シナプス・マーケティング・カレッジ☆公式ブログ

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マーケティング:環境分析

TEDで考えるセグメンテーション

シナプス後藤です。

TED(※)でマルコム・グラッドウェル氏がプレゼンテーションをしているのを見ました。
TED Talks:マルコム・グラッドウェル、パスタソースと幸せについて
(動画:17分34秒)

マルコム・グラッドウェル氏と言えば、最近では「天才!」でしょうか。
天才!  成功する人々の法則







個人的には、ティッピングポイントを説明した「急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則」が良書だと思います。イノベーター理論と一緒に読むとより味わい深いですね。
急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則(ソフトバンク文庫)







そのマルコム・グラッドウェル氏がプレゼンテーションをしています。
まさか、こんな髪型だったとは。(笑)

氏は、ジャーナリストではありますが、著書は経営学者が書くものと同様とても説得力があり面白いと思います。
その彼が語っているのがセグメンテーションの概念です。

彼は、ハワード・モスコウィッツが発見した食品業界におけるセグメンテーションを説明します。
まずは、ハワードが体験したペプシからの依頼です。ペプシがダイエットペプシの適切な甘さを決めるためにハワードは甘さを変えたダイエットペプシをユーザテストし、その結果を確認したのです。すると、出てきたのは「バラバラ」の結果です。そして、彼は気付きます。

完璧なペプシを探していたのですが 本当は完璧なペプシ”達”を探すべきだったのです。

※日本語訳出典:読むTED http://ted.babblebuzz.com

つまり、様々なセグメントのユーザがこのテストの中には存在し、結果的に「ばらつき」が確認できたのです。


マルコム・グラッドウェル氏は言います。
私がコーヒーのブランドを作るように依頼されたとしましょう。

コーヒーの種類、入れ方など...全員の好みに合うコーヒーです。 そのコーヒーに評価を付けてもらうと 平均点は100点満点で60点くらいになるでしょう しかし、もしいくつかのグループに分けても良いのなら 3つか4つのコーヒーグループですね そして、各グループの好みにあわせてコーヒーを作ったとします。 評価は60点から75〜78点に上がるでしょう 60点と78点のコーヒーの違いは 身震いする程まずいコーヒーと ため息が出る程ハッピーなコーヒー程大きいのです。


つまり、これがセグメンテーションです。

ターゲティングの議論をすると、多くの場合「うちは、あらゆるユーザーに売りたいのだ」という意見が出ます。それは分かりますが、あらゆるユーザの平均点となる商品は「身震いするほどまずい」商品になってしまいます。
顧客の好みは違う、その多様性を理解し、「ため息が出るほどハッピーな」商品を世の中に提供しましょう、と。

これがセグメンテーションの考え方ですね。

20分程の動画ですが、引き込まれるプレゼンテーションでもありますので、お時間のある時にご覧ください。


※TED:Technology Entertainment Design。様々な分野の優れたプレゼンテーションが行われているグループで、インターネットでプレゼンテーションが公開されていることから最近注目されている。
wikipedia
TED日本語版ホームページ

新ケース「野菜のサブウェイ」

シナプス後藤です。

シナプス・マーケティング・カレッジのマーケティング講座はケースメソッドを利用しています。実際の企業の状況を元にマーケティングスキルを学ぶ、というものです。

今まで、マーケティング・ベーシックスでは、マクドナルド、ユニクロ、エスエス製薬、ファンケルのケースを利用していましたが、マクドナルドから「野菜のサブウェイ」に変えることにしました。

サブウェイは、最近急成長しているファストフードチェーンで、サブマリン・サンドイッチ、と言われるサンドイッチを提供しています。
サブウェイHP

全世界の店舗数では、いまやマクドナルドを抜き、世界最大の飲食チェーンと言われています。


土曜日に過去に御受講頂いた方向けにスキルアップセミナーとして実施しまして、新ケースを実施いたしました。受講した方も、「とても面白い」と言って頂きましたし、リアリティのある検討のしやすいケースではないかと思います。


