今月の「今この人に聞く!/マーケティング・インタビュー」のゲス
トは、ロゴ&WEBの専門家(デザイナー):佐藤孝行(さとう たか
ゆき)氏をお迎えして、マーケティングにおけるクリエイティブの役
割について等を中心に、お話しを聞いていきたいと思います。


【今月のゲスト】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

〜佐藤 孝行(さとう たかゆき)〜

株式会社ロゴ・アンド・ウェブ 代表取締役
http://www.logoandweb.co.jp/

東京造形大学造形学部デザイン学科を卒業後、販売促進専門の広告
代理店にて、デザイナー/ディレクターとしてアサヒビール、大正製
薬、ブリヂストンタイヤ等の大手企業を中止とした販促ツール制作に
幅広く携わる。
その後、ヤオハンUSAの本部マーケティング部の責任者として渡米。
米国在住の日本人、日系人に向けて年間販促計画の作成、イベントの
企画・運営、テレビCM・フライヤーのデザインディレクション等を担
当。帰国後、フリーのデザイナー、イラストレーターとして活動。
07年4月に「株式会社ロゴ・アンド・ウェブ」として法人化。
08年6月鳥取大学イメージキャラクター最優秀賞受賞。

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*テーマ:『マーケティングにおけるクリエイティブ表現について』

◆インタビュー◆───────────────────────

【名和田】
佐藤さんとは、知り合ってかれこれ12年になりますかね?
実は私が一番最初に入社した会社の先輩に当たります。
その頃から、既に第一線のデザイナーとして活躍されてました。
そもそも、販売促進のデザイナーになろうと思ったきっかけは何だっ
たのですか?

【佐藤】
両親が写真屋だったことが一つの理由ですね。
フジフイルムや小西六からちょくちょく等身大パネルやのぼり、ポス
ターやステッカー、さらには三角くじなどのミニイベント用のキット
が届いて、子どもの頃から販促ツールに親しみやワクワク感を覚えて
いました。

自営業の親を見て育ったので、大変な仕事をしているお店の人に、絵
を描くことで役に立てたらいいな、喜んでもらえたら嬉しいな…とい
う想いが原点にあります。
それと、就職活動をしていた時期「これからはSPだ、イベントだ!」
みたいに持てはやされていて、影響されたというのもありますね。

【名和田】
そうだったんですか。販促ツールは確かに雑誌の付録みたいなワクワ
ク感が有りますよね。
しかし、「SPだ、イベントだ!」というのは、私が就職活動する頃
も言われていましたね(笑)

そこから、ロゴとWEBに特化した専門家になられた理由というのは?

【佐藤】
社会人になった当時、PAOSやデザインセンターがCIで素晴ら
しい仕事をしていて、デザインで大企業を動かすなんてすごいことす
るなぁと思って、ロゴマークに興味を持つようになりました。

小学生の頃、スーパーカー・ブームで外車が好きだったので、ポルシ
ェやBMWのロゴに憧れたり、中学になったらスポーツメーカーのロゴ
に惹かれたりしたのも影響あるかもしれません。
adidasのコピーの「adidos」を初めて見たときの衝撃は忘れられませ
ん。

【名和田】
なるほど。幼少期からロゴマークへの関心が高かったのです
ね。では、WEBというのはいつ頃から?

【佐藤】
webは、割と早くから興味があって、Yahoo!JAPANのサービスが開始
された年、たしか96年ですが、その時には既に自分でhtmlを手打ち
してホームページを作っていました。

当時アメリカのプロバスケットボールにはまっていて、「NBAおやじ」
というNBAのベテラン・プレーヤーの似顔絵を中心としたサイトを運営
していました。

競合も少なかったし、Yahoo!カテゴリには簡単に登録できたし、アクセ
スもそこそこあって楽しかったですね。ネットを通じてリアルの友達も
できましたし・・・。その前には、ニフティサーブもやっていたくらい
です。

ネットには私のような文系の人間でも夢を持てました。
当時からこれは画期的な技術だと、すごいことだと思って興奮してまし
た。パソ通やってるって大きな声で言いづらい時代でしたけどね。まだ
まだマニアックな領域で・・・。

【名和田】
そう言えばそうでした。かなり早い時期から、ホームページ
なども作られてましたよね。
私もまだネットに対する知識が乏しい頃から、色々その凄さを聞かされ
た記憶が有ります(笑)

しかし、当時は技術面も含め、かなり習得するのは大変だったのでは?

