シナプス後藤です。

最近、「創発的」と言う言葉を目にすることが多くなってきた印象があります。私がそういった資料しか見ないだけからかもしれませんが。

創発的戦略、とは簡単に言えば、やってみて徐々に戦略が形になっていく、というスタイルで現場主導的、ボトムアップ的なやり方に近いものです。
それの対義語として、計画的戦略があります。これは、「事前にガチッとした戦略を組み立て、それに併せて実行していく」というスタイルです。もともと、多くの戦略論はこのアプローチ、スタンスを取っているように記述されて、多くの企業の戦略部隊(経営企画室など)や、我々のようなコンサルタントが関わった場合、計画的戦略になるケースが多くなります。

どちらが良い、悪い、という事ではなく、両方ともやるべき、と言うのが最近の結論だと思いますが、タイトルに書いた通り「今、創発的戦略が重要」と思っています、特に、日本では。


創発的戦略の肝は、「やってみて、現場の状況に併せて戦略を変えていって適したものを作っていく」という状況認識の変化や環境の変化に適応しながら進める、というスタイルです。言い換えれば、PDCAを回すことを前提にしている、ということですね。
なぜ、今、重要かと言うと、二つのキーワードが有ります。
1) 昔と違う
2) 変化のスピードが早い
日本という国家が成熟化し、リーマンショックがおこり、地震が起こると、日本と言う環境が成長していた時代とは大きく変わっています。一方で、特に大企業は昔からの情報の蓄積が有り(それが競争優位の源泉でもあるのですが)、前提が変わっていないケースもあります。ですので、やってみたら昔と状況認識が異なっていた、という事はざらにあります。
また、変化のスピードがとても早い。特に、ネット上の情報共有のスピードが物理的なスピードだけでなく情報拡散のスピードもかなり早くなっています。twitterやfacebookなど、個人が情報交換の媒体になることでより拡散スピードがアップしているのでしょうね。

そういう環境下ですから、「計画的に戦略を組み立て実行する」というスタイルだけだと難しいのです。以前、映画「ベン・ハー」の中で、皇帝が「かくのごとく記録し、実行せよ」という台詞を好んで使っていましたが、いまやかくのごとく記録しても、実行する段には、もう記録した状況とは異なってしまう、という事なのかもしれません。

創発的戦略の肝は「やってみて適したものを作っていく」のが肝、と書きました。言い換えれば、早めに「やってみる」ことが重要です。ただ、早めにやってみるという事は、成功確率は当然低くなります。しかし、それで良いのです。最初から成功を期待するのではなく、失敗は成功の素、と捉えてとにかく失敗を繰り返して成長させていくプロセスが重要なのだと思います。

結局、いかに、「小さな失敗が出来る環境を作るか?」、それが創発的戦略の第一歩ですね。

計画的戦略は重要です。しっかり環境分析をし、状況を理解した上で勝てる戦略を作り、戦略に併せて実行していく。創発的戦略をやるにしても、仮説立てのために計画を立てる必要があります。
ただ、100%出来るまで待っている事に意味がないのも事実です。8割でも出来たら、すばやくGoをかける。

結局、そんなマインドがリーダーに求められるのかもしれませんね。