シナプス後藤です。
先日、バイクに乗っていて休憩しようと思い、道の駅に寄った時の話です。

道の駅「花桃の里」
道の駅は多くの旅行者が休憩に訪れますが、その中でなぜかチラシを配っている人がいました。道の駅と言うと、一般的には極めてPULL型の商売で陳列してあるものを「欲しければ買って」というスタンスでむしろ商売っ気が無いことが多く、明らかに不自然な行動です。
見ていると、主にある程度高年齢で車で来ている家族、を狙ってチラシを捲いているようです。あからさまにバイクで一人で来ているおっさん、つまり私はターゲット外なのですね。
興味深く見ていると、どうやら次のような話をしているようです。
・もともとは浜松に作られた鉄道・佐久間線のトンネルを利用して倉庫を作った
・倉庫は環境的に良くワインセラーにした
・日本では酒販許可が無いと酒を販売できない
・酒販許可がおりたため、ワインを販売できることになった
・歩いて1分くらいのところにあるので、ちょっと酒屋にでも寄るつもりで見て欲しい
つまり、ワインを売っているので見て欲しい、と言う事で、恐らく毎週末トークしているので慣れたのでしょう、とても流暢に説明されていました。
気になったからには当然聞くでしょう、と思い、ターゲット外のおっさんながら、「話を聞かせて下さい」と言ってみました。
話を聞いてみると、上記のような話をするのですが、こちらから声をかけているので、興味を持った、と思ったのかもしれません。次のような話をして下さいました。
1) もともとは浜松に作られた鉄道・佐久間線のトンネルを利用して倉庫を作った
2) 倉庫は環境的に良くワインセラーにした
3) 日本では酒販許可が無いと酒を販売できない
4) 酒販許可がおりたため、ワインを販売できることになった
5) 倉庫の環境は温度、湿度がとても優れており、ワインが今とても良い状態になっている。つまり、おいしいと言う事。
6) (バイクだと試飲は出来ないが)試飲もやっている。
7) ボジョレヌーボの時期になるとイベントをやっている
8) ボジョレヌーボ解禁の正午に合わせて、正面の扉についているステンドグラスが綺麗に輝くように設計してある
更に、名刺を出して頂きましたが、その名刺によると、
9) ソムリエ協会のワインアドバイザーをやっている
10) 歩いて1分くらいのところにあるので、ちょっと酒屋にでも寄るつもりで見て欲しい
のだそうです。
改めて番号を振ってみましたが、皆さんはどこに惹かれましたか?
私はこの中では、5)、6)、9)に惹かれました。
つまり、「美味しいワインがあり」「試飲が出来」「プロの私が保証する」と言うわけです。
食べ物や飲み物の本質的な価値は、「おいしい」と言う事です。ワインも嗜好品の要素が強いものの基本は同じで、「美味しい飲み物を飲みたい」と思っている人が多いのが実情でしょう。ワインは、専門性が高い商品でもあるので、プロ、あるいはプロでなくてもブドウ品種、産地、生産年、或いは、生産工程や保存方法、飲み方まで様々な知識があり、それを語れる人も多いです。だから、蘊蓄を聞くのを喜ぶ人が一定量いるのは事実でしょう。
ところが、多くのワインを飲みたい人、つまり、一般の消費者は美味しければよい、と思うのがほとんどでしょう。だから、難しい話はともかく、「それは美味いのか?」が最大の関心事です。
素人である私も当然、「美味いのか?」に興味を持ったわけです。
ポジショニングとは、独自の価値を顧客の頭にインプットする活動です。言い換えれば、「我々の商品が欲しくなる訴求点」を明確にすることです。
ここは間違いやすいところなのですが、
・顧客が必要と思っている情報を訴求する
事でもなければ、
・独自の価値を訴求する
事でもありません。
いずれも必要な要素ではあるのですが、必要十分ではない。
顧客が我々の訴求を聞いて、「あぁ、これが欲しい」と思ってもらうためのもの、その訴求点を明示するのがポジショニングです。
そのために、「顧客が重視している価値」×「競合には無い独自の価値」を示すのです。
さて、こちらのワインセラーの強みであり、難しいところは独自の価値がたくさんあるところです。ターゲット設定によっては刺さりまくるものが多い。
例えば、鉄道マニアでワイン好き、となると、「幻の佐久間線のトンネルで保管されたワイン」と言うのが刺さるキーワードになるかもしれません。
或いは、ワインマニアに説明するには、「ヨーロッパのセラーと同じように地下の温度、湿度で保管された良い状態のワイン」と言うのが良いかもしれません。
ところが、通りすがりの道の駅にいる人がそんなニッチなケースは稀で、「美味しいワインがある」と言うのが刺さりやすい価値になるかもしれないのです。なんせ、道の駅で美味しいワインが売っていることは稀ですから。
せっかく、自ら営業活動をしているのですから、相手の顔色を見ながら、より刺さるキーワードを見つけてトークを磨くと良いのではないでしょうか。セールストークのABテスト(※)を繰り返す事で、より強いポジションを見つけられるように思います。
なお、記載したワインセラーは「浜松ワインセラー」です。
http://www.tabi-ru.co.jp/cave/info.html

ステンドグラスが美しい扉

自然に温度が保たれるトンネル内
ワインは一本買って帰って美味しく頂きました。

※ABテスト:異なる二つの対象物を用意し、交互に出す事によって寄り反応の良いものを残す広告を磨く手法。DMやWeb広告、Webページ等で使われることが多い。
先日、バイクに乗っていて休憩しようと思い、道の駅に寄った時の話です。

