マーケティング:今この人に聞く!

2008年12月28日

「今この人に聞く!/マーケティング・インタビュー」【VOL.10】5

今月の「今この人に聞く!/マーケティング・インタビュー」のゲス
トは、ロゴ&WEBの専門家(デザイナー):佐藤孝行(さとう たか
ゆき)氏をお迎えして、マーケティングにおけるクリエイティブの役
割について等を中心に、お話しを聞いていきたいと思います。


【今月のゲスト】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

〜佐藤 孝行(さとう たかゆき)〜

株式会社ロゴ・アンド・ウェブ 代表取締役
http://www.logoandweb.co.jp/

東京造形大学造形学部デザイン学科を卒業後、販売促進専門の広告
代理店にて、デザイナー/ディレクターとしてアサヒビール、大正製
薬、ブリヂストンタイヤ等の大手企業を中止とした販促ツール制作に
幅広く携わる。
その後、ヤオハンUSAの本部マーケティング部の責任者として渡米。
米国在住の日本人、日系人に向けて年間販促計画の作成、イベントの
企画・運営、テレビCM・フライヤーのデザインディレクション等を担
当。帰国後、フリーのデザイナー、イラストレーターとして活動。
07年4月に「株式会社ロゴ・アンド・ウェブ」として法人化。
08年6月鳥取大学イメージキャラクター最優秀賞受賞。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*テーマ:『マーケティングにおけるクリエイティブ表現について』

◆インタビュー◆───────────────────────

【名和田】
佐藤さんとは、知り合ってかれこれ12年になりますかね?
実は私が一番最初に入社した会社の先輩に当たります。
その頃から、既に第一線のデザイナーとして活躍されてました。
そもそも、販売促進のデザイナーになろうと思ったきっかけは何だっ
たのですか?

【佐藤】
両親が写真屋だったことが一つの理由ですね。
フジフイルムや小西六からちょくちょく等身大パネルやのぼり、ポス
ターやステッカー、さらには三角くじなどのミニイベント用のキット
が届いて、子どもの頃から販促ツールに親しみやワクワク感を覚えて
いました。

自営業の親を見て育ったので、大変な仕事をしているお店の人に、絵
を描くことで役に立てたらいいな、喜んでもらえたら嬉しいな…とい
う想いが原点にあります。
それと、就職活動をしていた時期「これからはSPだ、イベントだ!」
みたいに持てはやされていて、影響されたというのもありますね。

【名和田】
そうだったんですか。販促ツールは確かに雑誌の付録みたいなワクワ
ク感が有りますよね。
しかし、「SPだ、イベントだ!」というのは、私が就職活動する頃
も言われていましたね(笑)

そこから、ロゴとWEBに特化した専門家になられた理由というのは?

【佐藤】
社会人になった当時、PAOSやデザインセンターがCIで素晴ら
しい仕事をしていて、デザインで大企業を動かすなんてすごいことす
るなぁと思って、ロゴマークに興味を持つようになりました。

小学生の頃、スーパーカー・ブームで外車が好きだったので、ポルシ
ェやBMWのロゴに憧れたり、中学になったらスポーツメーカーのロゴ
に惹かれたりしたのも影響あるかもしれません。
adidasのコピーの「adidos」を初めて見たときの衝撃は忘れられませ
ん。

【名和田】
なるほど。幼少期からロゴマークへの関心が高かったのです
ね。では、WEBというのはいつ頃から?

【佐藤】
webは、割と早くから興味があって、Yahoo!JAPANのサービスが開始
された年、たしか96年ですが、その時には既に自分でhtmlを手打ち
してホームページを作っていました。

当時アメリカのプロバスケットボールにはまっていて、「NBAおやじ」
というNBAのベテラン・プレーヤーの似顔絵を中心としたサイトを運営
していました。

競合も少なかったし、Yahoo!カテゴリには簡単に登録できたし、アクセ
スもそこそこあって楽しかったですね。ネットを通じてリアルの友達も
できましたし・・・。その前には、ニフティサーブもやっていたくらい
です。

ネットには私のような文系の人間でも夢を持てました。
当時からこれは画期的な技術だと、すごいことだと思って興奮してまし
た。パソ通やってるって大きな声で言いづらい時代でしたけどね。まだ
まだマニアックな領域で・・・。

【名和田】
そう言えばそうでした。かなり早い時期から、ホームページ
なども作られてましたよね。
私もまだネットに対する知識が乏しい頃から、色々その凄さを聞かされ
た記憶が有ります(笑)

しかし、当時は技術面も含め、かなり習得するのは大変だったのでは?

【佐藤】
webデザインは、みんな独学ですが、とにかく好きで勉強しまし
た。今も、Flashというソフトのアクション・スクリプトという言語や、
webサイトを表現するためのxhtmlとcssのテクニックを勉強しています。
web関係は勉強するのが楽しいので、苦になりませんよ。

【名和田】
話しは変わりますが、過去にアメリカに渡っていますよね?
日本と米国のマーケティング(販促)に関する考え方の違いに、何か
特徴的なことって有りますか?

【佐藤】
アメリカ人はクーポン好きっていうのが印象的でしたね。
新聞の日曜版に挟まっているのを、マメに切り取って使っている方が目
立ちました。
また大きな車で大量に買い物するという習慣もあって、ホールセールク
ラブなど、とにかく価格勝負の店が元気という印象です。日本の100円シ
ョップのような99セント・ショップも流行ってましたし・・・。

【名和田】
クーポン好きっていう話しは、聞いたことが有ります。
最近は、日本でも同じような現象が起きていますよね?
では、表現やクリエイティブといった部分はどうですか?

【佐藤】
テレビもチラシも商品写真と値段がわかれば良いっていう、シ
ンプルな表現が目立ちました。
日本の方がイメージ広告の比率が高いように思います。接客もそうです
が、日本の方がずっと「品」がありますよ。

【名和田】
ほう。そうなんですか。
それって、米国全土で見られる傾向なんでしょうか?

【佐藤】
全てがそうとも言い切れませんが、日本と比べるとそうですね。
私は英語は最低限しか話せませんが、同じく英語が苦手なメキシコ系移
民が多い土地柄のLAだったので、余計に単純な広告が目についたのかも
しれません。
アメリカは貧富の差が激しいので、販促やデザインも富裕層向け、それ
以外向けというカタチで二極化していますしね。

【名和田】
ショッピングモールの店舗やディスプレイなどは、「おっ!」というの
も有る気がしますが、どうでしょうか?