ご興味がある方は是非、御受講をご検討下さい。

マーケティング・ベーシックスに興味がある方はこちら

東京大学の秋入学移行ニュースでネットワーク外部性を考える

シナプス後藤です。

先日、東京大学が秋入学への移行を検討している、というニュースが話題になりました。
Yahoo!ニュース(読売新聞):東大が秋入学移行案…春入試維持・年度内に結論

東大によると、昨年5月現在の東大の学部学生(約1万4000人)に占める留学生は276人(1・9%)で、米ハーバード大(10%)など海外の有力大に比べて著しく少ない。海外へ留学している東大の学部生も53人(0・4%)にとどまっている。


とのことで、東京大学も国際化のためにハードルになっていると考えられる入学時期をずらす選択肢を考えている、という事でしょう。

問題は、日本社会が4月を起点に動いている、という事です。秋入学にする、という事は、高校を卒業してから入学までの半年間と、大学を卒業してから入社までの半年間を無駄に過ごす可能性があります。一部の企業では通年入社を受け入れるようですが、多くの企業は対応しにくいでしょう。「採用するだけ」なら簡単なのですが、例えば、新入社員受け入れの研修や制度整備、あるいは採用人数の調整等、一括でやってしまった方が効率が良い、ということが多々あるからです。

このように、皆がやっているから効率が良い、という状況をネットワーク外部性(ネットワーク外部経済性)、と言います。
例えば、電話のように「皆が使っているから通信インフラのコストが安くなる」という状況ですね。
Wikipedia:「ネットワーク外部経済性」

近年、このネットワーク外部経済性をベースとしたビジネスモデルが増えてきているように感じます。たとえば、Facebook等のSNSは皆が使うから便利、という状況になってきています。

デファクトスタンダード、というのはこのモデルですね。
例えば、過去にビデオの規格争いで、VHS、ベータ戦争、というのがありました。VHSを推す日本ビクターとベータを推すソニーの争いでしたが、最終的には多くのメーカーの支持を受けたVHSに軍配が上がりました。なぜ、VHSが勝ったのでしょうか?VHSの方が画質が優れているから?違います。皆が使っているからです。
消費者はビデオを選ぶ時、ソフトが多い規格を選ぶでしょう。そして、ソフトメーカーはデッキが多い規格を選びたいはずです。後から参入するメーカーはユーザが多い規格を選択するはずです。このように、「皆が使っているから」という理由で選ばれるビジネスモデルがネットワーク外部経済性モデルですね。

例えば、PowerPointを多くの人が使っている理由は何でしょうか?最も素晴らしいプレゼンテーションが作れるから?違います。皆が使っているからです。
皆がPowerPointを使っているので、作成した後の共有がしやすい、あるいは、皆で加工・修正しやすいので便利なのです。

例えば、一般にPCで使われるキーボード配列(QWERTY配列)は、なぜ多くの人が使っているのでしょうか?最も入力しやすいから?違います。皆が使っているからです。
皆がQWERTY配列を使うので、慣れてきます。慣れてくると、他のキーボードにスイッチするのが大変になるため、いつまでもこのキー配置が使われるわけです。


ただ、このモデルもたまに破られる時があります。たとえば、今、SNSと言えば(特に、世界全体で考えると)、FacebookがNo.1です。SNSは皆が使っていることが重要なので、Facebookを今後も使う人が増えるのでは、と考えられます。しかし、以前、No.1はMySpaceだったのです。本名でやる、顔写真をつける、というようなことをベースとして様々な機能やルールを保持したことからFacebookが便利だと思った多くの人がスイッチしたわけです。

東京大学は、日本だけを考えれば4月始まりの方が圧倒的に便利です。ですが、世界を考えると秋入学の方が便利である、という意見が増えてきている、という事なのでしょう。
すぐにスイッチしないとは思いますが、東京大学がスイッチしてそれが便利だと分かれば、多くの大学がスイッチし、最後には高校以下の学校、企業も秋始まりになる可能性があります。

環境変化がビジネスモデルに影響を与える、そういう時代ですね。

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5Forces分析 (5つの力分析) とは?

