シナプス・マーケティング・カレッジ☆公式ブログ

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マーケティング:環境分析

顧客の意見は売上を保証しない、だが確率は上がる

シナプス後藤です。

友人のblogで次のような事が書かれていました。

私が大手メーカの家電部門の商品企画にいた頃、その時の上司から、「ユーザの声を聞いてはいけない」と言われたことがあります。もちろん、ユーザを無視するという意味ではなく、ユーザの言うことを聞いてもなかなか実際に売れるものとずれが出てくるということです。なぜならユーザが自分が欲しいものをそもそも知っていない場合の方が多いですから。


【01Blog】ユーザの声を聞いてはいけない!?


顧客が言っていることを鵜呑みにしてもそれが売上に繋がらない事例は様々な人が様々な切り口で言っていて枚挙にいとまがありません。
例えば、次のサイトでは顧客の声と顧客ニーズの違いについて書いています。
顧客視点とお客様の声は違う!?マーケティングの成功9事例



顧客インタビューで明らかになるのは、「彼(または彼女)は、『何々が好き』と言っている」という事であって、その声そのものが売上を保証してくれるわけではありません。
顧客が自分自身の気持ちを表現できないこともあるし、間違ったことを言うことだってあります。また、「欲しい」と言うのと「買いたい」というのと「買うと言う行動に出る」と言う事ではそれぞれ大きな差があるのも事実です。だから、顧客が「こんな機能が欲しい」と言っていることをそのまま入れてもダメなことも多いのです。
だからと言って顧客インタビューに意味が無いかと言われるとそんな事はありません。顧客の言っていることを鵜呑みにしても売上に繋がることを保証しませんが、

 あなたの思い込みは顧客のニーズとは無関係

だからです。もし、あなたが考えているサービスのターゲット顧客があなた自身であり、あなたの欲しいものを作るとあなたは確実に買う、と言うのであれば問題はありませんが、自分はターゲット顧客とは違うとなった瞬間にあなたの意見自体に価値がなくなります。

 あなたの意見は無価値なのです

結局、仮説を立てるためには何らかの根拠が必要になり、根拠の確からしさは顧客を代表していないあなたの勝手な妄想より、顧客の声をベースにしたほうが良いに決まっています。


しかしながら、上述したとおり、顧客の声を聞くだけでは正しい意思決定に繋がりにくいのも事実です。ですので、私がニーズを取る時には最低限、次の二つの観点を気にするようにしています。

1) 彼(彼女)はターゲット顧客なのか
2) 本質的なニーズを探る

まず最初に気にすべきなのは、彼(彼女)が顧客なのか、を見極めることです。
もし、既にサービスをローンチしており、ターゲット顧客が決まっているのであれば、今目の前にしている相手が意見を聞くべきターゲット顧客かどうかを判断する必要があります。
50年前であれば、表面的な属性(性別、年齢、等)からターゲットかどうかが判断できましたが、今の環境下では心理的な要素が購買行動に大きく影響するため表面では分からないことも多いです。したがって、相手が真にターゲットになり得るかどうかをインタビューしながら見極める事が必要になります。

そして、いよいよ彼(彼女)がターゲットである、と見極めたら、本質的なニーズを探ります。シナプスでは本質的なニーズの概念の他に顧客から出てくるキーワードを「ウォンツ」と呼んで分けています。つまり、本当にやりたいことが「ニーズ」、その実現方法が「ウォンツ」です。
マーケティングの有名な事例に当てはめれば、
・ニーズ:穴を開けたい
・ウォンツ:ドリルが欲しい
です(※)。

近年では、行動観察やデザインシンキングのように早めにプロトタイプを顧客に提示する等、ニーズを明らかにする手法が様々提唱されています。但し、これらの手法を駆使しても顧客ニーズが分かるわけではありません。あくまで、確度の高い本質的な顧客ニーズの仮説を手に入れるだけです。
最終的には実際に売ってみて検証する、と言うのが正しい姿でしょう。ですが、確度の高い仮説を持てば持つ程、売上が上がる確率は上がります。

