シナプス後藤です。

武雄図書館のリニューアル等で、何かと話題だった元武雄市長の樋渡さんが、佐賀知事選に出馬していましたが、敗れたそうですね。
http://www.saga-s.co.jp/images/webextra/95_pdf_id_20150112004441.pdf

正直、他都道府県の選挙だと存在自体が余り印象に残っていないものですが、話題があると異なるようで、今回は、樋渡さんという名前が大きいようですね。(他にも、橋本知事が出馬した際の府知事選や、毎回、基地問題が大きな論点になる沖縄県知事選はメディアも取り上げるので印象に残ります。)

樋渡さんは、武雄図書館にCCCとスターバックスを入れたことで話題になったほか、恐らく様々な改革をされてきた人だと思います。実際、武雄図書館の集客力はかなりのもので、人口5万人の都市としてはそれなりの経済効果になったのでは、と推測します。

ところが、その樋渡さんが選挙で敗れました。投票率54.61%(過去最低)、約18万票対14万票と二強対決でしたが、農協や漁協の支援を受けた山口氏が当選だそうです。


山口さん、樋渡さんはいずれも直接存じ上げないので、想像での話になりますが、恐らく、
 県政を変えたい樋渡さん

 今まで通りで変えたくない山口さん
の戦いだったのではないでしょうか。つまり、「現状維持」と「改革」です。

もしかすると、選挙権を持った人が全員投票しなければならず、しかも全員がちゃんと考えたら、樋渡さんが当選していたかもしれません。差はついていますが、ひっくりかえらない程度ではないのだろうな、と。

この差は何か?

それは、「わざわざ投票に行ってまで決めたいと思うか?」の気持ちの強さの差ではないでしょうか。勿論、組織票やらなんやらありますが、基本的に樋渡さんを支持する人は、「これから自分が利益を得るために」投票します。一方で、山口さんを支持する人は「今の利益を無くさないために」投票します。(事実はともかく、山口さん側の陣営はそういうプロモーションをしているのだと想像しています。)


一般に、何かを得るよりも失う方が強い欲求がある、と言われます。行動経済学などでも取り扱われるもので、例えば、
・新たに買う金額
・持っているものを売る金額
では、「売る金額」>「買う金額、となる傾向が強い、と言われます。
私も、今のバイクと同じものを買うなら、20-30万くらいかな、と思いますが、売るなら50万円くらいでないと困る、とか思うわけです。経済合理的に考えると「モノとしては同じ」なので全くナンセンスですが、人間の感情はそういう風に出来ているようなのです。


つまり、「失う側」の方がモチベーションが強く、結果としてわざわざ投票に行って反対したいと思うわけです。


言い換えれば、何かを変えたいと思うなら、かなり強い欲求を起こさせる必要があります。もし、リリースしようとしている新商品が既存のやり方を否定するものなら、相当強い欲求を持たせるものでないといけない、と言う事です。