シナプス後藤です。

5Forces分析は、ハーバード・ビジネス・スクールのマイケル・ポーター教授が提唱した経営戦略のフレームワークです。
5つの力を分析することで業界の競争ルールを見出し、自社がどのようにして利益を獲得するか、を見出すものです。
彼の著書、「競争の戦略」ではこの5Forces分析を中心として、様々なパターンでどのように戦略を考えるべきかを書いています。
競争の戦略
競争の戦略


5Forces、ですから、5つの力を分析します。すなわち、
・新規参入の脅威
・既存競争業者の脅威
・代替品の脅威
・売り手の脅威
・買い手の脅威
です。

これらの脅威が業界に対して圧力をかけることで収益性は悪化します。逆に、何らかの理由で圧力を排除出来れば、業界はとても儲かります。
それを分析するのがこのフレームワークであり、更に、「圧力を排除するにはどうしたら良いか?」を考えるためのフレームワークでもあります。

■5Forces 1つめ:新規参入の脅威
 新規参入が起こると業界のプレイヤーの数が増えます。プレイヤーの数が増えると、当然、需要と供給のバランスが崩れるとともに、顧客の選択肢が増えます。よって、価格競争が始まり、業界全体の利益率が落ちていきます。
 これが新規参入の脅威です。

 新規参入の脅威は、要するに「新規参入されるかどうか」ですから、今業界に参入していないプレイヤーが「参入したいと思うか?」「したいと思った時に出来るか?」を分析すればよいのです。魅力的で参入が簡単なら、誰しも参入します。それが例えば、免許が必要、とか、特別な特許障壁がある、というようなことがあると、新規参入は減りますよね。この参入の障壁が高いか低いか、が分かれば、新規参入によって今後業界の収益性が損なわれるかどうかが分析できるわけです。

■5Forces 2つめ:既存競争環境の脅威
 既存競争環境の脅威、とは、価格競争、あるいはサービス競争が起こるかどうか、です。たとえば、牛丼業界を考えてみましょう。牛丼業界はすき屋(となか卯)、吉野家、松屋の三社が主要プレイヤーです。彼らは定期的に安売り競争をします。280円牛丼などですね。冷静に考えれば、牛丼が480円であっても、個人でやっているお店ではその価格を達成しにくいと思います。牛丼チェーンはかなりコストダウンが実現できていますから、個人店だと利益度外視になってしまうのですよね。
 価格競争を行うのは、顧客を獲得したいからです。言い換えれば、安くしないと顧客を獲得できない状態、シェアを変動できない状態、と言う事でもあるのです。こういう業界だと、単価が下がりますから、結果的に利益率も下がります。
 これが既存競争環境の脅威です。

■5Forces 3つめ:代替品の脅威
 代替品の脅威、とは、まったく異なる商品が出てくることで顧客ニーズを満たしてしまう状態です。たとえば、時計の代替品は携帯電話です。最近、腕時計をしている人が減ってきました。それは、携帯電話に時計機能が付いているからです。
 時計を作るためには設備投資をして、生産ラインを作り、工場で作っていきます。そうすると、設備投資による固定費が大きいので、売れば売るほど、一個当たり単価は下がります。(固定費がならされるので)
 これが、携帯電話が普及していくと、時計を買う人が減ってきますので、生産ラインがフル稼働しなくなります。そうすると、時計一個当たりの固定費の配分が大きくなってしまいます。たとえば、生産数が半分になると固定費負担は倍になります。更に、ある一定の販売数を確保するために安売り競争になるかのうせいもありますね。従って、業界の収益性は下がってしまいます。

