シナプス後藤です。

ちょっとしたイノベーションマニア、のようになっておりますが、「イノベーションのジレンマ」で破壊的イノベーションを提唱したクレイトン・クリステンセン教授の新しい本が出たので早速買ってしまいました。
タイトルにちょっとだけ読む、と書いたとおり、まだ一章しか読んでおりませんが、雑感を、、、(近々に読みたいな、と思っていますが、、、)
イノベーションのDNA 破壊的イノベータの5つのスキル (Harvard Business School Press)
イノベーションのDNA 破壊的イノベータの5つのスキル (Harvard Business School Press)

クリステンセン教授の今までのシリーズは、経営戦略としてのイノベーションの実践と、破壊的イノベーションへの対抗、というような切り口で書いていたように思います。それが今回は一変して「イノベーター」(イノベーションを起こす人)に焦点を当てます。個人としてのイノベーションの能力がどこにあるのか?

私自身は、イノベーションを「新しいものの見方や考え方で市場で成功すること」と定義しています。ここには二つの要素があり、「新しいものの見方や考え方ができる」という創造力に関することと、「市場で成功する」という実行力に関することが組み合わさっている、と言う事です。
この中でもイノベーターの特徴的な要素は創造力の部分にあります。この創造力について、こう書かれています。

一般に、新しいアイデアを生み出す能力は、純粋に認知的なスキル、つまり頭の中だけで完結するスキルだと思われている。しかしわれわれの研究は、革新的なアイデアを生み出す能力が、知性だけではなく、行動によっても決まる、という重要な洞察を示している。これは誰にとっても喜ばしい知らせだ。誰でも行動を変えることで、創造的な影響力をますます発揮できるのだから。


一般的に経営理論と言うのは、「一部の天才だけが為し得ること」という考え方に依りません。優れた示唆と言うのは、「誰でもやれば出来る」という事を解明することです。この本も、イノベーターになるのは才能ではない、行動である、と述べています。

上記で、「新しいものの見方や考え方ができる」と書きました。はっきり言って、それこそ天才でもなければ自分の中から勝手に「新しいものの見方」が出てくることはないでしょう。我々凡人は自ら生み出す事が出来ない、と考えた方が良いのです。ではどうするか?そう、どれだけ、自分が知らないモノに触れられるか、つまりどれだけ行動するかに依存する、と言う事です。
それがなぜ新しいものの見方や考え方になるかと言うと、組み合わせはオリジナリティが高い可能性が高いからです。違うものの見方ができる人が10人いたとします。AさんがBさんの見方を真似てもオリジナリティはありません、が、AさんとBさんの見方を組み合わせるとオリジナリティができます。つまり、10人いれば、90通り(重複除いて)の見方が出来るのです。

イノベーターと呼ばれる人たちはこの新しい組み合わせの発見を行動によってになっている、と言う事なのかもしれません。

一方で、悲しい事実も書かれています。

イノベーティブな企業は必ずといっていいほど、イノベーティブなリーダーが統率している。もう一度言おう。イノベーティブな企業はほぼ必ず、イノベーティブなリーダーが陣頭指揮を執っている。


つまり、「イノベーションを起こせ」という人がイノベーティブでなければ、多くの場合イノベーションは起きない、という事です。

まだ全てを読んでいないので上記の解が書かれているかは分からないのですが、個人的にはそんなことはないだろう、というのが実感値です。イノベーションの管理は失敗の管理、ではありますが、管理可能だと思います。イノベーターをマネジメントする、というような形になるのかもしれません。

第一章を読んだレベルで感じる全体のまとめは恐らく次の点でしょう。
革新的なビジネスアイディアには、(1) 勇気、(2)行動的スキル、(3)認知的スキル、が必要である、という三つです。
(1) 勇気
 イノベーションは新しいものの見方や考え方であるので、「現状とは違う」と言わなければいけない、という勇気が必要です。また、特に新規事業のようなものは元々成功率が低いので、「リスクを取って」チャレンジする勇気が必要です。

(2) 行動的スキル
 行動的スキルには4つある、と言います。それが(a) 質問力、(b)観察力、(c)ネットワーク力、(d)実験力、です。
 (a) 質問力:現状を否定し、本質的な問いを発する力ですね。前提を疑う力、といっても良いかもしれません。
 (b) 観察力:世の中を広く見渡し、新しいモノを見ながらヒントを発見する、その力です。
 (c) ネットワーク力:いわゆる、人脈、ですね。新しいものの見方を他者に求めるなら紹介が一番です。
 (d) 実験力:プロトタイプやモックアップ等、とにかく早く形にすることで、よりアイディアを具体化させるアプローチです。
 これらは、全て新しいものの見方の切り口をいかに早く、効率的に発見するか、という事ではないかと思います。

(3) 認知的スキル
 そして、三つ目が認知的スキル、すなわち、見たものを組み合わせる能力です。それが誰にも発見できないものであればあるほど、そのアイディアがイノベーティブである、ということです。


なかなか学ぶべきところがありそうなので、もう少し読み進めてみようかと思います。

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