つまり、売上の保証はしませんが、売上につながる確率が上がります。その確率への投資が、顧客ニーズを聞くと言う活動なのです。


※ セオドア・レビットが言ったらしい事例。本質的、と呼ぶからには、何故穴を開けたいのか、というのを当然聞きますが、ここではそこまで言及しません。

ニーズを顧客にインタビューする際の注意点

シナプス後藤です。

新規事業や起業の際には、初期段階で顧客のニーズを聞かなければなりません。
(新規事業だけでなく、既存事業でも顧客ニーズは重要ですが。)
その際、調査会社を利用しようが、自分でやろうが、必ずインタビュー設計を行う必要があります。インタビュー設計のポイントは色々とありますが、重要な点で抜けがちなのは下記の3つです。

[1] インタビューの目的
[2] 仮説を作る
[3] 仮説を修正する

[1] インタビューの目的
 インタビューにはかならず目的があるはずです。ニーズを知りたい、価格感を知りたい、購入意向を知りたい、等。
 ですので、インタビューの結果、「この質問がyesなら、サービスはこれこれこうする」等、具体的に意思決定や今後の行動を決めておくと良いでしょう。
 流れとしては、下記の通りです。
 ・目的を決める
 ・目的に合わせて「何が分かっていないのか?」を明確にする
 ・何を聞くと分かるようになるかを明確にする
 ・回答しやすい質問に置き換える

 セルフチェックする場合には、それぞれの質問について「それを聞いてどうするの?」と問うて見てください。もし、明確に回答が出来ないようなら聞かない方が良いでしょう。
 もちろん、情報量は多いに越したことは無いのですが、インタビューの場合、相手の貴重な時間を使って重要な情報を取得するので、「聞かないより聞いた方が良い情報」を聞いている時間は余り無いのです。質問の無駄打ちをするくらいなら重要な情報にフォーカスしたいですよね。

[2] 仮説を作る
 ニーズのインタビュー設計をする際、多くの方が、「質問」は作るのですが「想定される回答」を作らないケースが多いようです。いわば、仮説ですね。仮説を持っているとより具体的、詳細なインタビューが出来ます。逆に仮説を持っていないと、漫然と聞くだけ聞いて終了してしまう事も多いので、私がインタビュー設計をする場合、必ず仮説もセットで作ります。
 「仮説を作るとバイアスがかかるのではないか?」という質問を受けることがありますが、勿論バイアスはかかります。ですので、インタビュー時に仮説に引っ張らないようにする必要はありますが、バイアスがかかったとしても仮説は立てた方が良い事が多いのがほとんどですね。

[3] 仮説を修正する
 立てた仮説はインタビューを進めていくと変わって行きます。と言うよりも仮説が磨かれていきます。従い、必要なインタビュー項目も変化していきます。
 言い換えれば、仮説は変わる、質問項目も変化していく前提でドンドン「磨いていく」というイメージを持って進めていくと良いのではないでしょうか。


特に、新しいビジネスを立ち上げる場合、分からないことだらけですから様々な情報収集が必要になります。一つ一つを有益なものにするためにもしっかり準備をしたいところです。

サッポロがセブン&アイにPB供給するとビール業界が辛くなる

シナプス後藤です。

サッポロビールがセブン&アイ用のPBを作るようです。この意思決定によって、ビール業界の利益率は下がるだろうな、と言うのが私の印象です。

マイケル・ポーター教授が提唱した5Forces分析は業界の収益性を考えるものです。儲かる業界には必ず儲かる理由があり、儲からない業界には必ず儲からない理由がある、というのを5つの脅威の力を使って考えるフレームワークですね。
シナプス・マーケティング・カレッジ☆公式ブログ「5Forces分析 (5つの力分析) とは?」

ビール業界は意外に価格が守られています。理由は、大手4社寡占であり、4社とも比較的「大人の会社」で価格競争を仕掛けないことが大きいと思います。日本マーケットの飲酒量を考えた時に、無理なライン拡大もしないし、シェアを大きく上げるために「価格競争」という選択肢も取らない。
テレビ(家電)業界ではシェアを取るために一気にラインを拡大する、と言う選択肢を取りますので、価格は一気に下がります。(コストが下がる、と言う事もありますが、需要と供給の関係も大きいです。)
また、牛丼業界では価格競争に陥ったがために一気に収益性が悪化しました。

こういったことが起こらないのは、ビール業界がIYやイオン等の小売の圧力に負けず、価格競争に入らなかったからです。
また、同じようにキリン、アサヒ、サッポロ、サントリーの大手4社がPBを作らなかったのも同じ理由ではないかと思います。PBを作ってしまうと、コントロールが小売側に移ってしまうのを恐れた、と言う事ではないでしょうか。

