シナプス後藤です。
サッポロビールがセブン&アイ用のPBを作るようです。この意思決定によって、ビール業界の利益率は下がるだろうな、と言うのが私の印象です。
マイケル・ポーター教授が提唱した5Forces分析は業界の収益性を考えるものです。儲かる業界には必ず儲かる理由があり、儲からない業界には必ず儲からない理由がある、というのを5つの脅威の力を使って考えるフレームワークですね。
シナプス・マーケティング・カレッジ☆公式ブログ「5Forces分析 (5つの力分析) とは?」
ビール業界は意外に価格が守られています。理由は、大手4社寡占であり、4社とも比較的「大人の会社」で価格競争を仕掛けないことが大きいと思います。日本マーケットの飲酒量を考えた時に、無理なライン拡大もしないし、シェアを大きく上げるために「価格競争」という選択肢も取らない。
テレビ(家電)業界ではシェアを取るために一気にラインを拡大する、と言う選択肢を取りますので、価格は一気に下がります。(コストが下がる、と言う事もありますが、需要と供給の関係も大きいです。)
また、牛丼業界では価格競争に陥ったがために一気に収益性が悪化しました。
こういったことが起こらないのは、ビール業界がIYやイオン等の小売の圧力に負けず、価格競争に入らなかったからです。
また、同じようにキリン、アサヒ、サッポロ、サントリーの大手4社がPBを作らなかったのも同じ理由ではないかと思います。PBを作ってしまうと、コントロールが小売側に移ってしまうのを恐れた、と言う事ではないでしょうか。
イオンはトップバリュに韓国メーカーのビールを採用しましたが、これは恐らく日本の4社に断られたからだと思います。
PBのメリットは売上ボリュームが確保できることです。だから、ラインの稼働率が高く維持できます。多少、売上が下がっても、その分を補てんできるだけの稼働率が維持できる、と言う事でしょう。特に、セブン&アイであれば、日本最大のコンビニチェーンであるセブンイレブンの棚を優先的に取れますので、かなりの量がはけることが期待できます。
一方で、最大のリスクは、PBでラインを構成してしまうと、セブンイレブンの棚に大きく依存することになってしまう事です。セブン&アイにしてみれば、全国のセブンイレブンに十分配下できるだけのライン確保を依頼するでしょう。そうするとサッポロとしてはその分を確保しなければならない、場合によっては拡張の可能性だってあるわけです。
ところが、セブンイレブンに依存する、と言う事は、セブンイレブンの方が交渉力が強くなる、と言う事でもあります。5Forces分析の中で言う、「買い手の交渉力が増す」状態になるわけです。
セブン&アイが手に入れたのは、単にPBのビール、と言う事だけでなく、ビール業界に対する需給コントロール、と言う力ではないでしょうか?
セブン&アイが儲かるようになれば、当然その分の利益はビール業界が削られることになります。サッポロはまだ売上を確保されているから良いかもしれませんが、キリン、アサヒ、サントリーの3社はこのPBの存在によって価格競争を余儀なくされるでしょう。
この提案に乗れたのは、ビール業界の中でのプレセンスが相対的に下がっているサッポロだからでしょうね。
1消費者からすると、ビールの価格が下がってくれれば嬉しいに越したことは無いですが、今後ビール業界がどう推移していくかは注目すべきところではあります。
サッポロビールがセブン&アイ用のPBを作るようです。この意思決定によって、ビール業界の利益率は下がるだろうな、と言うのが私の印象です。
マイケル・ポーター教授が提唱した5Forces分析は業界の収益性を考えるものです。儲かる業界には必ず儲かる理由があり、儲からない業界には必ず儲からない理由がある、というのを5つの脅威の力を使って考えるフレームワークですね。
シナプス・マーケティング・カレッジ☆公式ブログ「5Forces分析 (5つの力分析) とは?」
ビール業界は意外に価格が守られています。理由は、大手4社寡占であり、4社とも比較的「大人の会社」で価格競争を仕掛けないことが大きいと思います。日本マーケットの飲酒量を考えた時に、無理なライン拡大もしないし、シェアを大きく上げるために「価格競争」という選択肢も取らない。
テレビ(家電)業界ではシェアを取るために一気にラインを拡大する、と言う選択肢を取りますので、価格は一気に下がります。(コストが下がる、と言う事もありますが、需要と供給の関係も大きいです。)
また、牛丼業界では価格競争に陥ったがために一気に収益性が悪化しました。
こういったことが起こらないのは、ビール業界がIYやイオン等の小売の圧力に負けず、価格競争に入らなかったからです。
また、同じようにキリン、アサヒ、サッポロ、サントリーの大手4社がPBを作らなかったのも同じ理由ではないかと思います。PBを作ってしまうと、コントロールが小売側に移ってしまうのを恐れた、と言う事ではないでしょうか。
イオンはトップバリュに韓国メーカーのビールを採用しましたが、これは恐らく日本の4社に断られたからだと思います。
PBのメリットは売上ボリュームが確保できることです。だから、ラインの稼働率が高く維持できます。多少、売上が下がっても、その分を補てんできるだけの稼働率が維持できる、と言う事でしょう。特に、セブン&アイであれば、日本最大のコンビニチェーンであるセブンイレブンの棚を優先的に取れますので、かなりの量がはけることが期待できます。
一方で、最大のリスクは、PBでラインを構成してしまうと、セブンイレブンの棚に大きく依存することになってしまう事です。セブン&アイにしてみれば、全国のセブンイレブンに十分配下できるだけのライン確保を依頼するでしょう。そうするとサッポロとしてはその分を確保しなければならない、場合によっては拡張の可能性だってあるわけです。
ところが、セブンイレブンに依存する、と言う事は、セブンイレブンの方が交渉力が強くなる、と言う事でもあります。5Forces分析の中で言う、「買い手の交渉力が増す」状態になるわけです。
セブン&アイが手に入れたのは、単にPBのビール、と言う事だけでなく、ビール業界に対する需給コントロール、と言う力ではないでしょうか?
セブン&アイが儲かるようになれば、当然その分の利益はビール業界が削られることになります。サッポロはまだ売上を確保されているから良いかもしれませんが、キリン、アサヒ、サントリーの3社はこのPBの存在によって価格競争を余儀なくされるでしょう。
この提案に乗れたのは、ビール業界の中でのプレセンスが相対的に下がっているサッポロだからでしょうね。
1消費者からすると、ビールの価格が下がってくれれば嬉しいに越したことは無いですが、今後ビール業界がどう推移していくかは注目すべきところではあります。