【佐藤】
おっしゃる通りです。ビルボードや店舗デザインやディスプレ
イは、確かにさすがと思わされるものが多かったです。

ヴィクトリアズ・シークレットなんていう女性下着の店舗は、よく
ショッピング・モールに入っていたのですが、非常に派手で開けっ広げ
で、商品陳列の迫力に圧倒されましたね。
いや、カミさんが買い物につき合っている間、少し離れたところから見
ていただけなんですが(笑)

論理的に説得して商品を買わせようとするのではなく、パッと見た目で
「安い!」とか、「すごい量!」みたいな売り方がメインです。
直感的で分かりやすく、ある意味すがすがしい感じがしました。

デザインの拡大解釈になるかもしれませんが、アメリカは通りの名前と
番地だけで、目的地に着けるのはすごいと思いましたね。
カーナビがなくても問題なかったです。日本ではそうはいかないですか
らね。

【名和田】
あ〜確かにそうですね。
そもそもマーケティングや販促のデザインに求められるものって何なん
ですかね?

【佐藤】
たいていの人が冠雪の富士山や満開の桜を見ると「きれい」だと感じま
すし、“ジュージュー”と音を立てて焼き上がるステーキ肉のクローズ
アップ動画を見れば「美味しそう」と思います。
矢沢永吉に「もったいない!」と言われるとドキッとしますし・・・。

そんな誰もが共感するビジュアルやワードを駆使して、共感をもとに
購買意欲をそそり、実際に売上につなげる役目を果たすことだと思いま
す。
「絵」や「写真」というビジュアルと「キャッチ・コピー」というワー
ドの両方の絶妙な組み合わせ方ですよね。

【名和田】
そう思います。イメージを記憶してもらう、購買に直結させる等ありま
すが、いずれにせよ最終的には購買に結びつく流れをつくることが目的
ですからね。

*最近の企業サイトの傾向については、どう思われますか?

【佐藤】
企業がホームページを持つのは当たり前のこととなりましたが、5年以
上前の古い構造のままのホームページと、ここ2〜3年の間に作ったホー
ムページが混在していますね。

まず、見栄えが違いますし、自社で更新できるシステムが導入されてい
ると更新の頻度に明らかな差が出ています。
ホームページの更新頻度は高いほど、SEO的にも良いので。
YouTubeなどの活用も珍しくなくなり、動画を使っているサイトも増えて
います。また以前より制作料金が下がっていること、SEO対策に効率的で
あるということから、キーワード毎にサイトを切り分け、複数サイトを
持つ企業も目立ちます。

【名和田】
目的によっても変わると思いますが、企業サイトの骨格として求められ
るモノとは何でしょうか?

【佐藤】
基本的な論理構造と、それを追いやすいナビゲーションだと思います。
題名、大見出し、中見出し、段落…というふうに文書には構造があります
ので、それに基づいて原稿を作ること。

そしてその原稿に興味を持つユーザーが、簡単に読むことができるように
メニューやボタンでナビゲートすることです。
いくら良いことが書いてある文書でも、読めなければ意味がありませんの
で。CIに基づいたカラーリングにしたり、文体を合わせることなど、企業
の信頼感とサイトの統一感を損なわないために必要なルールを作り、守る
ことも大切です。

【名和田】
なるほど。では、ロゴデザインにおいて、何か特別心掛けていることは?

【佐藤】
ロゴマークは、名刺にワンポイントで使われたり、看板に使われたりと、
様々な大きさで印刷されますので、大きさによって印象が変わらないよう
シンプルにデザインするようにしています。

印刷の色数が限られる場合や、色の諧調を表現できない、例えばカッティ
ングシートを利用する場合もあるので、グラデーションやぼかしはできる
だけ使わないようにしています。

【名和田】
佐藤さんは、ブランディング名刺というのもやられてますよね?
そちらについても教えてください

【佐藤】
「公私ともにブランディング名刺」は、表裏フルカラー、似顔絵、QRコー
ド入りの名刺で、ヒアリングに基づいてお客様の会社やお客様自身のキャ
ッチコピー作って印刷し、ユニークな個性が瞬時に伝わるような名刺です。

名刺は誰もがすんなりと受け取ってくれる優れたチラシと考えています。
91×55ミリのスペースを最大限に活用して、表面にビジネスの情報、裏面
には個人としての情報をしっかり入れて、初めてお会いした方に強い印象
を残せます。

【名和田】
名刺は我々のように、独立している人間にとっては、最大のセールスツー
ルですからね。

そういえば今年は、鳥取大学のイメージキャラクターの最優秀賞を受賞さ
れましたよね?おめでとうございます!

【佐藤】
鳥取県を代表する大学、鳥取大学なので、素直に鳥取県の鳥「オシドリ」
をモチーフにキャラクター化しました。
約200点の応募の中から選んでいただけたそうで、嬉しかったですね。
手には探求心と知識欲を表す青い本を持ち、角帽は大学生らしさを表現し
ました。9月には「とりりん」という名前に決まったそうです。
着ぐるみも作っているらしいので、それも楽しみにしています。

http://www.tottori-u.ac.jp/dd.aspx?itemid=1789#itemid1789

【名和田】
それでは、最後に今後の活動と会社、個人を含め目標をお聞かせ下さい。

【佐藤】
ロゴマークとウェブ制作を「明快な価格で販売するサイト」を現在制作中
です。デザインは、どうしても実作業前の見積りが甘くなりがちですが、
今後はデザイン要件を明確にして、正確な見積金額を出せるようにしてい
こうと思っています。当たり前のことなのですが。

個人的には、ホームページの作り方やPOPの描き方、似顔絵を含むイラスト
の描き方などを覚えたいという人に指導していきたいと考えています。

今後とも宜しくお願いします。

■……………………………………………………………………………■

<インタビューを終えて>

今回は、日本と米国における販促表現の違いという、面白い話を聞
くことが出来ました。
クリエイティブ表現の要素は、企業活動において外すことのできな
いものです。特に、自社サイトや名刺などは、このクリエイティブ
表現の良し悪しで、明確な差が出てしまうとも言えます。
今一度、自社ツールの表現要素について、見直してみてはいかがで
しょうか?
            
                       (by nawata)



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2008年11月19日

「今この人に聞く!/マーケティング・インタビュー」5

今月の「今この人に聞く!/マーケティング・インタビュー」
のゲストは、このコーナーには珍しい?保育園の経営(園長)をさ
れている「玉居子 高敏」(たまいご たかとし)氏をお迎えし、
地域一番店(園)になった、その戦略についてお伺いしていきたい
と思います。

*保育園の名称については諸事情により伏せさせて頂きます。

【今月のゲスト】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

〜玉居子 高敏(たまいご たかとし)〜

(越谷市某保育園園長)大学卒業後、不動産コンサルティング会社
を経て保育園の開業コンサルタントに転職。
まったく未知の業界に飛び込んで悪戦苦闘をしながらも、保育事業
の社会性やおもしろさに魅かれ、自ら開業することを決意。
その後、経営する保育園を地域NO.1保育園へと育てる。
自身でも、NPOランチェスター協会認定インストラクターの資格を
取得し、保育経営と並行して、同じように苦しみを抱いていると思
われる中小零細向けのコンサルティングをすべく「弱者逆転研究所」
を設立。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*テーマ:『地域NO.1保育園への戦略とは?』

◆インタビュー◆──────────────────────

【名和田】さっそくですが、基本的なことから教えてください。
そもそも、保育園業界の仕組み?とはどのようになっているのでし
ょうか?


