前回、前々回と、スポーツの価値とは何か、について記載しました。
では、ビジネスとして拡大するためには何に気を付ける必要があるのでしょうか?
スポーツに関連するビジネスを拡大するためには、4つのポイントがありそうです。
すなわち、
1) 競技認知を増加させる
2) リテンションの仕掛けを作る
3) マネタイズポイントの設計
4) 「ビジネス」を優先させる
の4つです。
1) 競技認知を増加させる
Jリーグができた理由はキャプテン翼の影響、Bリーグができた理由はNBAとSLAM DUNKの影響(*)が極めて大きいと思っています。それまで日本は野球全盛で、昭和の男の子のほとんどは子供時代野球で遊んでいたはずです。ところが、1980年代にキャプテン翼が流行ると、サッカー人口が増え、その結果、1993年にJリーグが出来るころにはその時代に始めた少年たちがピッチに立っているわけです。また、1990年代にSLAM DUNKが流行った結果、競技人口が広がったわけで、例えば、今Bリーグで活躍している田臥選手あたりはもろにSLAM DUNKにドはまりしていたわけです。
競技人口が広がると、その分認知が広がり、結果として産業として成立する規模になります。最近では、カーリング女子が話題(**)ですが、これも競技として知られているがゆえに今後産業として成り立つ可能性が大きくなるでしょう。
*SLAM DUNKの前にNBA(主にマイケルジョーダン)のブームがあり、データを見ると競技人口はそちらの方が影響が大きいようです。
**元エントリーは1年前に記載しましたが、そのままにしています。
2) リテンションの仕掛けを作る
認知の次に重要なのはリテンションです。これが失敗した最近の例はラグビーでしょう。せっかくの五郎丸ブームが、一過性のブームとして終わってしまったのは、競技やその周辺にリテンションがかかる仕掛けがなかったこと。ラグビー自体は面白いのかもしれませんが、それだけではやはり弱い。
一方で、上述したサッカーやバスケは、エンターテイメントとして面白いコミックコンテンツが既に存在していたため、そこがリテンションになっていたというのは大きいでしょう。また、競技として手軽にできる点も見逃せません。
最近だと、カーリングがこの壁に当たるはずですが、カーリングはすぐに始められるスポーツではないし、試合を観戦できる場所もないので、やるとしたら、グラビア写真集を出すくらいの選択肢しか思いつきません。(本橋選手が写真集をだしていましたが、方向として間違っていないと思います。)
3) マネタイズポイントの設計
三つめが恐らくどこも悩ましいところでしょうが、マネタイズポイントの設計です。
競技を見せるなら、試合観戦で儲けるのか、グッズで儲けるのか、周辺(例えば、球場のビールとか)で儲けるのか。
マラソン大会のような大会を運営するにしても、参加フィーで儲けるか、広告費で儲けるか、等あるでしょうし、儲けのポイントは幾つも考えられます。
ところが、難しいのは、「意外とそこにお金を払ってくれない」という事でしょう。
球場に足を運ぶならチケット代は出すでしょうけど、そもそもお金を出すほど面白いのか、と言われるとなかなか損益分岐点を超えるほどのユーザがいない。(この辺は、1)、2)に大きく関わります。)
価値に対してお金をもらうのは当たり前のことですが、消費者の価格感ベースが低い場合にどう対処していくか、という議論になるでしょう。
4) 「ビジネス」を優先させる
プロリーグでよく聞く話ですが、「儲かる選手」と「勝てる選手」はどちらが良いか?という議論です。
試合はつまらないが勝つには勝つ、というのと、負けることも多いがとにかく試合は盛り上がる、のでは、エンターテイメントとしては後者の方が良いわけです。また、上手いがメディア受けも消費者受けも悪い玄人好みの選手と、下手だがメディアでも受けるし顔も良く消費者は受けもよい選手では、後者の方がスポンサーがつくわけです。
もともと体育会系から来ていると、「先輩は絶対」というような暗黙のルールがある競技もあると聞きます。そうなると、ビジネスとして運営していく場合に、歪む。ですので、ビジネスはあくまでビジネス、試合に勝つ、選手に気持ちよく試合をしてもらう、というのもあくまでもビジネスの一要素である、ということを忘れないようにしないといけない。
これら4つのうち、1)、2)は一企業、一事業としてやるのは結構ハードルが高いと思います。だから、プロ野球やJ、Bリーグは、リーグが主体となって動いています。一企業としてやる場合は、ホームタウン活動がメインになるでしょう。すなわち、地元に根付いて地元にファンになってもらう。Jリーグはアカデミー(ユースなど、若手育成組織)がありますが、これの一つのメリットは、「友達が試合に出ている」ことです。「昔、〇〇選手と試合してさぁ」とか「〇〇選手の中学の頃は、〇〇でさぁ」みたいな話ができると自然とチームに愛着がわいていきます。
通常、事業開発や事業戦略を考える場合、競争優位性やコスト構造等が重要になってきます。もちろん、これらも重要ではあるのですが、競争優位性については、業界内競争よりも他の時間消費やお小遣い消費との戦いの方が大きい。なので、競技そのものを盛り上げる方が効率が良い(と思われる)。
また、コスト構造はもちろん重要ですが、コストの前にマネタイズ、売上を上げるほうが大きく影響するだろうと想定しています。この辺は、事業主体が何になるかにももちろんよりますが、コストコントロールはまぁ簡単なんだろうなぁと。(4次第ではあるのですが。)
まぁ、業界の特殊性にどう立ち向かうか、ということでは上記の4つの視点を持っておくのが良いのではないかと思っているわけです。
では、ビジネスとして拡大するためには何に気を付ける必要があるのでしょうか?
