスタートするケースもあれば、新規事業コンテストのような形で発掘するケースもあります。

◆Phase2:事業計画作成

事業計画は、企業や状況によって作る内容やレベルにはばらつきがありますが、「売れるか?」「勝てるか?」「儲かるか?」「できるか?」の四つの問いに答えられることが求められます。
そのために必要な活動は、資料作成ではなく、実際に市場の声を聴き、製品・サービスのプロトタイプを作ることです。
市場データや競合情報など、Googleをはじめとした検索によって得られるものは多々ありますが、真に重要な情報は足で稼ぐしかほぼ獲得できません。
したがって、仮説を立て、顧客のもとに足を運んでニーズを聞きだし、それをもとに製品・サービスを設計・プロトタイプ作成して検証します。これを繰り返すことで、確度の高い事業案を作成していくわけです。

事業計画作成の段階では、組織化されることは稀で、事業部内の一部のメンバーや、場合によっては「新規事業開発室」の中で取り上げられることもあります。
この段階でのゴールは、いかに社内のリソースを獲得し、推進体制を作るか、そのためにどれだけ「面白い事業ネタ≒事業計画を作れるか?」になります。


◆Phase3:事業立ち上げ

事業立ち上げ段階では、実際に事業としてスタートさせることになります。そのためには、顧客獲得と獲得した顧客に対して製品・サービスを提供することが必要になります。
もちろん、体制を整える必要もありますが、体制は顧客の状況や事業の形に合わせて変えていく必要があるため、個々の時点で固定的にする必要は必ずしもありません。
このタイミングで重要なことは、やはり顧客獲得です。体制によって、顧客獲得を進めたりペースを遅めたりする必要はあります(あまり、急拡大すると体制がついていかず、せっかくついてくれた顧客が離反することにもなりかねないためです)が、外部の顧客がいる、求められている、ということが何よりも事業存続の肝になります。
一方で、社内の立ち回りが重要になってくるのもこの時期です。事業立ち上げフェーズになると、予算が付きます。予算が付くというのは言い換えれば、社内に報告義務が生じるということです。また、社内リソースを使うことにもなるので、既存事業部(ご自身の出身母体となっている事業部であってもなくても)のリソースを借りることも往々にしてありますので、しっかりと頭を下げていく必要があるでしょう。

このタイミングではすでに、社内のリソースが獲得出来ているはずで、「新規事業開発室」という名前の匿名部署だったり、〇〇事業推進室などのように匿名から昇格しているケースもあるでしょう。
往々にして、会社全体としては部署を好意的にプロモーションしてくれますが、変に厄介につながらないように当事者としては頭を低く、おかげさまでできている、という気持ちを忘れないことです。
なぜならば、新規事業の予算のもとは、既存事業が稼いだ金なのですから。

◆Phase4:事業拡大

顧客が付き、赤字であったとしても徐々に事業として形を成してくると、いよいよ「黒字化」が求められます。単年度黒字、累損解消、という言葉が重くなってきます。
このタイミングになると、メンバーも増え、社内外の関与者も飛躍的に拡大していきます。
一方で、既存事業に対するマイナス影響、具体的には「社内カニバリゼーション」が問題視されてくる頃でもあります。(これは事業内容にもよりますが、新規事業はある一定割合で既存事業の顧客を横取りします。たとえば、メーカーが既存小売チャネルに卸しているものに対して、EC事業を開始するのが典型でしょう。)
この手のカニバリゼーションは自社がやらなければ、競合他社がやるだけなので本質的にはやったほうが良いのですが、そうはいってもカニバリゼーションによって不利益を被る担当者もいますので、何らかの対処は必要です。
(例えば、新規にEC事業を展開する場合、ECの売上も既存事業の成果に追加して既存事業を評価することで、既存事業としてポジティブに進めることができます。)