【玉居子】ハイ。保育園は通常、自治体などから園児を紹介され
てお預かりする場合と、直接保護者の方とやりとりをして、自治体
を通さずにお預かりする場合があります。

また、自治体から保護者の方に、保育料補助が出るパターンと出な
いパターンがあります。
利用形態も定期的にお預かりする『月極め保育』と、不定期利用の
『一時保育』とがあります。

利用形態については、駐車場の月極め利用と一時利用のイメージに
近いものだと思って頂けるとわかりやすいと思います。

当園に関していうと、保護者の方に補助が出るパターンと、出ない
パターンの双方の利用形態があります。
また月極めと、一時保育の利用についても双方あるといった形態で
運営しております。


【名和田】なるほど。良くわかりました。
ところで、玉居子さんは、不動産コンサルから保育園開業コンサル
を経て、ご自身が実際に保育園の経営者になってしまったという、
変わった経歴をお持ちですが、その保育園にマーケティング戦略を
持ち込もうと思ったのは、やはり原点がコンサルだったからでしょ
うか?


【玉居子】確かにそれも有るかも知れませんが、正直独立後、経
営の課題と向き合いながら苦悩する日々を過ごすしていたんです。

独立をして感じたことですが、自分自身の中で、明確な判断基準と
なるものをもっていないために、不必要な部分での悩み・苦しみが
多かったというのも有りました。

その中で、いろいろなマーケティング分野について調べてみたとこ
ろ、ランチェスター戦略というものに出会いました。
この理論は、非常に明確でかつ実践的な指針と方向性を導いてくれ
るものだと強く感じ、この戦略を会得しようと心に決めて学び始め
ました。


【名和田】具体的にはどのような課題意識や悩みだったのですか?


【玉居子】例えば、チラシを自分でポスティングするにしても、
どの地域から重点的に集客すれば良いのか?その判断基準がない為、
とりあえず広い範囲でまいてみる。
結果、反応が薄いために、再度広告投資をするということを繰り返
してたということが有りました。

原因が、明確な判断基準が無いが為に、無理や無駄が多く、収益の
圧迫につながっているというのは強く感じてはいたのですが・・・。


【名和田】そこから、ランチェスター戦略を学び、今では地域NO.
1店(保育園)となったとのことですが、当時のその地域における
競争状況は、どのようになっていたのでしょうか?


【玉居子】私の園は、ランチェスター戦略を導入する以前は、周
辺地域では4・5番手といったところでした。

当時の1位の企業(園)は、現在も2位で、いわばもっとも手ごわ
いライバルなのですが、当時は圧倒的1位で、自社とのシェアの差
は、3倍近く離されていたと思います。

それ以外にも、近隣に4社ほどありましたが、ランチェスター戦略
を導入後は、この4社よりもシェアを上回るのには、それほど時間
は掛かりませんでした。
しかし、当時の1位企業だけは、中々超えることができず、今年に
入って初めて抜くことができたという状況です。


【名和田】となると知りたいのは、具体的な戦略ですね〜。実際
にはどのようなことを行なったのですか?


【玉居子】ランチェスター戦略の中に「地域戦略」という項目が
あります。この地域戦略は、店舗型ビジネスを展開している方にと
っては特に有効的で、かつ実践に役立つ内容がふんだんに盛り込ま
れています。

私もこの地域戦略の考え方をベースとして、集客・運営を行ってか
ら急速にシェアの獲得をすることができました。

【名和田】もう少し詳しくお聞かせいただけますか?

【玉居子】まずは地域の細分化を行い、その中で集客の重点地域
を決定し、そこに資源の集中投入をしました。

具体的には、チラシなのですが、この地域で一定の集客が取れるま
では、他の地域に資源を投入しない!と決めて配布したので、配布
地域の範囲は、ランチェスター導入前の1/3以下になりました。

その分、重点地域の配布量は場所によっては、3倍以上になる所も
有りましたが、自分が思っている以上の反響を得ることができたの
も事実です。

自社がここでは絶対に勝つ!と決めた地域から、集客ができなけれ
ば、シェアをあげることは難しいということを実感した一つの例で
もあります。


【名和田】チラシ以外では?


【玉居子】ハイ。まず競合を知るにあたり、ランチェスター戦略
でいうところの、ローラー調査を実施しました。

このローラー調査で、同業他社調査をする際は、女性スタッフと友
人男性をペアにして、夫婦役を演じてもらい、その園の集客状況や
雰囲気、課題などを直接見ることで、貴重な情報を得ることができ
ました。

まぁ、実際、同業他社の内情や戦略について調べた結論を言うと、
他の同業は、保育の部分についてはそれぞれ特色の違いが伺えまし
たが、マーケティングに関しては、これといった手法を実践してい
るところが皆無に等しい、ということがわかりました。

このことにより、ランチェスター戦略を正しく実践すれば早い段階
で1位の座を獲得することができると直感的に確信することができ
ました。


【名和田】でも、特色の違いがあったのですよね?それって、ど
んなものだったのですか?
また、それに対し、自社は何をしたら「いける」と思ったのです
か?


【玉居子】サービスの面でいえば、24時間営業していたり、自
社で手作りの調理をしていたり、駅前に出店をしていたり、幼児
教育に力を注いでいたりなどの特色がありました。

これらの情報をもとに、自分なりの分析をした中で、思ったことは
「お客様にとって重要な差別化」をすることだと思いました。
同業他社のサービスの中には顧客視点ではなく、自分視点でのサー
ビスの提供をしているところも多く見受けられたからです。


【名和田】そうですね。顧客視点・・・。よく言いますが、簡単
な様で、意外と見れていないケースが有りますよね。
実際に、1位となってからは、何か大きな変化は有りましたか?


【玉居子】1位になってからも、競合から見られる目というのは
あまり変わっていないと感じていますが、顧客(保護者の方)から
の目は変わったと感じています。

今までお子様を預ける際に、1位企業と当社の双方を比較対照した場
合に、どうしても1位企業にお預けする方が多く見受けられましたが、
1位になってからは、当社を選択する方が増えていると実感しており
ます。


【名和田】まさにそれが、NO.1になるメリットの1つですよね。
1つお聞きしたいのですが、この業界は、理念や教育方針が、通常の
企業以上に、大きく影響しそうに思われますが、貴社はどのような
理念や方針を掲げていますか?