スポーツに関連するビジネスを拡大するためには、4つのポイントがありそうです。
すなわち、
1) 競技認知を増加させる
2) リテンションの仕掛けを作る
3) マネタイズポイントの設計
4) 「ビジネス」を優先させる
の4つです。
1) 競技認知を増加させる
Jリーグができた理由はキャプテン翼の影響、Bリーグができた理由はNBAとSLAM DUNKの影響(*)が極めて大きいと思っています。それまで日本は野球全盛で、昭和の男の子のほとんどは子供時代野球で遊んでいたはずです。ところが、1980年代にキャプテン翼が流行ると、サッカー人口が増え、その結果、1993年にJリーグが出来るころにはその時代に始めた少年たちがピッチに立っているわけです。また、1990年代にSLAM DUNKが流行った結果、競技人口が広がったわけで、例えば、今Bリーグで活躍している田臥選手あたりはもろにSLAM DUNKにドはまりしていたわけです。
競技人口が広がると、その分認知が広がり、結果として産業として成立する規模になります。最近では、カーリング女子が話題(**)ですが、これも競技として知られているがゆえに今後産業として成り立つ可能性が大きくなるでしょう。
*SLAM DUNKの前にNBA(主にマイケルジョーダン)のブームがあり、データを見ると競技人口はそちらの方が影響が大きいようです。
**元エントリーは1年前に記載しましたが、そのままにしています。
2) リテンションの仕掛けを作る
認知の次に重要なのはリテンションです。これが失敗した最近の例はラグビーでしょう。せっかくの五郎丸ブームが、一過性のブームとして終わってしまったのは、競技やその周辺にリテンションがかかる仕掛けがなかったこと。ラグビー自体は面白いのかもしれませんが、それだけではやはり弱い。
一方で、上述したサッカーやバスケは、エンターテイメントとして面白いコミックコンテンツが既に存在していたため、そこがリテンションになっていたというのは大きいでしょう。また、競技として手軽にできる点も見逃せません。
最近だと、カーリングがこの壁に当たるはずですが、カーリングはすぐに始められるスポーツではないし、試合を観戦できる場所もないので、やるとしたら、グラビア写真集を出すくらいの選択肢しか思いつきません。(本橋選手が写真集をだしていましたが、方向として間違っていないと思います。)
3) マネタイズポイントの設計
三つめが恐らくどこも悩ましいところでしょうが、マネタイズポイントの設計です。
競技を見せるなら、試合観戦で儲けるのか、グッズで儲けるのか、周辺(例えば、球場のビールとか)で儲けるのか。
マラソン大会のような大会を運営するにしても、参加フィーで儲けるか、広告費で儲けるか、等あるでしょうし、儲けのポイントは幾つも考えられます。
ところが、難しいのは、「意外とそこにお金を払ってくれない」という事でしょう。
球場に足を運ぶならチケット代は出すでしょうけど、そもそもお金を出すほど面白いのか、と言われるとなかなか損益分岐点を超えるほどのユーザがいない。(この辺は、1)、2)に大きく関わります。)
価値に対してお金をもらうのは当たり前のことですが、消費者の価格感ベースが低い場合にどう対処していくか、という議論になるでしょう。
4) 「ビジネス」を優先させる
プロリーグでよく聞く話ですが、「儲かる選手」と「勝てる選手」はどちらが良いか?という議論です。
試合はつまらないが勝つには勝つ、というのと、負けることも多いがとにかく試合は盛り上がる、のでは、エンターテイメントとしては後者の方が良いわけです。また、上手いがメディア受けも消費者受けも悪い玄人好みの選手と、下手だがメディアでも受けるし顔も良く消費者は受けもよい選手では、後者の方がスポンサーがつくわけです。
もともと体育会系から来ていると、「先輩は絶対」というような暗黙のルールがある競技もあると聞きます。そうなると、ビジネスとして運営していく場合に、歪む。ですので、ビジネスはあくまでビジネス、試合に勝つ、選手に気持ちよく試合をしてもらう、というのもあくまでもビジネスの一要素である、ということを忘れないようにしないといけない。
これら4つのうち、1)、2)は一企業、一事業としてやるのは結構ハードルが高いと思います。だから、プロ野球やJ、Bリーグは、リーグが主体となって動いています。一企業としてやる場合は、ホームタウン活動がメインになるでしょう。すなわち、地元に根付いて地元にファンになってもらう。Jリーグはアカデミー(ユースなど、若手育成組織)がありますが、これの一つのメリットは、「友達が試合に出ている」ことです。「昔、〇〇選手と試合してさぁ」とか「〇〇選手の中学の頃は、〇〇でさぁ」みたいな話ができると自然とチームに愛着がわいていきます。
通常、事業開発や事業戦略を考える場合、競争優位性やコスト構造等が重要になってきます。もちろん、これらも重要ではあるのですが、競争優位性については、業界内競争よりも他の時間消費やお小遣い消費との戦いの方が大きい。なので、競技そのものを盛り上げる方が効率が良い(と思われる)。
また、コスト構造はもちろん重要ですが、コストの前にマネタイズ、売上を上げるほうが大きく影響するだろうと想定しています。この辺は、事業主体が何になるかにももちろんよりますが、コストコントロールはまぁ簡単なんだろうなぁと。(4次第ではあるのですが。)
まぁ、業界の特殊性にどう立ち向かうか、ということでは上記の4つの視点を持っておくのが良いのではないかと思っているわけです。