シナプス後藤です。

私はコーヒーが好きなので、ちょいちょいカフェや喫茶店を利用します。先日も、あるカフェチェーンに入ったら、次のような張り紙が貼ってありました。

混雑時の長時間ご利用は他の方のご迷惑となりますので、勉強・読書・会議などはご遠慮頂きます。



私は仕事の合間にカフェを利用することも多いので、座席に陣取ってPCを開いていることも多々あります。こういうのも禁止なんだろうなぁ、とか思いながら見ていましたがふと。

カフェを利用する理由としてコーヒー好き以外では、もう一つ、やはり時間をつぶせる、ゆっくりできる空間である、と言う事も大きいです。その意味では、私自身はコーヒーを買っているわけでなく、その時間、空間を買っているような気がします。


以前、こだわりの喫茶店に行ったことがあります。その店は珈琲を楽しむための店でした。タバコなどは勿論禁止ですが、それだけでなく、基本的に携帯電話の利用は禁止、PCを開いて作業するなどもってのほかだそうです。彼らが売っているのは「おいしいコーヒー」であり、たしかにとてもおいしく頂きました。
また、マクドナルドは飲食店です。勿論、高校生が宿題をやったり、ママ友たちが子供を連れて雑談する場でもあったりするのですが、本質は飲食店で、どれだけ回転させられるかがポイントでしょう。
一方、スターバックスは、「サードプレイス」と言う通り、場所を売っています。最近では、無料のWiFiも飛ばしているようで、私も結構重宝しています。


外食、という業態は一般にピークタイムがあります。通常はランチでしょうか。このランチ時間帯にどれだけ顧客を回転させられるかが売上に大きく影響するのは事実です。だから、店の短期的利益だけを追うのであれば、座席で勉強などさせてはいけません。一般的なファストフードチェーンのように、椅子は座りにくくても良いので、座席数を多く確保し、食べることに集中させる。食べるのが終わったら、他の事はやりにくくさせる、と言うのが基本です。それに特化したのが吉野家かもしれません。
だから、経営的に「ご遠慮頂きます」(というのが文章表現としては置いておいて)は決して悪い選択肢ではありません。飲食店、と位置付けるならば正しい意思決定だと思います。一方で、もし居心地の良さを売っていこうとするのであれば、戦略実現の施策として間違った意思決定です。短期的な売上を期待するがために、ブランド棄損、ひいては長期的な売上の減少を招いてしまうかもしれませ。


これは「張り紙」という施策の善し悪しというよりも、戦略性の問題と思います。ピークタイムの売上をとるのか、長期的なファンを獲得するのか、そのトレードオフ、ジレンマに対して意思決定するのが戦略でしょう。