【玉居子】保育園に限らず、人が商品のメインとなる業種(たと
えば美容室や学習塾など)は、特に経営理念を明示し、かつそれを
人材育成の柱として浸透させることが、同業他社との最大の差別化
になると考えます。

また、機能的かつ戦略的な組織構築にも欠かせない重要事項だと捉
えています。

経営理念の浸透は「人材」を「人財」へと育てる、最良の手段と考
えます。経営理念を軸とした経営手法を「理念型経営」と呼びます
が、この「理念型経営」の導入が何よりの差別化と考えています。


【名和田】是非、貴社の具体的な理念についてもお聞かせ下さい。


【玉居子】『保育サービスを通して、地域の方々、保護者の皆様、
子供たちに喜びや感動、幸せを提供する』をモットーにサービスの
向上と質の維持をすべく日々、業務に取り組んでいます。

また利用頂いている方々には、『保護者の方や子供たちのライフス
タイルを彩り、夢や目標の実現を応援する保育園』になるという理
念を掲げております。
言うは易し、成すは難しということを強く実感しておりますが(笑)
それでもこの理念を実現することが、自社の存在意義になっている
と感じております。


【名和田】素晴らしいことですよね。是非その志を貫いて頂きた
いと思います。それでは、最後に保育園の今後の戦略、構想など、
玉居子さんのビジョンについてお聞かせ下さい。


【玉居子】前述の地域戦略の考え方に基づき、今年の9月に2店
舗目を開設しました。来年には近隣地域へ3店舗を開設することを
決定しております。

ランチェスター戦略の考え方でいうところのNO.1の地位を盤石に
して、まずは、足元である越谷市における絶対的地位を確立したの
ちに、次の地域への進出を検討したいと考えております。

今後も、保育サービスを通して、地域の方々、保護者の皆様、子供た
ちに感動や喜び、幸せを提供することを使命として、取り組んでい
きたいと考えております。

■……………………………………………………………………………■

<インタビューを終えて>

わずか1年弱で、地域NO.1の保育園になったと聞いて、どんな戦略
を仕掛けたのか?話しを聞くまで、非常に気になっていました。
ランチェスター戦略では、戦略とは「目標達成の為のシナリオと資
源の最適配分」と提議していますが、今回のケースは、まさにこの
最適配分が功を奏したのではないかと感じました。

ただ、それ以上に玉居子氏の言う経営理念が、しっかりと親御さん
達へと伝わったことが結果へと繋がったのではないかと思います。

余談ですが、うちの子も来年から幼稚園です。
毎日の送りは私の日課!今からワクワクしています。
また楽しみが増えそうです。                   
                       (by nawata)

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2008年08月19日

今この人に聞く!マーケティングインタビュー【vol.6】

【8月のゲスト】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

〜富田 眞司 氏(とみた しんじ)〜
http://www.kikaku-party.net/index.html

名古屋大学卒。販促プランナー、広告・販促・企画業務一筋に40
年。
企画書づくり、シニアマーケティング、販促企画立案などが専門分
野。
三晃社、野田合板、デルフィスなどを経て、2002年7月に独立、
CSN企画(C:コアコンピタンス、S:スピード、N:ネットワ
ークの略)を設立。豊富な経験を生かし、講演、執筆、コンサル活
動に加えて、各種企画立案などを行う。また、若手の育成にも注力。
以前には、シナプスマーケティング・カレッジの講師も担当。
☆最新本「A4・1枚最速の企画書」(宝島社1575円)
http://www.kikaku-party.net/tomita/index.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◎テーマ:「これからのプランナーはストラテジストたれ!」

◆インタビュー◆──────────────────────

【名和田】今回のゲストは、私の恩師でもある富田眞司先生ですの
で、ちょっと緊張しますね。。。(笑)

まずお聞きしますが、ここ数年の間に凄いペースで、企画書関連の
書籍を出されてますよね?

今年に入っても既に2冊?出ております。
現在何冊くらいの企画書関連の本を書かれてますか?

【富田】全部で13冊(韓国語含め)執筆しました。
企画に関する本は全部で10冊になります。

その中で「企画書づくり」に関する本が8冊になります。
企画本だけで、総発行部数9万冊になります。

【名和田】「企画書づくり」の本で、8冊というのもまた凄いです
よね。ネタも含め中々書ける数ではないですよね。

【富田】この2年間で5冊執筆できたのは、私が主催する企画パー
ティのメンバーや恵比寿企画塾の受講生に優秀な執筆協力者がいる
お陰です。

名和田さんにも、執筆協力いただいていますね。本当に助かります。

お陰様で、アマゾンの企画書本で1位の「A4・1枚究極の企画書」
をはじめ、ベスト25に6冊の執筆本がランクインしています。

この場を借りて執筆本の読者の方に感謝の意を表したいと存じます。

【名和田】こちらこそ、有難うございます!
しかし、1位も含め6冊がアマゾンのベスト25以内に入っている
のには驚きました。

まさに企画・企画書のオーソリティーですよね。
そんな先生が「企画書」の話しと同時に最近あちこちでプランナー
についても語られています。
今回はその辺りについて、詳しくお聞きしたいと思います。

【富田】最近話す機会が確かに多いですね。
どうぞ何でも聞いてください。

【名和田】先生は、これからのプランナーは「ストラテジストたれ」
ということをご提唱されてますが、これはどのような意味なのでし
ょうか?

【富田】プランナーは将来に対する提案をします。

時代が激変する今、プランナーにとって重要なのは、将来を見据えた
戦略提案できるかどうかにかかっています。

端的に言うと、それがストラテジストです。
ストラテジストとは、投資戦略を考える専門家の意味で使われますね。

【名和田】あぁ、ハイ。そうですね。
先生は、現状の「プランナー」といわれる人達についてどのように思
われていますか?

【富田】あらゆる業界にプランナーと名のつく方がいますが、真にプ
ランナーといえる人は少ないでしょね。

【名和田】なるほど。ちょっと私も耳が痛い話しかも知れません。
(笑)でも確かに「プランナー」という定義が曖昧というか、誰でも
名乗れますからね。

【富田】おっしゃるとおりですね。名ばかりのプランナーが多いです
ね。経験不足、提案力不足、視野の狭い発想などが目につきます。

【名和田】本来「プランナー」とはどのような存在であるべきなので
しょうか?

【富田】経験に立脚した上で、将来を見据えたプランが立てられるか
どうか。
生活者の琴線に触れるプランが立てられるかどうか。
全体を見据えたプランが立てられるかどうか。

これらが、全うできてこそ、真のプランナーと言えると考えます。

【名和田】うん、うん。確かにその通りだと思います。
ちなみに「駄目プランナー」と「出来るプランナー」の違いをもう少
し具体的に教えて頂けますか?

