商品を作るときに最初に決めるべきは、商品コンセプトです。商品コンセプトが弱いと、機能がどれだけ優れていたとしても、顧客に価値が伝わらず、結局「メーカーの独りよがり」で終わってしまいます。

商品コンセプトとは、
・誰のための商品か?
・どんなシーンで利用されるか?
・どんなベネフィットがあるか?

の3つから成り立っています。

例えば、森永製菓のウイダーinゼリーは、CMを見ると商品コンセプトがとても分かりやすいですね。
結構前の話になりますが、私が一番最初に印象的に感じたのは、木村拓哉さんがスーツを着て走りながら飲んで(?)いるシーンです。これは、
・若いビジネスマンが、
・急いでいて時間のない時に
・すばやくエネルギー補給できる
というコンセプトですね。

少し前だと、山下智久さんが、不思議な体操をしたり、水鉄砲で撃たれたり、というCMでしたね。こちらも、やはりスーツなのですよね。

そして、最近では、新しいCMになったようです。
ウイダーCM紹介サイト(森永製菓株式会社)

プレゼンベースボール編と、就活卓球編がありますね。「急いでいる」シーンではなく、勝負時のシーンに変わりましたね。そして、就活卓球編では、ついに、女性の登場です。

これは単なるコンセプトチェンジ、というよりも、スポーツ・アスリートから、「忙しい朝のビジネスマン」というターゲットに広げたのに追加して、更に、「勝負時のビジネスパーソン」に拡大した、という事なのだと思います。
女性は就活なので、「学生」ですが。

さて、商品コンセプトを決めるアプローチには様々ありますが、大きく、マーケットインとプロダクトアウトがあります。
マーケットイン・アプローチでは、最初に顧客のニーズをリサーチし、そのニーズに合わせたコンセプトを作成します。リサーチのやり方としては、アンケートや、フォーカスグループインタビュー、デプスインタビューなど様々なやり方がありますが、いずれも、「顧客が今、どんなことに困っているか?」を確認することで商品コンセプトを決定します。

一方で、プロダクトアウト・アプローチは、顧客が真に求めているものを想像しながら作り上げることが求められます。具体的なアプローチとしては、顧客の行動や商品が利用されているところを見ながら、「本来あるべき姿」を考えたり、技術的に達成できることから、新たに提供できる価値を考えるなどのやり方があります。最近、プロダクトアウトのアプローチがフォーカスされることが増えてきていますが、これは日本のような成熟した市場においては、顧客が気付いているニーズのうち、有望なものは殆ど取り組まれてしまっており、大きく売上が増えないことが原因と考えられます。こういった状況下では、まだ顧客が気付いていない価値を、プロダクトアウト的に考えることが望まれます。

どちらが良い悪い、と言うことはありませんが、いずれのアプローチも顧客が欲しがるような魅力的な商品コンセプトを作る事が求められます。いずれにしても、商品コンセプトの至上命題は「顧客に価値を提供すること」です。それを忘れては、ただ顧客の声を聞いただけの改悪商品や、メーカーの独りよがりの商品が出来上がってしまいます。


商品コンセプトを学びたい方はこちら: 「マーケティング・ベーシックス」