シナプス後藤です。

先日、意思決定の先延ばしについて書きました。
意思決定を先延ばしにしないコツを歯医者で考える

ただ、実際には意思決定を先延ばしにしなければならないことは多々あります。
特に、他のオプションを検討しているときは往々にして起こります。たとえば、複数社から提案を受けるコンペのような場合は、「全社が出そろうまで待つ」というのは非常に重要な考え方ですね。

特に、意思決定をいつするか、正確には「先延ばすべきかどうか?」は次の三つのポイントを考える必要があります。

1) 先延ばしのメリットがあるか?
2) 先延ばしのデメリットとメリットの比較
3) 最後は気持ちが大事

1) 先延ばしのメリットがあるか?

 まず、一番最初に考えるべきなのは、「先延ばしのメリット」です。A、B、C3社からの提案を待っているときに、「A、B社は出してきたが、一番期待しているC社がまだ出そろっていない」という場合は明らかに待った方が良いでしょう。これは、意思決定を先延ばしにすべきです。

 一方で、「期待しているA、B社は出してきたが、全く期待していないC社がまだ出そろっていない」という状況では如何でしょうか?
 C社の提案がある程度想定出来て、A、B社を超える可能性が全くないなら、先延ばしの必要はないと思います。

 多くの場合、「ほぼC社は無いが、万が一すごい提案が出てくるかもしれない」という淡い期待を持ってしまい、その結果、当然のごとく期待を裏切られることになります。
 では、すぐに意思決定してしまった方が良いのか?これには、「先延ばすことのデメリット」を考える必要があります。

2) 先延ばしのデメリットとメリットの比較

 C社の提案を待っていても、自社の状況に変化がないのであれば、待ってからゆっくり意思決定をすればよいでしょう。たとえば、A、B、C社の提案に対して「トップ承認」のスケジュールが決まっていて、今、意思決定しても出そろってからでもトップに答申できるタイミングは変わらない、という時などです。
 この状況なら「先延ばし」が正解です。

 一方で、なるべく早くやった方が他社に先行できる期間が長くなる、というケースの場合はどうでしょうか?
「ほぼ採用する可能性のない」案を待つことで、有力候補の価値が減じてしまう、と言う事が生じます。
多くの物事は、早く決めた方がそのあとのスケジュールに余裕もできますし、担当者の気持ちにも余裕ができますので、一般的には決められるときに決めた方がメリットが大きいのではないでしょうか。

 つまり、先延ばしのメリットが少なく、デメリットが大きければ、先延ばししないでさっさと決めた方が良い、と言う事です。

 では、なぜそれでも先延ばしをしてしまう人がいるのでしょうか?
それが、三つ目のポイントです。
 

3) 最後は気持ちが大事

 特に戦略的な意思決定は、意思決定そのものだけでなく、「そのあとやりきれるかどうか」が重要になることが往々にしてあります。

「選択肢としては最上だが、嫌々取り組んでいる」 vs 「選択肢としては3番手くらいだが、喜んで取り組んでいる」

という状況の時は、後者、つまり「喜んで取り組んでいる」方が成果が出るなどと言う事はよくある話です。つまり、意思決定の際に自分の気持ちがクリアになっていなければ、そのあとの成果に影響が出てしまう、と言う事です。

 なので、「先延ばすメリットよりデメリットの方が大きいが、なぜか釈然としない」という時は、自分の気持ちに折り合いがつくまで待つ、というのも一つの選択肢なのです。
 「すべてを考えつくして決めた」という状況にすることで自分の納得感が大きく違うなら、それも先延ばすことのメリットだと思います。


但し、多くの人は、三つのポイントをあまり考えずに「ズルズルと先延ばし」と言う事が多いのではないでしょうか?
少なくとも、1)、2)のポイントを一度冷静に考えてみて、「それでも先延ばしたいと思っているかどうか」を考えてみることをお勧めします。