【富田】名前ばかりのダメプランナーは、次にあげる人達ですね。

いわれたことしか、まとめることができない「書き屋プランナー」。
会社の売り物を書類にまとめ、これを企画と称して提案する「押し
売りプランナー」。
市場分析や問題点が発見できない「マーケティング無力プランナー」。
解決策が偏っている、アイディアが出ない「プランナイ」などです。

【名和田】その表現面白いですね(笑)。
あっ、でも笑えないですね。実際そういう人がいるわけですから。

【富田】そうですよ。笑えませんよ。逆に「できるプランナー」と
は「着眼力」があり、優れた「解決力」をもっていること、その2つ
を生かして、素晴らしい独自の企画を立てられる人です。

【名和田】肝に銘じます。。。
今後、益々企画提案力ということが重要になって来るかと思います。
当然求められる企画書なども精度の高いものが必要不可欠かと言えま
すが、企画書には何を盛り込むべきとお考えですか?

【富田】私は企画書に必要な要素は「3要素」「7ステップ」と考え
ています。

企画書の3要素とは、「課題発見」「基本方針」「解決策展開」です。

その中に7つのステップがあります。

「課題発見」には「1現状分析」「2課題の発見」
「基本方針」には「3目的の明確化」「4対象設定」「5解決手段」
「解決策展開」には「6実施方法」「7費用・効果」
の7つです。

詳しいことは、私が執筆した本の中に書かれています。

【名和田】その辺りは、昔から一貫して先生が唱えてこられた要素
ですね。
中でも今後、重要となってくるのは、どの要素といえそうですか?

【富田】この中で今後重要になるのは、「課題発見」と「効果」予測
です。これが、採用の決め手になるでしょうね。

【名和田】なるほど。それではも先生の専門領域である、広告業界の
プランナーについてもお聞きしたいと思います。
まず、今後プランニングはどのように変わっていきますか?

【富田】広告業界は、マスメディアの衰退とWebの拡大で新しい時代
を迎えようとしています。

ひとつは「広告」という発想から「コミュニケーション」という変化
です。

マスとWebをどのように連携させ、クロスコミュニケーションとして
プランできるか?
という点と、表現においても、これまでの広告表現ではなく、
コミュニケーション戦略という考え方が重要になります。

【名和田】非常によくわかります。

【富田】もう一つが、「広告」から「マーケティング・ソリューシ
ョン」という発想です。
マーケティングの問題解決をするものです。

広告だけのノウハウでは解決できません。
マーケティングの4Pを駆使した提案になります。
この中にはより販売に特化する方向も含まれます。

【名和田】それは私も強く感じます。
「広告」だけを理解し、実践してももはやモノは売れない時代です。
その為には、「マーケティング」そのものをもっと学ぶ必要が有り
ますよね。

先生の目から見て、これからの社会はどのように変わっていきそう
ですか?

【富田】Webの進化によって、生活者視点での発想や口コミは益々
重要になります。

これまでのような企業側の発想ではビジネスができなくなります。
企業側に立つ、業界という発想が崩れてきます。

つまり、業際がなくなるということです。

【名和田】では、ビジネスはどのように変わっていくでしょうか?

【富田】Webの登場で売り手と買い手が直結すると、代理業というビジ
ネスが成立しなくなるでしょう。
旅行代理店、広告代理店などのビジネスの存在が厳しくなるでしょね。

生活者視点のビジネスが重要になり、どれだけ生活者を囲い込めてい
るかがビジネスに重要になります。

生活者視点ということは、メーカーも商社も流通業もサービス業も、
同じ土俵での戦いになります。

【名和田】何だか、ますます厳しい競争となってきそうですね。
今後ビジネスパーソンに求められスキルとは何でしょうか?

【富田】激変する生活者の情報を収集し、生活者の視点に立った
企画の着眼点を見つけること、

そして、 Webの進化を吸収し、それを企画の解決策として活用できる
こと、将来を見据えたビジネスができることなどですね。

結構、大変なことですが・・・。

【名和田】かなり大変です・・・(笑)
先生の考える今後の理想的なプランナー像とはどうでしょうか?

【富田】ストラテジストとして4つの力が必要ではないかと考えます。

時代の先を読む「先見力」。
Web時代に突入し、時代はものすごいスピードで進んでいます。
過去の成功事例にしがみついているとビジネスは失敗する可能性も
あります。
過去の経験則を生かし、将来起きることを予測し、ビジネスの可能性
を見出すのが企画における「先見力」です。

将来予測からの企画、しかも、提案内容に対する投資効果(ROI:
リターン オブ インベスティメント)が当然必要になります。
それができる能力が「先見力」にほかなりません。

知識を知恵に変える「知恵力」。
世の中にはいろいろな情報が氾濫しています。
企画に必要な情報を得るためには、かつては、情報収集に多額な費用
を投入してデータを入手していましたが、今では、Webの検索エン
ジンで簡単に入手できるようになりました。

今後は、さらに検索エンジンが進化することで、より簡単に必要情報
が入手できるようになります。

誰でも簡単に情報が入手できる時代の企画書作成にとって重要なのは、
収集した知識をいかに知恵(ノウハウ)に変えるか「知恵力」が必要
になります。

集めた情報から得た知識の中に企画に生かすヒントを発見することが
「知恵力」といえます。

いかに「知恵力」を使うかが、企画の決め手になります。
まさに、これからの企画に「知恵力」が不可欠といえます。

生活者をつかむ「インサイト力」。
人口減少でビジネスできる市場がますます狭くなります。
業際がなくなり、業界間の競争が全業種のデスマッチな競争になって
いきます。
そうした環境下で企画提案を成功させるためには、ビジネスの源であ
る生活者情報をしっかりつかむことです。
それが生活者インサイトです。

インサイトとは「洞察」という意味です。生活者の行動を意識化し、
その原因や意味を理解し、ウオンツをつかむことです。

心のどこかで望んでいながらも自分では意識していない部分を探り、
企画に生かすものです。
変化する時代には、ビジネスチャンスが山ほどあります。

その金鉱を発見することが、企画提案する際に重要になります。
「インサイト力」をつけることでそれが可能になります。

他社の力をうまく活用する「コラボレーション力」
これから、全業種が競争になる時代、1社ですべてのビジネスを行う
ことは極めて難しくなります。

そのため、企業が生き残るためには、他社の力を上手に借りないと
ビジネスを成功させることは極めて厳しくなります。

それを助ける手段が「コラボレーション力」です。
自社ですべてをまかなわないで、競合関係の同業者、ビジネスで関連
する異業種、全く関係のない異業種含め、あらゆる企業とのコラボレ
ーションを可能にするのが「コラボレーション力」です。

企画作成の視点としても、他社の力をうまく活用する「コラボレーシ
ョン力」を生かすことが重要になります。

【名和田】いや〜、確かにその4つを備え持ち駆使していくことは、
今後のサバイバルレースで勝つには、必要不可欠な要素と言えそう
ですね。

それでは、最後にこのメルマガの読者の皆さんにメセージをお願いし
ます!

【富田】ますます厳しいビジネス環境になりますが、
できるプランナーにとっては追い風ですよ。
今こそ、プランナーの底力を見せるチャンスです!

【名和田】今日はどうも有難うございました!

