シナプス後藤です。

以前からある議論ではあるのですが、最近も見るようになったので改めて。
「マーケティング理論なんか机上の空論で役に立たない」というような議論ですね。

この発言の裏にあるのは、「そうはいっても現実は上手くいかないので、どう折り合いをつけるかはかなり重要」という話です。
本質的には、理論も現実も両方重要。だから、「理論を学ばなければならない」し、「現実のビジネスを知らないといけない」と言う事です。


ただ、この手の議論として面白いのは大抵、どちらか片方のスタンスを取る傾向が多いことです。

「あいつは現場が分かっていない!」といっている人は理論を知らないと思われている。
「あいつは理論が分かっていない!」といっている人は現場を知らないと思われている。


「マーケティング理論なんか机上の空論で役に立たない」と言う人が、例えばコトラーさんだったら、ものすごく深い事を言っているように感じます。結局、教科書に書かれている事「だけ」では現実のビジネスに十分対応できず、理論を応用して自分のビジネス用にカスタマイズする、とか、実行のために関係者の気持ちを慮って施策を打つ、とかそういうたぐいの話になります。
一方、例えば、入社2年目、大した成績も上げていない営業マンが言ったらどうでしょう。
「いやいや、お前はまずちゃんとやろうよ。」となりますよね。


で、多くの場合、最初にこういう議論を言い出す方は、よくよく聞いてみると裏の文脈もちゃんと理解していることが多いように感じます。ただ難しいのはよくよく聞かないと分からない事です。
だから、大抵炎上します。


発信する側のスタンスも勿論重要なのですが、facebookやtwitterが普及してくるにつれて、反応者のスタンスも重要になってくるのでは、と感じ始めています。どういうことかというと、例えば、コトラーさんが上記の発言をした場合、理論擁護者が「あなたは間違っている!」と噛みつくと、噛みついた方が「おいおい、あいつ大丈夫か」と思われることになります。
だから、こういう場合は、一歩引いてみて、「彼がちゃんと知っている、考えているとした場合、どういう意味で言っているのだろうか?」と考えるステップを入れてみてはいかがでしょうか。
私自身もなるべくそう考えるようにしているのですが、これを一回考えることで、「自分が言おうとしている事は蛇足なのか、正当な議論を導くのか」を考えるようになります。

難しいことなのですけど、文章だけでやりとりすることが多くなってきている昨今、こういう発想も重要なのではないでしょうか?