プロダクト三層モデルは、製品の三つのレベルをあらわしたもので、商品の企画する際にはこの三つの観点から組み立てる必要がある、と言うものです。
1) 製品の中核
2) 製品の実体
3) 製品の付随機能

プロダクト3層モデル

1) 製品の中核
 製品の中核とは、その製品が提供する顧客に対する価値、ベネフィットです。例えば、携帯電話で言えば、電話機能の主要価値、つまり「話す」「コミュニケーションする」ということを中心として、ネットなどの「情報提供」等があります。

2) 製品の実体
 製品の実体は、[1]パッケージ、[2]ブランド、[3]品質水準、[4]デザイン、[5]特徴、の5つから構成されています。携帯電話の場合は、あまりパッケージそのものが見られる事はありませんが、テレビやデジタルカメラのブランドを冠した携帯電話や、「デザインケータイ」、更には持っている機能や通話の品質(エリア)等、様々な要素から構成されていますね。

3) 製品の付随機能
 付随機能とは、製品そのもの以外のサービスです。顧客は、携帯電話端末とその機能だけでなく、例えば、困ったときのアフターサービスや、壊れた時の保証等も気にしています。例えば、電池の寿命切れのときの無償交換や、クレジットカードによる支払いなども顧客にとっては重要な付随機能と位置づけられます。

つまり、商品の企画者は、中核のベネフィットを満たすために、有形、無形のサービスを組み合わせて製品を作らなければならない、という事です。

さて、携帯電話は、文字通り「電話」から始まりました。ですので、製品の中核は「話す」もう少し言うと、「電話する」という形式的、或いは暗黙的な定義がされていたのではないでしょうか?
電話機として考えると、1-9、*、#のボタンはとても便利なのです。また、耳に当てて口で話す、という形状も実際的にも今までの使用方法からも非常に便利だと思います。つまり、携帯電話は、あくまでも、「移動時に携帯して持ち歩くための『電話』」だったのです。
一方で、Appleが発売したiPhoneは、電話ではなく、iPod + Phone + Internet communicator(※)と位置づけていました。つまり、「音楽を楽しみ、会話を楽しみ、情報を取得する」という三つの価値を中核に位置付けていた(※※)、ということだと想像されます。結局、ベースが電話ではないので、11個のボタンという呪縛から離れてマルチタッチへ行き着いたのではないでしょうか?


上記は勿論仮説ですが、ただ、自分たちが扱っている製品を改めてプロダクト三層モデルに当てはめてみると、今まで暗黙的に定義していた商品価値が明らかになるかもしれません。

※Macworld San Francisco 2007におけるSteve Jobs氏 基調講演より
※※iphoneより前のスマートフォンは、スタイラスやキーボードを搭載したものがありましたが、上記基調講演では、「簡単に使える」という事も価値に挙げています。