■……………………………………………………………………………■

<インタビューを終えて>

富田氏と話しをすると、いつもそのパワーに圧倒されてしまいます。
今回のインタビューでもまた、力のこもったお話しを聞くことが
出来ました。

ますます厳しさが増す現代社会において、本当に勝ち抜く為には、
プランナーに限らず、「ストラテジスト」のスキルを持つ必要が
あるのではないかと痛感しました。

「先見力」「知恵力」「インサイト力」「コラボ力」今後磨きを
かけていきたいと思います。

                       (by nawata)


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2008年07月18日

今この人に聞く! /マーケティング・インタビュー【Vol.5】

【7月のゲスト】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 〜須賀 柾晶 氏(すが まさあき)〜
出版プロデュース会社・有限会社イー・プランニング代表。

大学卒業後、PHP研究所に入社。1993年、同社を退社した後、
主にISO環境マネジメントシステムに関するセミナーの講師や
環境分野、ビジネス書分野のライターとして、また、出版や研修
のプロデューサーとして活動中。
共著に『ネット<攻撃・クレーム・中傷>の傾向と即決対策』
田淵義朗・須賀明良著(明日香出版社)(2003年5月発行)。
その他主なライティング実績に『インターネット時代の就業規則』
(明日香出版社)『落とし処の研究』(ダイヤモンド社)
『図解まるわかり時事用語』(新星出版社)ほか多数。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆インタビュー◆──────────────────────

【名和田】さて、今月は出版プロデューサーとしてご活躍されてい
る須賀柾晶さんに、最近の出版業界や出版事情などについて、お話
を聞いていきたいと思います。
どうぞ宜しくお願い致します。

【須賀】宜しくお願いします。

【名和田】さっそくですが、まずは「出版プロデューサー」という
お仕事について教えて下さい。

【須賀】ハイ。「出版プロデューサー」というのは、自らが執筆した
書籍を出版したい著者と、その内容や著者の希望に最適な出版社とを
つなぐ職業です。
日常の活動には、新たな著者の発掘や書籍企画の立案のほか、出版社
からの依頼があれば、タイトルの提案、編集やデザイン、ライティン
グなどに関するプロデュースや進行管理などを行います。

【名和田】なるほど。著者と出版社とのマッチングから、その後の
ディレクションなど、出版に関わる業務をトータルにプロデュースし
ていくという感じですね。

【須賀】その通りです。

【名和田】今まで手掛けられた本について教えて頂けますか?

【須賀】今までというと結構な数がありまして、大体100冊以上
の本を手掛けて参りました。

その主な書籍として、
『列島縦断鉄道12,000Kの旅 絵日記でめぐる43日間』
関口知宏著(徳間書店)(2004年10月発刊) 11刷

『頭が鋭くなる大人の算数ドリル』
七田厚著(青春出版社)(2004年10月発刊) 5刷

『他の店が泣いて悔しがるサービス』
香取貴信著(三笠書房)(2005年4月発刊)8刷

『提案書・企画書がスラスラ書ける本』
富田眞司著(かんき出版)(2005年6月発刊)6刷

『サラリーマンをしながら株で月収4000万円稼ぐ会社四季報で儲け
る売買法』
Fantasista著(秀和システム)(2006年4月発刊)3刷

『お金持ちにはなぜ、お金が集まるのか』 
鳥居 祐一著(青春出版社)(2007年5月発刊)8刷

・・・などがあります。

【名和田】うわっ、そんなに有るんですか。
しかも、分野も多岐に渡っている感じですね。

ちなみに、私の恩師の書籍も入ってますね(笑)
(*富田眞司著/「提案書・企画書がスラスラ書ける本」)

【須賀】そうですね。おかげさまでかなりの数になってます。

【名和田】最近は、本を出してみたい!という人が増えていると聞
きます。また、ブログなどでかなり一般の人達にも出版する機会が
広がってきている気がしますが、その辺りはいかがでしょうか?

【須賀】おっしゃるとおり、昔に比べ今は一般の人達もかなり出版
するチャンスが増えてきていると言えますね。

【名和田】ただ、そうは言っても、誰でもという訳では当然ないで
すよね。その辺りの「出版するコツ」とか「ノウハウ」何てモノは
あるのでしょうか?

【須賀】これは当然ありますね。
まず、「出版の方法」というところから説明していきますね。

出版には3つの形態があります。
1つは制作費を全額負担する自費出版。
2つ目は出版社と費用を分担する共同もしくは協力出版。
そして、全制作費を出版社がもつ商業出版です。

3つ目の商業出版の場合は、著者の権利として印税収入も見込めま
す。
ここでは、皆さんが関心のある商業出版についてお話ししますね。

商業出版は基本的にその出版にかかる費用などのリスクを出版社が
負ってくれる形態です。出版した本が売れれば、その分、出版社に
も著者にもその部数に応じて利益を享受することができます。
したがって、出版社は売れそうなテーマや内容、売れる著者を探し
求めています。

【名和田】当然、そうでしょうね。
その分、時代・トレンドにあったテーマでないと、ハマリにくいと
いうことが有りそうですが。。。

【須賀】出版するまでを考えると、確かに時代やトレンドを押さえ
たテーマであることに越したことは有りません。

しかし、売れる本をつくることは容易なことではありません。
1日に200冊以上の新刊が出ている現状からすれば、いくら本が出
せたからと言っても、書店の店頭に並べられることすら思うように
いきません。

【名和田】1日200冊ですか!
これからは、紙媒体からWebなんて言われた時期も有りましたが、
実際はそんなことなさそうですね。

とは言え、何か出版しやすい人の条件とかっていうモノもある様な
気がしますがどう何でしょう?

【須賀】まぁこれは有りますね〜。

こうした状況の中で、私が日々出版社の編集者と接する中で、
彼らが求めていると感じることは、主に1.売れそうなユニークな企画
(主にテーマや内容など)であること、2.著者自身が本を売る仕組み
を持っていること(講演やセミナーなどの回数が多い、メルマガなど
で多くの人に告知できる、固定ファンが多いなど)です。

余談ですが、編集者は単に趣味で本を作っているわけではなく、常に
彼らの管理者から発刊点数や売上などで目標を課せられていることも
あり、そうしたプレッシャーの中で彼らなりに、質的に満足する本を
つくる努力をしてます。

「出版の実現しやすい人」の条件と言えば、やはりそうした要素をも
った人と言うことになると思いますね。

【名和田】なるほど。そうですよね。それだけのリスクを出版社も
負っているわけですからね。

それでは須賀さんのご経験から、ヒットをつくる為のコツのような
ものっていうのは、何か有りますか?

