シナプス後藤です。
「航空機の中で『お客様の中でお医者様はいらっしゃいませんか』というアナウンス(ドクターコール)があったとしても、6割の医師は故意に無視する」という趣旨の情報がチラホラ出てきているようです。
「お客様の中でお医者様はいらっしゃいませんか」←なんと6割の医者が無視することが判明 http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1842679.html
まず、これは嘘です。
正しくは、「航空機のドクターコールで約4割の医師が『申し出る』と答え、約5割が『わからない』と答え、『申し出ない』と答えたのは7.5%である」です。
出典は下記ですね。
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/04/samaritan/#104
「わからない」は、正確には「その時にならないとわからない」と言う選択肢であり、この中には、睡眠不足や飲酒状態を挙げられる方もいるようで、「状況次第」という冷静な回答をしたのではないか、というのが私の見立てです。
勿論、ポジティブな方もネガティブな方もいるでしょうが、常識的に考えれば、善意を履行したくなくて無視するのはせいぜい2-3割、と言うところではないでしょうか?
なぜ、このような嘘が書かれるのか?
まぁ、ネットで軽々しく書いている人が大多数だから、というのが回答でしょうが、もう少し言えば、数字のパワーと誤認、というのが大きいのではないかと思います。
恐らく、こんな経緯でゆがめられたのでしょう。
1) レポートではアンケート結果を「申し出ると回答したのは4割しかいなかった」と結論付けた
2) その結論を読んだ人が「10割-4割=6割の人が申し出ないと答えた人か!」と誤認した
3) ショッキングなデータなので「6割は故意に無視する」と書いた
アンケートを見るとサンプル数は67名なので、4割と言っても結構な誤差が含まれる数字です。ですので、この結果をうのみにして色々な事を判断すると間違うだろうな、と言うのが正直な感想です。
ただし、元々のアンケートの趣旨は、
「航空機内での救急医療援助に関する医師の意識調査
〜よきサマリア人の法は必要か?〜」
というもので、日本の法律はドクターコールに応えた医師が結果責任を負わなければならない可能性があり、それが医師の申し出を減らしているのでは?という仮説に導いています。その仮説を明示するには十分な調査だと思います。
この調査では、法律の存在以上に、「自分の専門外だと困る」(治せないから出ることの意味が無い)と言う事がバリアになっているようで、そういった観点も含めて「よきサマリア人の法」を適用すべきではないか、というのは良い提言だと思います。
wikipedia 善きサマリア人の法
いずれにしても、数字には力がありますので、良くも悪くも使い方次第、事実をゆがませるのも簡単に出来てしまいます。
もし、読み手・聞き手としてこのような数字に出会ったら、「原典に当たる」「データを見る」という姿勢を心掛けておきたいものですね。
「航空機の中で『お客様の中でお医者様はいらっしゃいませんか』というアナウンス(ドクターコール)があったとしても、6割の医師は故意に無視する」という趣旨の情報がチラホラ出てきているようです。
「お客様の中でお医者様はいらっしゃいませんか」←なんと6割の医者が無視することが判明 http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1842679.html
まず、これは嘘です。
正しくは、「航空機のドクターコールで約4割の医師が『申し出る』と答え、約5割が『わからない』と答え、『申し出ない』と答えたのは7.5%である」です。
出典は下記ですね。
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/04/samaritan/#104
「わからない」は、正確には「その時にならないとわからない」と言う選択肢であり、この中には、睡眠不足や飲酒状態を挙げられる方もいるようで、「状況次第」という冷静な回答をしたのではないか、というのが私の見立てです。
勿論、ポジティブな方もネガティブな方もいるでしょうが、常識的に考えれば、善意を履行したくなくて無視するのはせいぜい2-3割、と言うところではないでしょうか?
なぜ、このような嘘が書かれるのか?
まぁ、ネットで軽々しく書いている人が大多数だから、というのが回答でしょうが、もう少し言えば、数字のパワーと誤認、というのが大きいのではないかと思います。
恐らく、こんな経緯でゆがめられたのでしょう。
1) レポートではアンケート結果を「申し出ると回答したのは4割しかいなかった」と結論付けた
2) その結論を読んだ人が「10割-4割=6割の人が申し出ないと答えた人か!」と誤認した
3) ショッキングなデータなので「6割は故意に無視する」と書いた
アンケートを見るとサンプル数は67名なので、4割と言っても結構な誤差が含まれる数字です。ですので、この結果をうのみにして色々な事を判断すると間違うだろうな、と言うのが正直な感想です。
ただし、元々のアンケートの趣旨は、
「航空機内での救急医療援助に関する医師の意識調査
〜よきサマリア人の法は必要か?〜」
というもので、日本の法律はドクターコールに応えた医師が結果責任を負わなければならない可能性があり、それが医師の申し出を減らしているのでは?という仮説に導いています。その仮説を明示するには十分な調査だと思います。
この調査では、法律の存在以上に、「自分の専門外だと困る」(治せないから出ることの意味が無い)と言う事がバリアになっているようで、そういった観点も含めて「よきサマリア人の法」を適用すべきではないか、というのは良い提言だと思います。
wikipedia 善きサマリア人の法
いずれにしても、数字には力がありますので、良くも悪くも使い方次第、事実をゆがませるのも簡単に出来てしまいます。
もし、読み手・聞き手としてこのような数字に出会ったら、「原典に当たる」「データを見る」という姿勢を心掛けておきたいものですね。