シナプス後藤です。
熊本県で直下型地震が発生しました。被災された方にはお見舞い申し上げます。

さて、この件で民進党の公式Twitterがかなりミスした発言をして軽く話題になっています。
「熊本で震度7の大地震が発生している最中、一般人からのリプに喧嘩腰で対応する民進党が大炎上」http://matome.naver.jp/odai/2146065305847422001

ざっくり書くと、ある方が民進党の公式アカウントに対して、「東日本大震災時の自民党のような対応を望みます」と書いたところ、「それじゃあダメ」「自分の党だけの手柄のように後から宣伝するようなことは慎まなければなりません」(後藤要約)と自民党を批判した、というものです。

組織の文化として、組織視点が強いところ、競争視点が強いところ、顧客視点が強いところがあるように感じます。
例えば、概して病院は組織視点が強いです。患者と医師では明らかに患者の命に対して医師の方が専門性が高いため、患者の言う事を聞く必要性が薄いためです。また、コモデティ品を扱う業界で概して、チャレンジャー、フォロワーのポジションにあるところは競争視点の傾向が強いのではないでしょうか。競争の変数が少なく、如何に競合を出しぬくかが重要であるためです。一方で、サービス業やラグジュアリブランドの販売部隊は顧客視点が強いでしょう。

これらは、組織の存在意義の観点から、環境適合してきた歴史とも言えるでしょう。
善し悪しの話ではなく、何が組織にとって重要なのか、という議論で、必ずしも顧客視点になる必要はありません。例えば、スティーブ・ジョブスと言う人は、自分が欲しいものを作って世界中に売りまくった成功例です。ある意味組織視点ですが、それで良いものが出せるのであればビジネスで成功します。孫正義という人はNTTが嫌がることを徹底的にやりまくり今のシェアを作ってきました。これも企業成長の観点からは極めて正しいと言えるでしょう。

そして、今回の件では、民進党は競争視点が強かった、ということかと思います。

日本の多くの野党は、自民党を批判することでその存在感を出してきました。前回、政権交代をしたことでその脆弱さが露呈されてしまいましたが、ある意味で二大政党制、もう一つの選択肢を担う、というミッションを持っていたので、仕方がないと言えましょう。
逆に自民党はどちらかといえば組織中心でした。独裁期間が長いと言う事もありますが、政治家と官僚がこの国を作る、という事を本気で考え、ある意味で短絡的な国民の生活より長期的な国の発展を考えてきたがための論理だったのではないでしょうか。

ところが、今の時代背景を考えると真の意味で国民のニーズを捉え直す必要が出てきています。ひとつの軸では定義できない多様性と人口が衰退していく国家運営の難しさから大多数の幸せを追いにくくなっているからです。
こういう時、組織全体が顧客志向になっていく必要があります。公式の対応は確かに職員が勝手にやったことかもしれませんが、そもそもそういう人が公式を担当している、また、その人に顧客視点を持たせられない組織全体の問題なのです。

もし、議員の一人一人が「申し訳ありません」と自分ごととして謝罪できないのであれば、民進党はまだまだ競争視点の組織であり変わろうとしていないのでしょう。
前述した通り、必ずしも組織文化を変える必要はないと思います。ただ、二大政党制の一翼を担うことを本気で目指すのであれば、顧客視点の組織を目指した方が良いのではないでしょうか?

顧客視点とは、顧客のいいなりという事を意味しません。本質的に顧客が望んでいるニーズを如何に満たすか、を真剣に考えることです。それを国民は望んでいるでしょうし、残念ながら自民党が顧客視点の組織に変わるにはまだまだ時間がかかります。
難しいからこそ組織の競争優位につながることだと思うのです。