ここまでくると、徐々にメンバーも増え、事業としての存在感も出てくる頃です。そうなると、次に問題になるのは、「このまま事業拡大できるのか?」ということでしょう。
うまく売上が上がらない、あるいは赤字だけが積みあがるケースも往々にしてあります。撤退基準が決まっていれば、それに従わざるを得ず、また、決まっていない場合でも、いわゆるピボット、つまり事業コンセプトを変えて新たな成長に乗せる必要があるかもしれません。

とはいえ、Phase1-4まですべてかかわっていれば、その人材は事業開発の実績が十分についており、新たなチャレンジも可能ではないかと思います。

新規事業計画を作成するための4ステップ

シナプス後藤です。

新規事業開発でも事業計画を作成するまでには、大きく4つのステップがあります。

1) 領域選択とテーマ設定
2) ニーズ探索
3) ソリューション開発
4) ビジネスモデルの構築

1) 領域選択とテーマ設定
新規事業検討の初期段階で行うのは、「どういうテーマで検討するか?」という初期仮説です。
まず、新規事業領域の決め方は、私は、
1) 十分に大きな潜在市場規模であり
2) 適度に自社の強みが生かせる
の二点を推奨しています。

「新規事業領域の決め方」
http://www.mblog.jp/archives/1954029.html

これらを加味して決めるべきなのは、
・誰に?
・どんな価値を?
・どんな方法で?
を設定してみてください。
初期段階できれいに整理できるケースはまれですが、決められたフォーマットを埋めてみることで、「何がわかっていて何がわかっていないのか」が明確になってきます。

2) ニーズ探索

テーマを設定したら、次に行うべきはニーズ探索です。
人によっては、既存のサービス探索や技術理解などを挙げられる方もいらっしゃいます。これ自体を否定するわけではありませんし、重要な活動ですが、私は新規事業の立脚点は顧客ニーズにあると考えています。
マーケティングが主活動領域だから、という理由ももちろんあるのですが、それ以上にニーズがあれば、実現方法の選択肢は豊富にある、と考えているからです。

ニーズ探索の基本は徹底的なVOC(Voice Of Customer:顧客の声を収集する活動)です。

ただ声を聴くだけでなく、仮説を立て、顧客の声を聴いたり、現状を見たりしながら実態を理解することで、その本質的なニーズを想定します。
この段階で、最低一人(1社)で良いので、「この人は絶対に買う」という確信を持つことが必要です。

3) ソリューション開発

ニーズが見えてきたら、続いてそのニーズを満たすソリューションを考えます。ソリューションは、製品の場合もあればサービスの場合もあります。

ソリューション開発の難しさはその実現性でしょう。ニーズが発見できたとして、今までソリューションが存在しないのには当然理由があります。技術的に困難であったり、収益構造上儲からない状態だったり、非合法だったり、様々な理由があるでしょう。これらのできない理由を明確にしたうえで、どう打破するかを考える必要があります。
ソリューションを生み出すポイントは、二つです。

まずひとつ目は、今まで試したことのない選択肢を試すことです。

大きな企業でよくある発想ですが、「わが社の技術で何とかならないか?」という視点にとらわれると新しいものが生み出しにくくなります。NIH症候群(Not Invented Here)とも呼ばれるもので、これができるぐらいであれば、すでに出来ているはずなのです。
ですので、今まで取引のなかった企業と協業してみるなど、新しいきっかけによって、試したことのない選択肢を探してみましょう。

もう一つのポイントは顧客に試すことです。

ニーズを満たせるかどうかは、顧客が最もよく知っています。ですので、プロトタイプやモックアップなど、早期に顧客が理解できるものを作成し、できるだけ早く顧客に評価していただくことです。これによって、ニーズを満たしているかどうかがすぐにわかります。

新規事業におけるソリューションは、一回作れば完成、というものではありません。作っては修正、作っては修正、というPDCAを回していくことが求められますので、ある程度ラフであっても顧客に評価を依頼するスタンスが重要でしょう。


4) ビジネスモデルの構築

ニーズがわかり、提供するものがわかったら、いよいよビジネスモデルを組み立てます。
ビジネスモデルの定義は人によって異なりますが、おおむね、
・モノの流れ
・お金の流れ
・情報の流れ
の定義が必要になります。
この中には収益モデルやアライアンスパートナーの存在、優位性構築のための投資活動なども含まれてきます。

