シナプス後藤です。

マーケティングや経営戦略では「**分析」という名前が付いた様々なフレームワークが登場します。多くの場合、頭文字をアルファベットにするか、纏めて数字にするかで、
・PEST分析
・3C分析
・SWOT分析
・5Forces分析
などがあります。(他にも色々ありますがとりあえず代表的なところで。)

これらの分析は、我々に考えるべき視点を与えてくれて、それがヌケモレないように、初心者でも大きなミスが無いように考えられています。

しかしながら、3C分析やSWOT分析を見る人が見ると、「こんなのじゃ全然ダメだ!」という結果になることも多々あります。それは何故なのでしょうか?

多くの方がミスをするパターンは大きく二つあります。
1) 言いたい事は分かるが情報武装が足りずただの妄想になっている
2) 取ってきた情報の羅列に終わってしまい、何が言いたいのか分からない


これは分析作業において必要なステップを踏んでいないから、意識していないからではないでしょうか。

シナプスでは大きく分析作業を2つのステップに分けています。
すなわち、
・ファクト(事実)抽出
・メッセージ化
の二つです。

上記の1)は、明らかに事実情報が足りません。なぜこういう事になるかと言うと、ほとんどは、[1]事実収集の視点にヌケモレがある、[2]分析作業の中に事実収集を含めていない、あるいは、[3]事実が取れないと思って諦めている、の3つのうちいずれかでしょう。
特に致命的なのが、[1]で、足りない情報が何か分かっていない、となってしまうと正しい意思決定など出来るはずも有りません。フレームワークはこういった事態を防ぐために考えられたもので、事実情報の収集にはフレームワークの観点からヌケモレを無くす、という作業が必要になりますね。

[2][3]は分析者の基本スタンスの問題です。特にマーケティングに関わる本当に重要な多くの情報はGoogle検索では見つかりません。(見つかるくらいなら全員が知っていてもう重要ではなくなっています。)
しかし、ちゃんと取りに行けば意外に取れたりするものなのです。

1)のケースでは、情報が取れない、あるいは必要な情報が何か分からないから情報を取らない、という状況に陥ってしまいますが、重要な情報が無い中での意思決定は道に迷った時に地図を見ないでカンで「こっち」と言うようなものです。



2)のケースは「3C分析」という言葉を知り、使い始めた方に多い傾向かもしれません。

「市場規模は100億円です。競合にはA社とB社がいます。自社は商品開発力があります。」

こういう情報は必要なのですが、これだけだと「だから何?」と言われるのがオチでしょう。
マーケティングにおける分析は、自分たちがどうすべきか、この事業をどうすべきか、という示唆があるべきです。ですから、市場規模100億円が自分たちにとってどういう位置付けにあるのかの解釈が必要でしょう。

SWOT分析は、解釈をし、メッセージ化するためのフレームワークです。たとえば、市場規模100億円と言うのは機会なのか、脅威なのか。もし、「今、当社の売上は10億円だが、潜在市場規模は100億円で拡大余地は大きい」と言うことであれば機会ですし、「今、当社の売上は110億円だが今後市場規模は競合も併せて100億円に縮む」と言うことであれば脅威に他なりません。
一つの事実はプラスにもマイナスにもなります。要するに分析者のセンスによって決まってくるわけです。


当然、フレームワークによって二つの工程のどちらに適しているものか、という使いやすさは有ります。シナプスでは、PEST分析、3C分析はファクト抽出を、SWOT分析はメッセージ化を行うためのフレームワークとして紹介しています。5Forces分析は原著「競争の戦略」を読むと、このフレームワークで両方の工程を行っているようです。


分析作業で心掛けるべきことはたくさんありますが、少なくとも、
・ファクト(事実)抽出
・メッセージ化
の二つの工程がある、と言う事を理解しておくと良い分析になると思います。