道の駅「花桃の里」
道の駅は多くの旅行者が休憩に訪れますが、その中でなぜかチラシを配っている人がいました。道の駅と言うと、一般的には極めてPULL型の商売で陳列してあるものを「欲しければ買って」というスタンスでむしろ商売っ気が無いことが多く、明らかに不自然な行動です。
見ていると、主にある程度高年齢で車で来ている家族、を狙ってチラシを捲いているようです。あからさまにバイクで一人で来ているおっさん、つまり私はターゲット外なのですね。
興味深く見ていると、どうやら次のような話をしているようです。
・もともとは浜松に作られた鉄道・佐久間線のトンネルを利用して倉庫を作った
・倉庫は環境的に良くワインセラーにした
・日本では酒販許可が無いと酒を販売できない
・酒販許可がおりたため、ワインを販売できることになった
・歩いて1分くらいのところにあるので、ちょっと酒屋にでも寄るつもりで見て欲しい
つまり、ワインを売っているので見て欲しい、と言う事で、恐らく毎週末トークしているので慣れたのでしょう、とても流暢に説明されていました。
気になったからには当然聞くでしょう、と思い、ターゲット外のおっさんながら、「話を聞かせて下さい」と言ってみました。
話を聞いてみると、上記のような話をするのですが、こちらから声をかけているので、興味を持った、と思ったのかもしれません。次のような話をして下さいました。
1) もともとは浜松に作られた鉄道・佐久間線のトンネルを利用して倉庫を作った
2) 倉庫は環境的に良くワインセラーにした
3) 日本では酒販許可が無いと酒を販売できない
4) 酒販許可がおりたため、ワインを販売できることになった
5) 倉庫の環境は温度、湿度がとても優れており、ワインが今とても良い状態になっている。つまり、おいしいと言う事。
6) (バイクだと試飲は出来ないが)試飲もやっている。
7) ボジョレヌーボの時期になるとイベントをやっている
8) ボジョレヌーボ解禁の正午に合わせて、正面の扉についているステンドグラスが綺麗に輝くように設計してある
更に、名刺を出して頂きましたが、その名刺によると、
9) ソムリエ協会のワインアドバイザーをやっている
10) 歩いて1分くらいのところにあるので、ちょっと酒屋にでも寄るつもりで見て欲しい
のだそうです。
改めて番号を振ってみましたが、皆さんはどこに惹かれましたか?
私はこの中では、5)、6)、9)に惹かれました。
つまり、「美味しいワインがあり」「試飲が出来」「プロの私が保証する」と言うわけです。
食べ物や飲み物の本質的な価値は、「おいしい」と言う事です。ワインも嗜好品の要素が強いものの基本は同じで、「美味しい飲み物を飲みたい」と思っている人が多いのが実情でしょう。ワインは、専門性が高い商品でもあるので、プロ、あるいはプロでなくてもブドウ品種、産地、生産年、或いは、生産工程や保存方法、飲み方まで様々な知識があり、それを語れる人も多いです。だから、蘊蓄を聞くのを喜ぶ人が一定量いるのは事実でしょう。
ところが、多くのワインを飲みたい人、つまり、一般の消費者は美味しければよい、と思うのがほとんどでしょう。だから、難しい話はともかく、「それは美味いのか?」が最大の関心事です。
素人である私も当然、「美味いのか?」に興味を持ったわけです。
ポジショニングとは、独自の価値を顧客の頭にインプットする活動です。言い換えれば、「我々の商品が欲しくなる訴求点」を明確にすることです。
ここは間違いやすいところなのですが、
・顧客が必要と思っている情報を訴求する
事でもなければ、
・独自の価値を訴求する
事でもありません。
いずれも必要な要素ではあるのですが、必要十分ではない。
顧客が我々の訴求を聞いて、「あぁ、これが欲しい」と思ってもらうためのもの、その訴求点を明示するのがポジショニングです。
そのために、「顧客が重視している価値」×「競合には無い独自の価値」を示すのです。
さて、こちらのワインセラーの強みであり、難しいところは独自の価値がたくさんあるところです。ターゲット設定によっては刺さりまくるものが多い。
例えば、鉄道マニアでワイン好き、となると、「幻の佐久間線のトンネルで保管されたワイン」と言うのが刺さるキーワードになるかもしれません。
或いは、ワインマニアに説明するには、「ヨーロッパのセラーと同じように地下の温度、湿度で保管された良い状態のワイン」と言うのが良いかもしれません。
ところが、通りすがりの道の駅にいる人がそんなニッチなケースは稀で、「美味しいワインがある」と言うのが刺さりやすい価値になるかもしれないのです。なんせ、道の駅で美味しいワインが売っていることは稀ですから。
せっかく、自ら営業活動をしているのですから、相手の顔色を見ながら、より刺さるキーワードを見つけてトークを磨くと良いのではないでしょうか。セールストークのABテスト(※)を繰り返す事で、より強いポジションを見つけられるように思います。
なお、記載したワインセラーは「浜松ワインセラー」です。
http://www.tabi-ru.co.jp/cave/info.html

ステンドグラスが美しい扉

自然に温度が保たれるトンネル内
ワインは一本買って帰って美味しく頂きました。

※ABテスト:異なる二つの対象物を用意し、交互に出す事によって寄り反応の良いものを残す広告を磨く手法。DMやWeb広告、Webページ等で使われることが多い。