ここまでくると、自然と事業計画が作成できるようになっているはずです。
少なくとも最低限の意思決定項目は網羅しているでしょう。ただし、より具体化するためには、マーケティングであれば4Pレベル、組織構造や体制、KPIの設計や財務計画など、詳細項目の作成が必要です。

ただ、新規事業が本当に難しいのは事業計画が作成できてから、ということも同時に理解しておきたいところですね。

新規事業領域の決め方

シナプス後藤です。

我々シナプスでは、新規事業のコンサルティング支援を数多く行っています。
その際、論点の一つに上がるのが、「どの領域の事業テーマを取り上げるべきか?」というものです。

私は、「あらゆる領域に新規事業の種は存在している」が「領域によって可能性の多寡はある」という信念に近い仮説を持っています。一方で、市場の特性を考えると、潜在需要以上の市場規模は絶対に存在しない、ということも同様に信念に近い仮説として持っています。
したがって、新規事業の領域として選ぶ事業テーマは、
1) 十分に大きな潜在市場規模であり
2) 適度に自社の強みが生かせる
領域を選択すべし、と考えています。

◆1) 十分に大きな潜在市場規模とは?

私が説明によく利用させていただくのが次のサイトです。
http://visualizing.info/cr/market-size-map/domestic/#m=0&cv=0&cn=13369344&cx=52224&cr=10&l=0&f=0
同様に様々な出版社が出している産業地図なども参考にしますが、いずれも「大きな池はどこにあるか?」という観点で見ます。

例えば、1000億円くらいのビジネスを作りたいと思ったら、産業として大きなところを狙うのが基本になるでしょう。ですので、上記のサイトの「文字が読めるくらいのサイズの産業」が一つのベンチマークになるわけです。
一方で、例えば、(アニメやアイドルなどの)フィギュア市場を狙おう、と考えると現時点で320億円程度(矢野経済研究所調べ)ですから、1000億円のビジネスを作るのが極めて難しいということになります。
矢野経済研究所 「オタク」市場に関する調査を実施(2016 年)
https://www.yano.co.jp/press/pdf/1628.pdf

まず、新規事業としていくらくらいの売り上げが必要なのかがわかると採りうる選択肢が見えてきます。
なお、私の肌感覚申し上げると、一部上場クラスの企業ですとおおむね売上規模で100億円以上程度を期待することが多いようですが、100億円以上の事業となると「まず市場規模を考える」というところから始めないと、領域の選択はうまくいかないでしょう。
一方で、10億円程度でOK、ということであれば、なんでもよいと言うわけではありませんが幅広い選択肢が存在します。
既存の産業が存在しない事業アイデアももちろん存在するでしょう。その場合は、ユーザ数×単価、という基本的な算数を利用することが多いです。
例えば、四半期で4-5000万台販売するiPhoneのユーザがターゲットで幅広いユーザが利用することが想定される場合、1億人程度のユーザ数が期待できます。一人100円ずつ利用するとそれだけで100億円ビジネスになるわけです。
(実際はiPhoneユーザ1人当たり100円という皮算用をすると相当痛い目を見ますが、仮定の計算と思ってみてください。)


◆2) 適度に自社の強みが生かせる領域とは?

一方で、自社の強みが生かせるか、という点です。
私は、「頑張ればNo.1になれる領域」を目安にしています。

この観点は、過去にその企業がどの程度新規事業に取り組んできているか、によって若干異なりますが、ほとんどの企業は「概ね期待できる事業分野には拡大してきた」のが実情でしょう。
つまり、自社の強みが生かせる魅力的な領域は、もう何等か取り組んでいるはずでうまくいっていないのであれば、致命的な問題点がある、はずなのです。よって、「自社の強みが生かせる魅力的な領域」はもう残っていない、ぱっと考えても出てこない、ということを前提にしています。

