シナプス後藤です。

イノベーションが起こる条件は様々ありますが、技術側や商品側の発想力を元にするものよりも、顧客ニーズをベースとしたものの方が成功確率は高い、ように感じます。
それは、顧客が存在すれば、必ず一人は買う人が存在し、多くの場合、一人ではないからです。

ただ、重要顧客のニーズを聞いているだけだと、イノベーションのジレンマ(*1)で提唱されているような破壊的技術にやられることが往々にしてあります。


イノベーションが起きる一つの要件として、「何故か商品を購入している非ターゲットの存在に目を向ける」というものがあります。
皆さんのビジネスでも、「理由は分からないが、なぜかこの顧客がウチの商品を買っているようだ」という説明のつかない請求書はありませんか?
こういった伝票を見つけた時はイノベーションのチャンスです。


先日、facebookのウォールに流れていたAmazonの面白いレビューがありました。
山善社の食器乾燥機がこちらです。



食器乾燥機なのですが、レビューを見るとなぜか「模型を乾かす」という用途のレビューがほとんどなのです。
もともと食器乾燥機として作ったにもかかわらず、そちらの能力は全く評価されず、模型やプラモデルの塗料を乾かすのには極めて効果が高い、というレビューで持ちきりです。

このようなケースが新しいイノベーションのチャンスです。

恐らく、プラモデルを趣味で作っている方々に取ってみると、塗装を乾かす乾燥機として優れているものが今まで存在しなかったのでしょう。考えてみれば当たり前で、食器乾燥機の市場に比べると、プラモデルの塗装を乾かす、というのは極めてニッチな市場です。乾燥機は存在するかもしれませんが、専用のものは市場規模が存在しないがために、高価格に違いありません。食器乾燥機の市場価格はもっと安かったのだと思います。

もし、山善社がこの事実に気付き、「模型を乾かす乾燥機」を出したらかなりのヒット商品になるに違いありません。(と言っても、それほど大きな市場ではないのでしょうけど。)


顧客は企業側の想像以上に工夫を重ねています。BtoBであっても、BtoCであってもやりたいことの実現のために、様々な手段を試します。残念ながら企業側は想定するニーズに対する使い方は調べるにしても、それ以外のアプリケーションを探すケースは少ないです。探したとしても「模型を乾かす」というアイディアは出なかったに違いありません。

以外に、自社の伝票を洗ってみると面白い市場を発見することもあります。
もし、「なんだか良く分からない」顧客に出会ったら、是非「なぜ購入したのか?」を聞いてみると良いでしょう。意外な市場が発見できるかもしれません。



*1:イノベーションのジレンマ:重要顧客のニーズを聞いていると、ライトユーザが求める以上の過剰品質になってしまい、低価格サービスにとって代わられてしまう状況に陥ってしまう事。