シナプス後藤です。

今週の南極物語はなかなか厳しい話でしたね。ついに、倉持(木村拓哉さん演)の悲願であったボツンヌーテンへのチャレンジです。

TBS 日曜劇場「南極大陸」
ドラマ「南極大陸」を見て時代について考える
南極大陸にみるリーダーシップ
南極大陸で考える重い組織
南極大陸で考える創造的な組織

今回は、堺雅人さん演じている、いつも冷静で憎まれ役の氷室について考えたいと思います。

南極のような厳しい状況で、チームが結束力を持ち始めると、常に「間違った方向に全員が納得して動いていく」リスクが存在します。たとえば、ボツンヌーテンの登頂というような世界初の試み、中心人物である倉持の夢だったりすると、誰もがマイナス面を考えずに「チャレンジするべきだ!」という思考に向かって行きます。平常時はそれほど問題にならなくても、このような状況で全員が間違えると、チーム自体が全滅の恐れもあります。それほどの危険性がある状況なのですから、そんな時には誰かが、「それはおかしい」という異論を投げかけるべきではないでしょうか?

悪魔の代弁者、とはディベートのテクニックの一つで、多数派や正論に対して、敢えて反対する人の事を指します。グループの空気がイケイケになっている場合等、支配的な空気がある場合、全員が同じ方向に向かっている、と言うのは危機的な状況です。正しい方向に全員が向かっていれば結果的に問題ないのですが、全員が間違っている可能性だってあるわけです。そういう時、「正しい議論を経て」結論を導く必要があります。
そんな時に重要になってくるのが異なる意見です。たとえ、反論自体は間違っていたとしても、反論されることによって、全員が「これで本当に良いのか?」と考えることになります。方向性はあっているにしても各論が甘い事はいくらでもあります。そういった時に、悪魔の代弁者がいることによって、多面的に考えることになり、よりよい方向性に向かう事ができるわけです。


氷室は、ドラマの全体の流れから見ると、単なるひねくれやの側面もありますが、それだけでなく敢えて反論しているような雰囲気も有ります。分かっていてやっているのでしょうね。

勿論、やり過ぎはチーム全体の空気を悪くしますし、悪魔の代弁者本人が全員から反発を受ける可能性もあります。ですので、例えば、
「敢えて反対すると」
「悪魔の代弁者として言ってみると」
等、前置きを置くのも一つの選択肢ですね。
ファシリテーターとして立つならば覚えておきたいスキルの一つだと思います。


それにしても、その氷室の行方が気になります。来週もまだまだ楽しみです。