ところが、社内で新規事業のアイデア出しをしようとすると、その会社の強みから逃れられない方が非常に多いのも事実です。
なぜか?
強みを使う発想は楽なのです。例えば、郵便や新聞にかかわるビジネスモデルを考えると、「郵便局」や「新聞販売店」を利用しようという話が出ます。
全国で、郵便局は約2.4万局、新聞販売店は約1.6万店あります。1店舗100万円売り上げると、それだけで、100億円ビジネスを越えてしまうわけです。(これまた甘い皮算用なわけですが。)
また、「わが社にはこんな技術がある」ということもアイデアの立脚点です。特にメーカーの場合、技術の強みの立脚点がありますので、その技術を活用するだけで競争優位が自然に築きやすいのです。

ところが、簡単にできそうなものは当たり前ですが、過去に検討され、実際にチャレンジされて(往々にして致命的な問題があり失敗して)いますので、すでに良い領域など残っていないのです。それでも、「わが社の強みが生きるところ」を一生懸命探したくなりますが、そこから新しいものが出てくる確率は極めて低いです。

もともと、企業の強みというのは、0から立ち上げた事業を徐々にそのビジネスで利益が出るように積み重ねてきたものです。長い年月をかけて「強みにしてきた」ということです。言い換えれば、「強みは作るもの」と考えた方が健全なのです。
ただ、大きな会社であれば、既存の資産がありますので、その強みを作りきるのに他社が行うよりもうまくできるケースは往々にしてあります。
つまり、「今は弱いかもしれないが、他社よりも一生懸命投資をし続ければ、No.1になれる領域」であればよいわけです。

なお、私がワークショップのファシリテーターをやる場合、参加者の皆さんには、「皆さんの会社の強みが生きないところを探してください」という言い方をします。これくらいの言い方をすると、ちょうど「No.1になれる領域」に行きつくことが多いようです。


◆その他

上記の2点以外にセオリーとして、変化の大きい業界や成長市場を選択せよ、規制産業を狙え、「不」の大きな市場を探せ、等ありますが、これらも市場の大きさの一要素としてみておくとよいかもしれません。

さて、この領域選択に関しては、多くの場合、次の二つの問いが発せられることが多いようですので、回答しておきます。
 嶌上がっているテーマ以外にもっと魅力的なテーマが存在するのではないか?」
◆屬匹海泙納社の強みが生きるテーマを選ぶべきなのか?」


 嶌上がっているテーマ以外にもっと魅力的なテーマが存在するのではないか?」

はい、おそらく存在します。
でも見つからないかもしれません。

これは、一般に「青い鳥症候群」と呼ばれるものの一つでしょう。
時間も資源も有限なので、その魅力的なテーマを発見しようとしている間に、今目の前にあるテーマに取り組んで置いた方が確実に結果が出ると考えます。
ですので、新規事業のテーマ設定はトーナメント方式ではなく「足きり」と考えた方が良いのですよね。ある一定上の魅力があればやるし、そうでなければやらない。あくまでもポートフォリオ投資と同じ感覚で見ておくのが妥当と思います。


◆屬匹海泙納社の強みが生きるテーマを選ぶべきなのか?」

強みは作るもの、あまり「自社の強み」を意識しすぎない方が良いでしょう。

上述通り、「本当に強みが生きるところ」はほとんど残されていないと思うのが自然かと思います。また、本当に強みが生きるところは、新規事業というよりも、顧客開発か新商品開発と呼ばれる領域になることがほとんどです。
ですので、事業として新たに立ち上げたいと思うのであれば、投資することでNo.1にしていく、という考え方をされるのが現実的ではないかと思います。

とはいえ、まったく土地勘のない領域は、同じく難しいと思いますので、あくまでも「頑張ればNo.1になれる」くらいの距離感が理想ですね。


livedoor プロフィール
今、オススメの講座
オススメ講座"
シナプスの情報発信
家弓ブログ
シナプス・マーケティング・カレッジ公式twitter"
シナプス代表家弓twitter"
記事検索
Categories
ランキング参加中
QRコード
QRコード
TagCloud