■5Forces 4、5つめ:売り手の脅威、買い手の脅威
 売り手の脅威と買い手の脅威は本質的な考え方は同じです。
売り手の脅威とは、自社にとっての売り手、つまり、部品等の納入業者や製造設備提供業者等のベンダーが値上げしてくることです。
 一方、買い手の脅威とは、顧客が値下げを要求してくることです。
 つまり、顧客や納入ベンダーとの価格交渉によって決まってきます。

 売り手が一社独占状態だと、価格は言い値になってしまいますから、値上げされたら合わせるしかありません。また、昨今の原油価格高騰のようにベンダー側のコストが上がればどうしても販売価格を上げざるを得ないので、結果的に値上げしてきます。
 一方、買い手、つまり顧客は選択肢が多ければ、「安い方から買うよ」と言えば、それが結果的に価格圧力になります。また、イオンやIYなどの小売業は安く仕入れて高く買う、というのが基本ですので、仕入れは出来る限りやすく買いたたく、という基本行動が起こります。
 これらが、売り手の脅威、買い手の脅威、です。



 5Forces分析はとても難しいフレームワークだと思います。勿論、5つの力をザザッと網羅するのは別に難しいことでもないのですが、ポーター教授が提唱している考え方をちゃんと理解しようと思うと、かなりハードルが上がります。
ポーター教授は、経済学(Business Economics)で博士号を取られているからなのか、経済理論が前提になっています。そして、基本的に業界は合理的な意思決定をする(つまり、儲かるところに皆が群がる)と言う事を前提としています。
また、様々な前提を説明せずに使っていたりします。たとえば、「規模の経済性」とか「経験曲線」とかですね。規模の経済性とは、「規模が大きくなると経済効率が良い」ことであり、経験曲線とは「累積生産量が増えるとコストが下がる」という考え方です。
これらのメカニズムが分かっていないと、何を言っているか分からない部分が出てくるのが難しいところです。

ただ、ザザッと網羅、だけでも新しい示唆を得られたりしますので、億することなく使って行くことをお薦めします。

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円高の影響が気になります

シナプス後藤です。

様々なニュースがある中で、最近「円高」がかなりフォーカスされています。これは円高、と言うよりもドル安、ユーロ安、と言うのが実態かもしれません。日本も国としての財政が結構厳しいところにありますが、よく言われるのは国民全体の貯蓄などの金融資産が相当量あるため、破たんする可能性は低いだろう、と。一方で、今の米国は債務問題がなかなか解決せず、これが今の円高の大きな要因になっているようです。

日本は基本的に加工貿易を主体とする輸出立国ですから、円高は困ります。よく、1$:80円くらいならなんとかなるが、それ以上円が高くなるとさすがに工場の海外移転を考えざるを得ない、というメーカーの声を聞きます。先日、円が75円代に入った、と言う事で話題になりましたが、1$:80円の想定が75円まで下がると言う事は為替変動だけで実質約6%の値下げと同じ効果があります。と言う事は、営業利益5%くらいの企業であれば、為替変動だけで赤字転落してしまう、と言う事です。
節電に加え、円高のダブルパンチで「国内が空洞化するのではないか?」と言うのが一般的に言われることで、そうなると国内の働き口が無くなり、さらに内需が低下し、景気が悪化していく、と言う事も想定されますね。

一方で、先日の日経のニュースでは、円高なのでM&Aに活路を見出す企業が増えている、ということもあるようです。また、個人としては今海外旅行に行くと割安で遊べるはずです。

本質的には円が世界的に力を持つ、と言うのは決して悪い事ではないと思います。ただ、急激な為替変動は大きな影響を伴いやすく、特に、輸出を中心とする企業にはダメージが大きいでしょうね。

またまた、PEST分析の話で恐縮ですが、これは経済、特に為替レートが事業環境に大きく影響している事例です。
※分かりやすい、と言う意味では好例ですが、今の日本全体にとっては具合の悪い例のようです。
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