シナプス後藤です。

ここ数年、facebookを見ていることが多いので、情報の起点がfacebookになっている(facebookを見て何かに気付く)ことが増えてきました。
必要な情報は裏取りしますが、必要でない情報は眺めるだけ眺めていたりします。

つい直近では、甲子園出場チームのおにぎりをにぎったマネジャーの件がネットで情報を拡散している感じですが、こういう「なんでこんなにバズっているのか良く分からないもの」を見るにつけ、こんな風に拡散していくのではなかろうか、という仮説を立ててみました。

一番最初は、twitterだったり、何らかのニュースサイトで「極論」あるいは「極論を言いやすいネタ」が出されます。
おにぎりの件だと、可愛い女性の写真とともにジェンダー問題にも取りやすい話が出ましたね。

それを見た人はtwitterのような軽いツールで呟きます。「これ、**じゃね?」と。この時点では、思った事を口に出す、或いは自分のコメントがバズる様に毒づく、またはネタにする。この時点で極論に対して極論で返すパターンが多いでしょう。
次に現れるのは、その反論です。これが何往復かしたら、NAVERまとめにアップされます。
今回は恐らくこの時点でまとめサイトに「炎上」と書かれたのでしょう。

炎上しているかどうかはあまり関係なく、「炎上」と書いた方がキャッチーなので、とかそんな理由かもしれません。

こういうのが出ると当然、「いやいや、これで炎上ってお前らアホじゃね?」という正論が出てきます。正論が出れば、勿論それに賛同する方が出てきます。このあたりになると、少しネット上で影響力のある人が出てくるのでしょう。これは穿った見方をすれば、ネット上で影響力のある人はネット上で話題になっていることに関して「私見を述べる」ことが期待される、或いは、私見を述べた方がその人が目立つからです。穿っていない見方をすれば、そういうことに正論をちゃんと言える人だからネット上で影響力があるのだと思いますが。

また、正論だけでなく、「そもそも、この環境下では」という環境論、メカニズム論が出てきます。環境論辺りから論客が参加するのでしょうね。
おにぎりの件だとジェンダー問題に詳しい方とか、高校野球の実態に詳しい方とか。

更には、「なぜこれがバズるのかと言うと」というようなネットに詳しい方の意見が出てきます。(私は詳しくないですが、このステージで参戦してみました。)

こうなると、もはや最初のニュースが関係なくなります。これを炎上と言えば炎上ですが、元々は大した火でもなかったのに、皆でわっしょいわっしょいやっている間にドンドン火が大きくなっていきます。
おにぎりの件で見ると、「如何なものか」という論調とともに、「ネットの批判に負けず頑張れ!」という意見も出ます。或いは、「これは女性マネジャーの問題ではなくニュースを出したメディアが悪いのだ」と女性マネジャーに対してエールを送ると共に女性擁護する意見も出ます。ただ、どのような意見であろうとも、わっしょいわっしょいでドンドン火が大きくなっていきます。

鎮火しない理由は簡単です。誰も鎮火作業をしないからです。
鎮火作業は情報主体者(おにぎりの件では女性マネジャーかその在籍高校)やニュース発信者が謝罪等、何らかの交通整理によって行われることになるでしょう。正論、極論、環境論、ネット論等を話している人のほとんどが情報主体者やニュース発信者に対して何かをしたいわけではないので(多分)、主役級が「お願いだから黙っててくれ」と言えばそれで終了してしまう程度の内容だからです。

しかしながら、「お願いだから黙っててくれ」という声はなかなか出てこない。なぜならば、「黙っててくれ」と言いたい人は出来れば目立ちたくない、波風を立てたくないのであって、そんな事を言って波風を立てる気力が無いからです。

それがいつまで続くかと言うと飽きるまで続きます。言い換えれば、飽きた瞬間に終了します。いうなれば、燃えるものが無くなったのです。焼け野原には何も残らず、「あぁ、そんな火事があったねぇ」という緩い記憶だけ残ります。主役級の方はと言えば、何か悪いイメージだけ残されて終了します。名誉を挽回しようにも燃える物が全部燃えてしまったのでもうどうしようもない、と。


SNSのような拡散力の強いツールが出来たが故に、何かのきっかけで情報は拡散します。そこには悪意とか善意では説明できないツールの力が存在します。

いわば、我々はいつ望まない認知のされ方をするか分からない、そういう時代を生きていると言う事です。