イオンはトップバリュに韓国メーカーのビールを採用しましたが、これは恐らく日本の4社に断られたからだと思います。


PBのメリットは売上ボリュームが確保できることです。だから、ラインの稼働率が高く維持できます。多少、売上が下がっても、その分を補てんできるだけの稼働率が維持できる、と言う事でしょう。特に、セブン&アイであれば、日本最大のコンビニチェーンであるセブンイレブンの棚を優先的に取れますので、かなりの量がはけることが期待できます。

一方で、最大のリスクは、PBでラインを構成してしまうと、セブンイレブンの棚に大きく依存することになってしまう事です。セブン&アイにしてみれば、全国のセブンイレブンに十分配下できるだけのライン確保を依頼するでしょう。そうするとサッポロとしてはその分を確保しなければならない、場合によっては拡張の可能性だってあるわけです。

ところが、セブンイレブンに依存する、と言う事は、セブンイレブンの方が交渉力が強くなる、と言う事でもあります。5Forces分析の中で言う、「買い手の交渉力が増す」状態になるわけです。
セブン&アイが手に入れたのは、単にPBのビール、と言う事だけでなく、ビール業界に対する需給コントロール、と言う力ではないでしょうか?


セブン&アイが儲かるようになれば、当然その分の利益はビール業界が削られることになります。サッポロはまだ売上を確保されているから良いかもしれませんが、キリン、アサヒ、サントリーの3社はこのPBの存在によって価格競争を余儀なくされるでしょう。


この提案に乗れたのは、ビール業界の中でのプレセンスが相対的に下がっているサッポロだからでしょうね。

1消費者からすると、ビールの価格が下がってくれれば嬉しいに越したことは無いですが、今後ビール業界がどう推移していくかは注目すべきところではあります。

消費税増税による業界へのインパクト

シナプス後藤です。

消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法が成立しました。これはつまり、現在5%の消費税率が2014年4月には8%に、2015年10月には10%になる、と言う事です。

勿論、様々な政治的動きによってひっくり返る可能性もありますが、今の国家の財政状況から考えると「このまま増税する」と言うのが今のところの政治の動きではないかと思います。

さて、これを前提とした場合にはどういったことが考えられるでしょうか?
PEST分析とは、まさしく、こういった国家レベルくらいの大きなマクロ環境の流れを捉えるフレームワークですが、Politicalな要素が変われば当然、Economicalな要素やSocialな要素は変わってくるわけです。
PEST分析についてはこちら



一番大きいのは景気に対する動向でしょう。消費税が上がるとすれば当然消費意欲が下がります。ですので、2014年4月、2015年10月と徐々に消費は絞られていくことが想定されます。
一方で、消費税が5%に上がる時もそうでしたが、消費税が上がる直前は消費が増えます。今回で言えば、2014年の1-3月や、2015年の7-9月辺りがそれに当たるでしょう。
この動きは、消費者が賢いから、というよりもむしろ小売業界がこの動きを増長しているように感じます。「今買わないと損しますよ!」と言う事をうたってプロモーションしますから、消費者としては当然買いだめに走るわけです。

意外にこの手の法律変更で特需になるのはIT業界でしょうね。多くの情報システムは消費税パラメータを変更すれば問題なく稼働するはずですが、それでも影響範囲が読めないケースも有り、変更するための予算が計上されるはずです。


一方で、上述したとおり、税率が上がると消費が絞られます。これは個人でも企業でも同じですが、価格転嫁をするかどうかについては、各企業が意思決定を迫られる形になるでしょう。
例えば、飲料の自動販売機で考えると、今、350ml缶の飲料が120円のところ、5%上がると言う事は、126円になるわけです。価格転嫁すれば、通常自動販売機は1円玉や5円玉には対応していないでしょうから、130円にするしかないわけです。とすると、便乗値上げ?
こうなると、単純に価格の問題なのか、あるいは、「入れる枚数が、3枚から4枚に増えるから」と言う理由かもしれませんが、とにかく消費は落ちるでしょう。一方で価格転嫁しない、とすると、今の利益から単純に5%マイナスになる、と言う事になります。


一市民、一国民として法案をひっくり返すような投票をするというのも選択肢ですが、冷静客観的に「変わってしまうものは変わってしまう」と捉えることも必要になります。と言う事は、このタイミングを上手く利用して売上を増やす、と言う事も選択肢でしょうね。消費税率が上がる前のタイミングは消費しやすいマインドが出来ますので、そこに上手く乗れると良いのでは、と思います。