【佐藤】
webデザインは、みんな独学ですが、とにかく好きで勉強しまし
た。今も、Flashというソフトのアクション・スクリプトという言語や、
webサイトを表現するためのxhtmlとcssのテクニックを勉強しています。
web関係は勉強するのが楽しいので、苦になりませんよ。

【名和田】
話しは変わりますが、過去にアメリカに渡っていますよね?
日本と米国のマーケティング(販促)に関する考え方の違いに、何か
特徴的なことって有りますか?

【佐藤】
アメリカ人はクーポン好きっていうのが印象的でしたね。
新聞の日曜版に挟まっているのを、マメに切り取って使っている方が目
立ちました。
また大きな車で大量に買い物するという習慣もあって、ホールセールク
ラブなど、とにかく価格勝負の店が元気という印象です。日本の100円シ
ョップのような99セント・ショップも流行ってましたし・・・。

【名和田】
クーポン好きっていう話しは、聞いたことが有ります。
最近は、日本でも同じような現象が起きていますよね?
では、表現やクリエイティブといった部分はどうですか?

【佐藤】
テレビもチラシも商品写真と値段がわかれば良いっていう、シ
ンプルな表現が目立ちました。
日本の方がイメージ広告の比率が高いように思います。接客もそうです
が、日本の方がずっと「品」がありますよ。

【名和田】
ほう。そうなんですか。
それって、米国全土で見られる傾向なんでしょうか?

【佐藤】
全てがそうとも言い切れませんが、日本と比べるとそうですね。
私は英語は最低限しか話せませんが、同じく英語が苦手なメキシコ系移
民が多い土地柄のLAだったので、余計に単純な広告が目についたのかも
しれません。
アメリカは貧富の差が激しいので、販促やデザインも富裕層向け、それ
以外向けというカタチで二極化していますしね。

【名和田】
ショッピングモールの店舗やディスプレイなどは、「おっ!」というの
も有る気がしますが、どうでしょうか?

【佐藤】
おっしゃる通りです。ビルボードや店舗デザインやディスプレ
イは、確かにさすがと思わされるものが多かったです。

ヴィクトリアズ・シークレットなんていう女性下着の店舗は、よく
ショッピング・モールに入っていたのですが、非常に派手で開けっ広げ
で、商品陳列の迫力に圧倒されましたね。
いや、カミさんが買い物につき合っている間、少し離れたところから見
ていただけなんですが(笑)

論理的に説得して商品を買わせようとするのではなく、パッと見た目で
「安い!」とか、「すごい量!」みたいな売り方がメインです。
直感的で分かりやすく、ある意味すがすがしい感じがしました。

デザインの拡大解釈になるかもしれませんが、アメリカは通りの名前と
番地だけで、目的地に着けるのはすごいと思いましたね。
カーナビがなくても問題なかったです。日本ではそうはいかないですか
らね。

【名和田】
あ〜確かにそうですね。
そもそもマーケティングや販促のデザインに求められるものって何なん
ですかね?

【佐藤】
たいていの人が冠雪の富士山や満開の桜を見ると「きれい」だと感じま
すし、“ジュージュー”と音を立てて焼き上がるステーキ肉のクローズ
アップ動画を見れば「美味しそう」と思います。
矢沢永吉に「もったいない!」と言われるとドキッとしますし・・・。

そんな誰もが共感するビジュアルやワードを駆使して、共感をもとに
購買意欲をそそり、実際に売上につなげる役目を果たすことだと思いま
す。
「絵」や「写真」というビジュアルと「キャッチ・コピー」というワー
ドの両方の絶妙な組み合わせ方ですよね。

【名和田】
そう思います。イメージを記憶してもらう、購買に直結させる等ありま
すが、いずれにせよ最終的には購買に結びつく流れをつくることが目的
ですからね。

*最近の企業サイトの傾向については、どう思われますか?