【須賀】やはり著者の方のプロモーション活動は欠かせない要素です。
著者の中には、プロモーションは出版社が行ってくれるものと思って
いる方も多いと思います。

しかし現実的にはそうではありません。出版社の方にとっては少々辛
口となりますが、こういう事情が待っています。

それは、本が出されれば、そのマスメディアでの広報活動は広告部門、
実際に販売を担当するのは販売部門ということになります。
編集者からはその時点で手が離れることになります。

さて、広告部門では、限られた予算の中で最大のプロモーション効果
を出すために、ともすると現時点で売れている自社本の広告を出した
がります。

また、販売部門も、書店等への営業活動として、やはり現時点での売
れ筋本にどうしても力が入ってしまうのです。そうすると、あなたの
本は誰が一生懸命売ってくれることになるのでしょうか?

【名和田】う〜ん・・・。そうですね、やはり著者のプロモーション
力は必須条件ということになりますね。

【須賀】私がこうした現状を踏まえて、著者の方に申し上げたいのは、
自分の本は自ら効果的なプロモーションを仕掛けて、自分の責任で売
っていく努力をしてほしいということです。

具体的には、出版社が行うプロモーションはプラスアルファくらいに
考えて、自ら、もしくは専門家の力を借りて、アマゾンキャンペーン
や書店へのFAXDMなどのプロモーションを実施してほしいという
ことです。まずはこのへんがヒットを作り出す基本と言えます。

特に弊社でプロデュースさせていただいた著者の方には、この部分
のサービスも有料にはなりますが、提案させていただいております。
プロモーションに興味がある方は弊社プロデュースの有無に関わり
なく是非ご相談下さい!(笑)

【名和田】おっ、そう来ましたね(笑)
でも、本気で出版を考えている方にとっては有難いお話しです。

【須賀】ええ。そうなんです。真面目な話、場合によっては、多少
初版の印税だけでは持ち出しになる場合もありますが、効果的なプ
ロモーションが実行できれば、いずれさまざまな報酬が入ってきま
す。

次の執筆の依頼や講演・セミナーの講師の依頼、テレビやラジオへ
の出演依頼や知名度のアップなど、本が売れることで思いもよらな
いメリットが享受できるのです。
私は仕事柄、そうした方々を多く見てきました。

【名和田】いやぁ〜、非常に説得力があるお話しです。
それでは、最近の業界動向や今売れている本の傾向等を教えて下さい。

【須賀】売れている本の傾向を私なりに分析して言えば、やはり、売
れるしくみをもった本ということになります。

著者に固定ファンが多い、ネットワークがある、書店の協力が得やす
い著者であるなど。もちろん、より多くの人が興味を持つテーマとい
うことで、ジャンルも関係すると思います。

【名和田】売れる仕組みを持った本ですか。
そうか、内容だけでなく、そこまで考えていかないといけないんです
ね。

では、今後のトレンドについてはどう思われますか?

【須賀】出版の今後のトレンドを正確に見通すことは難しいことです
が、いくつか意識していることとして、1つは携帯コンテンツの需要
が増えるであろうということです。

特に世間で携帯小説(無料サイトから商業出版デビュー)の流れも、
もちろん続くと思いますが、最初から携帯書店サイトにて有料で購入
する読者も増え続けています。

また、リアルな出版物では、単に概念的・観念的な内容ではなく、特
殊な実体験を含みつつ、何らかの感動を伴うものは、文芸分野、ビジ
ネス分野を問わず、ヒットの可能性のあるコンテンツだと言えます。

【名和田】「携帯」と「特殊な実体験を含む感動を伴うコンテンツ」
ですか。。。これもかなり奥が深そうですね。非常に参考になります。

業界の課題についてはどうでしょうか?

【須賀】業界的にはいろいろな課題があると思いますが、現在平均実
販率が50%を切っている状況だと認識しております。

つまり、平均的な状況として、5000冊刷れば、そのうち2500
冊以上が売れ残り、、しまいには裁断・焼却される運命なのです。
資源的にもいかに無駄が多いかということを今さらながら考えさせら
れてしまいます。

【名和田】厳しい世界ですね。しかも環境問題とも関わりが深い・・。
この辺りは、近い将来何らかの改革がありそうですね。

それでは最後に須賀さんご自身の今後の展望及び読者へのメッセージ
をお願いします。

【須賀】弊社はおかげ様で冒頭で述べたように、今までに100冊以
上の本を生み出すことができました。

そして、これまでに出版のノウハウや著者とのネットワークが構築で
きたことは本当に嬉しく思っています。

特に私は100冊をもって一つの区切りと考えています。
このことを機に、弊社のあり方として「出版プロデュース会社」から
「適材適所に人材をプロデュースする会社」として脱皮を図り、貴重
な著者(専門家)の方々とのネットワークを生かして、出版業界にと
どまらず、教育、テレビ・カタログ通販、芸能などの各分野に、求め
られる優秀な人材をプロデュースできたらと思っております。

皆様とは、何らかのかたちで是非ご一緒できればと思っております。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

■……………………………………………………………………………■

<インタビューを終えて>

須賀さんと話しをしていると、本当に業界を熟知している、まさに
プロ中のプロといったことを感じました。

出版業界は、年々業界状況が厳しくなっていると聞きますが、その
状況下でも、ヒットする書籍は確実に存在します。

ヒットする要因には、テーマや内容は勿論のことですが、そこには
普段我々の眼には見えてこない、著者や出版関係者の努力とプロモ
ーションが確かに有るということを今回改めて認識しました。
                
                                  (by nawata)


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今この人に聞く!/マーケティング・インタビュー【vol.4】

【6月のゲスト】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 〜安藤 哲也 氏 (あんどう てつや)〜
 NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事。
 「パパ力検定」の仕掛け人。二男一女の父親。
 出版業界など9回の転職を経て、06年に父親の育児支援を行う
 同NPOを設立。(著書)『本屋はサイコー!』『パパの極意』

(Web site) http://www.fathering.jp
(FJ活動ブログ) http://ando-papa.seesaa.net/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆インタビュー◆──────────────────────

【名和田】:初めまして!・・では無いんですよね。実は。昨年末、
うちの妻に(勝手に?)申し込まれて参加した、父親育児学級とい
う市のセッションに参加した時に、講師をされていたのが安藤さん
でした。

とは言え、私も「子育て」には関心が強かったことも有り、安藤さ
んの活動は、それ以前よりメディアを通じて知っていました。
「あっ!安藤さんだ!」って思いましたもん。あの時。

【安藤】:そうでしたね(笑)あの時、名刺交換をしたんですよね。

【名和田】:今日はかなり私の個人的な関心が強い「パパ達の子育
て」をテーマにお話を聞いていきたいと思います(笑)。。。

いや、ちょっと違いますね。勿論その話は絡んできますが、もう少
しマーケティングよりの視点で、安藤さんの活動についてお聞かせ
頂きたく思います。

−まずは、現在の活動をお聞かせ下さい。

【安藤】:「ファザーリング・ジャパン」(略してFJ)というNPO
法人を立ち上げて、父親の育児支援を行っています。
「ファザーリング」とは、一言で言えば「父親であることを楽しも
う!」ということ。

「育児は義務である前に愉しい権利。愉しみながら子育てをし、子
供と共にパパも成長していこうよ。」と世のパパ達やプレパパ達に
伝えていくのが狙いです。

もっと言うならFJのコンセプトは「笑っている父親」。
「よい父親」ではなく「笑っている父親」を増やし、ひいてはそれ
が働き方の見直し、企業の意識改革、社会不安の解消、次世代の育
成に繋がり、10年後・20年後の日本社会に大きな変革をもたらすと
いうことを信じ、これをミッションとしてさまざまな事業を展開し
ています。

【名和田】:いや〜、非常に共感できます!
最近は、女性を対象とした育児支援や制度の導入何かに関心が集ま
ってますが、男性側の意識改革というのが実は、絶対的に不可欠な
要素ですよね。

−しかし、何故ここへ行き着いたんですか?