弊社でもお客様が望むなら、「前払い制の研修・コンサルティングチケット」等を売り出してみるのも良いかもしれません。ただ、これをやる場合は、お客様のAsset(資産)が増えることになるので、そういった経理処理に対応できるかどうか、みたいな議論にはなると思いますが。

いずれにしても、変わることに備えて何らかの準備は必要ですね。

「分析」作業でやるべき2つのこと。

シナプス後藤です。

マーケティングや経営戦略では「**分析」という名前が付いた様々なフレームワークが登場します。多くの場合、頭文字をアルファベットにするか、纏めて数字にするかで、
・PEST分析
・3C分析
・SWOT分析
・5Forces分析
などがあります。(他にも色々ありますがとりあえず代表的なところで。)

これらの分析は、我々に考えるべき視点を与えてくれて、それがヌケモレないように、初心者でも大きなミスが無いように考えられています。

しかしながら、3C分析やSWOT分析を見る人が見ると、「こんなのじゃ全然ダメだ!」という結果になることも多々あります。それは何故なのでしょうか?

多くの方がミスをするパターンは大きく二つあります。
1) 言いたい事は分かるが情報武装が足りずただの妄想になっている
2) 取ってきた情報の羅列に終わってしまい、何が言いたいのか分からない


これは分析作業において必要なステップを踏んでいないから、意識していないからではないでしょうか。

シナプスでは大きく分析作業を2つのステップに分けています。
すなわち、
・ファクト(事実)抽出
・メッセージ化
の二つです。

上記の1)は、明らかに事実情報が足りません。なぜこういう事になるかと言うと、ほとんどは、[1]事実収集の視点にヌケモレがある、[2]分析作業の中に事実収集を含めていない、あるいは、[3]事実が取れないと思って諦めている、の3つのうちいずれかでしょう。
特に致命的なのが、[1]で、足りない情報が何か分かっていない、となってしまうと正しい意思決定など出来るはずも有りません。フレームワークはこういった事態を防ぐために考えられたもので、事実情報の収集にはフレームワークの観点からヌケモレを無くす、という作業が必要になりますね。

[2][3]は分析者の基本スタンスの問題です。特にマーケティングに関わる本当に重要な多くの情報はGoogle検索では見つかりません。(見つかるくらいなら全員が知っていてもう重要ではなくなっています。)
しかし、ちゃんと取りに行けば意外に取れたりするものなのです。

1)のケースでは、情報が取れない、あるいは必要な情報が何か分からないから情報を取らない、という状況に陥ってしまいますが、重要な情報が無い中での意思決定は道に迷った時に地図を見ないでカンで「こっち」と言うようなものです。



2)のケースは「3C分析」という言葉を知り、使い始めた方に多い傾向かもしれません。

「市場規模は100億円です。競合にはA社とB社がいます。自社は商品開発力があります。」

こういう情報は必要なのですが、これだけだと「だから何?」と言われるのがオチでしょう。
マーケティングにおける分析は、自分たちがどうすべきか、この事業をどうすべきか、という示唆があるべきです。ですから、市場規模100億円が自分たちにとってどういう位置付けにあるのかの解釈が必要でしょう。

SWOT分析は、解釈をし、メッセージ化するためのフレームワークです。たとえば、市場規模100億円と言うのは機会なのか、脅威なのか。もし、「今、当社の売上は10億円だが、潜在市場規模は100億円で拡大余地は大きい」と言うことであれば機会ですし、「今、当社の売上は110億円だが今後市場規模は競合も併せて100億円に縮む」と言うことであれば脅威に他なりません。
一つの事実はプラスにもマイナスにもなります。要するに分析者のセンスによって決まってくるわけです。


当然、フレームワークによって二つの工程のどちらに適しているものか、という使いやすさは有ります。シナプスでは、PEST分析、3C分析はファクト抽出を、SWOT分析はメッセージ化を行うためのフレームワークとして紹介しています。5Forces分析は原著「競争の戦略」を読むと、このフレームワークで両方の工程を行っているようです。


分析作業で心掛けるべきことはたくさんありますが、少なくとも、
・ファクト(事実)抽出
・メッセージ化
の二つの工程がある、と言う事を理解しておくと良い分析になると思います。
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