【佐藤】
企業がホームページを持つのは当たり前のこととなりましたが、5年以
上前の古い構造のままのホームページと、ここ2〜3年の間に作ったホー
ムページが混在していますね。

まず、見栄えが違いますし、自社で更新できるシステムが導入されてい
ると更新の頻度に明らかな差が出ています。
ホームページの更新頻度は高いほど、SEO的にも良いので。
YouTubeなどの活用も珍しくなくなり、動画を使っているサイトも増えて
います。また以前より制作料金が下がっていること、SEO対策に効率的で
あるということから、キーワード毎にサイトを切り分け、複数サイトを
持つ企業も目立ちます。

【名和田】
目的によっても変わると思いますが、企業サイトの骨格として求められ
るモノとは何でしょうか?

【佐藤】
基本的な論理構造と、それを追いやすいナビゲーションだと思います。
題名、大見出し、中見出し、段落…というふうに文書には構造があります
ので、それに基づいて原稿を作ること。

そしてその原稿に興味を持つユーザーが、簡単に読むことができるように
メニューやボタンでナビゲートすることです。
いくら良いことが書いてある文書でも、読めなければ意味がありませんの
で。CIに基づいたカラーリングにしたり、文体を合わせることなど、企業
の信頼感とサイトの統一感を損なわないために必要なルールを作り、守る
ことも大切です。

【名和田】
なるほど。では、ロゴデザインにおいて、何か特別心掛けていることは?

【佐藤】
ロゴマークは、名刺にワンポイントで使われたり、看板に使われたりと、
様々な大きさで印刷されますので、大きさによって印象が変わらないよう
シンプルにデザインするようにしています。

印刷の色数が限られる場合や、色の諧調を表現できない、例えばカッティ
ングシートを利用する場合もあるので、グラデーションやぼかしはできる
だけ使わないようにしています。

【名和田】
佐藤さんは、ブランディング名刺というのもやられてますよね?
そちらについても教えてください

【佐藤】
「公私ともにブランディング名刺」は、表裏フルカラー、似顔絵、QRコー
ド入りの名刺で、ヒアリングに基づいてお客様の会社やお客様自身のキャ
ッチコピー作って印刷し、ユニークな個性が瞬時に伝わるような名刺です。

名刺は誰もがすんなりと受け取ってくれる優れたチラシと考えています。
91×55ミリのスペースを最大限に活用して、表面にビジネスの情報、裏面
には個人としての情報をしっかり入れて、初めてお会いした方に強い印象
を残せます。

【名和田】
名刺は我々のように、独立している人間にとっては、最大のセールスツー
ルですからね。

そういえば今年は、鳥取大学のイメージキャラクターの最優秀賞を受賞さ
れましたよね?おめでとうございます!

【佐藤】
鳥取県を代表する大学、鳥取大学なので、素直に鳥取県の鳥「オシドリ」
をモチーフにキャラクター化しました。
約200点の応募の中から選んでいただけたそうで、嬉しかったですね。
手には探求心と知識欲を表す青い本を持ち、角帽は大学生らしさを表現し
ました。9月には「とりりん」という名前に決まったそうです。
着ぐるみも作っているらしいので、それも楽しみにしています。

http://www.tottori-u.ac.jp/dd.aspx?itemid=1789#itemid1789

【名和田】
それでは、最後に今後の活動と会社、個人を含め目標をお聞かせ下さい。

【佐藤】
ロゴマークとウェブ制作を「明快な価格で販売するサイト」を現在制作中
です。デザインは、どうしても実作業前の見積りが甘くなりがちですが、
今後はデザイン要件を明確にして、正確な見積金額を出せるようにしてい
こうと思っています。当たり前のことなのですが。

個人的には、ホームページの作り方やPOPの描き方、似顔絵を含むイラスト
の描き方などを覚えたいという人に指導していきたいと考えています。

今後とも宜しくお願いします。

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<インタビューを終えて>

今回は、日本と米国における販促表現の違いという、面白い話を聞
くことが出来ました。
クリエイティブ表現の要素は、企業活動において外すことのできな
いものです。特に、自社サイトや名刺などは、このクリエイティブ
表現の良し悪しで、明確な差が出てしまうとも言えます。
今一度、自社ツールの表現要素について、見直してみてはいかがで
しょうか?
            
                       (by nawata)