【安藤】:FJの発足の源が、「パパ's絵本プロジェクト」という絵
本の読み聞かせボランティア活動だったんですが、そのイベントで
「笑わない父親」が必ずいるんですよ。

そういう父親の横にいる子供も同様に「笑いが細い」。父親に「笑
っていいの?」というような眼差しを送っている。

どう思います?

「あぁ、きっとお父さん、お母さんが家で笑っていないから、この
子は笑い方を知らないんだな」と思ってしまったんですね。

この頃から、ニュースなどでも連日連夜、親子間での殺人事件など
が報道されて・・・・。
もう、居ても立っても居られず、FJの企画書を一気に書き上げた
のが始まりです。

【名和田】:その気持ちはわかりますね。
何だか「焦り」と「憤り」が入り混じり、「何かしなきゃ」とその
時は思うんだけど、たいていはそのままやり過ごしてしまう・・・。

それをそのままにせず、行動を起こしたことが素晴らしいと思いま
す。

−FJは、NPOという形をとられてますよね。これについて説明
して頂けますか?

【安藤】:NPO自体は、営利を第一の目的としない社会貢献活動
ですが、行政の補助金だけでは成り立たなくなって来ています。

今日本はNPOの転換期。その在り方自体が変わってきています。
いわゆる欧米型のNPOが日本にも増えてきています。つまり、収
益モデルを構築しながら社会を変革する事業型NPOというスタイル
ですね。我々もこの事業型NPOという形で、社会事業に投資できる
利益を追求していきながら、活動をしています。

【名和田】:まさに日本のNPO革命でもあるわけですね。

−FJの活動を見ていますと、メディア戦略の上手さも目に付きま
す。この辺りもかなり、意図的な仕掛けがあるんですか?

【安藤】:これはありますね。
プレスリリースネタをつくって流すことは、皆さんやられていると
思いますが、それが点でしかない場合が多々あるんですよね。

我々の場合は、PR戦略は1つの線として捉えています。例えば、
「父親の子育てしやすい会社」のアンケートを実施する。それをプ
レス発表する、そのちょっと先に『パパ力検定』が控えている、と
いう感じで、話題づくりとタイミング、その先の落としどころを見
据えてのPR活動になりますね。

今回の場合で言えば、目的はいかに『パパ力検定』に注目してもら
うか?メディアに当日取り上げてもらうか?ということを見据えて
のPR戦略でした。

ちょうど、メディアでの関心が高まってきたところで、『パパ力検
定』が実施される。これによって、当日はほとんどのTV局が取材
に来たかな。

勿論、真の目的はメディアに取り上げられるだけではなく、社会の
関心が集まることで、世の中の父親の意識が変わってくれることで
は有りますけどね。

【名和田】:なるほどです。
単に社会の関心が高まっていたから、自然と報道も加熱したわけで
はなく、上手く仕掛けた部分もあったんですね。

−父親市場というのは、ターゲット的にしっかり押さえておきたい
「層」になるのですが、この人達って安藤さんから見てどんな感じ
に映っています?

【安藤】:当然、若い人が多いのですが、その割りに古い感覚の人
が多いのも事実です。もっと柔軟に「父親OS」を入れ替えて欲し
い。
未だ市場の半分くらいは、ウィンドウズ95のままの父親がいる。
XPと2000が4割くらいかな。残り1割は子どもが生まれてOSのア
ップデートがちゃんと出来た笑っているお父さん達です。

【名和田】:面白い表現をしますね〜。

−古い人達のOSを入れ替えるには、どうすればいいんですかね?

【安藤】:やはり、「気付き」を与えてあげることですね。必ず、
反応するキーワードって有るんですよ。
「安心」「安全」「地域活動」・・・この辺りを絡め乗せていく。

母親達は、割と直感的に「子供達の為になる」とわかって行動が
出来てしまうけど、父親達はできない。なので、出来るだけロジ
カルに説明をする。
「何の為?」「メリットは?」と理詰めで意義を問いたいんでしょ
う。そこに納得を得ると早いですよ。

【名和田】:これは、購買行動へと促す心理的なアプローチのヒ
ントにもなりますね!

しかし、安藤さんのお話を聞いていると、自分も何かをしなくて
はという気になりますね。
是非、今後一緒に何か仕掛けていきましょう。

【安藤】:是非ぜひ。

−最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

【安藤】:会社勤めをしていてモヤモヤしている人達は、しがらみ
とか守らなければいけないものを気にしすぎて、色々な判断をする
ときに直観と違うものを選んでいる人が多いと思います。

僕は、本が好きだったから出版業界に入りましたが、営業部長がや
りたくて本の世界に入ったわけではありません。だから本を軸にや
りたい仕事を求めて9回転職しました(笑)。

子供ができたときも、子育てをやっていれば自分の世界が広がると
思ったから積極的にコミットしました。そうしたら結果的に、自分
の引き出しや人脈も増え、人生がより充実しました。

キャリアアップもお金儲けも、それが目的化した時点で、やりたい
ことが本末転倒してしまいます。僕は自分の直観を信じてこれまで
もやってきたし、これからもやりたいことをやっていきたいですね。

★ファザーリング・フェスタ〜読み聞かせ&工作広場
・日時:2008年6月15日(日) 13:00〜17:00
・場所:錦糸町olinas (墨田区太平4-1-2 錦糸町北口徒歩3分)
 http://www.olinas.jp/info/event/0806/index.html

■……………………………………………………………………………■

<インタビューを終えて>

最近やたら「ワークライフバランス」という言葉を耳にします。
それだけ、このテーマに社会の関心が高まっているのは事実なんで
しょう。
これは単純に「労働時間」といった問題ではなく、社会の意識革命
が実現するのかに掛かっているのだと思います。

価値観は人によって様々です。
ただ、我々大人達は少なくとも、子供達に笑顔がなくなるような
社会をつくってはならないことだけは間違い有りません。
これは今に生きる我々の使命です。

「企業が変われば社会が変わる」
「それを変えるのはあなた自身」

今回安藤さんには、改めて色々な気づきを頂きました。
                       (by nawata)


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