株式会社ユニヘアーが、社名を「アデランス」に変更する、というニュースがありました。

もともとは、女性向けウィッグを取り扱っているフォンテーヌを吸収合併した際に、総合毛髪関連企業のグローバル No.1を目指すため、ユニバーサル・ヘアーの意味を込めての社名変更だったようです。

ユニヘアー社のプレスリリース
平成 22 年 9 月 1 日 「吸収合併による会社統合と株式会社ユニヘアーへの商号変更のお知らせ」
平成 23 年 4 月 6 日 「商号の変更及び定款の変更に関するお知らせ」

先日、「福島について思うこと」で、ブランドとは、認知×知覚品質 と書きました。
今回の社名変更は、きわめて単純化すれば、
・認知が高く、戦略方針に合致した知覚品質を作りにくい「アデランス」
・認知が低く、戦略方針に合致した知覚品質が作れる「ユニヘアー」
のどちらを取るか?という意思決定だったように思います。
ニュースなどを見ると、社名変更が業績回復に寄与しなかったため、戻したという事ですが、この方針は「短期的に業績を回復したい」という事の現れでしょう。

元々の戦略の意図は、「グローバル」で「総合毛髪関連企業」を目指す、という二つの目標がありました。
なので、ユニバーサルでヘアーな企業、というイメージが売り込みやすい、という判断をしたのだと思いますが、一方で、現在の業績はやはりもともと中核ブランドであるアデランスがメインですから、短期的に見れば「アデランス」押しがやりやすいのも事実でしょう。(※)
恐らく、社員が名刺交換をする際にユニヘアーの名刺を出す際、殆どの方が「アデランスの会社です」と言いながら渡していたのではないでしょうか?
(※:IR上はフォンテーヌの方が売上が大きいのですが、元々アデランスブランドの女性向け商品の売上がフォンテーヌに統合されたようです。)

一方で、以前からスティール・パートナーズやユニゾンなど、ファンドが関わったプロキシーファイト(株主による議決権争奪)等の話もありましたから、株主から業績に対する圧力がかかっていた、という事があるのでしょう。
決め手としては、創業者の1人が社長に戻った、という事で、元のアデランスに社名を戻すという選択肢が上がってきた、というところなのでしょうね。

私の感覚ですが、ADERANS(男性向け)、FONTAINE(女性向け)という所謂マルチ・ブランド戦略を取っていますので、社名がどちらになろうとも消費者向けには短期的に大きな影響は無いだろう、と思います。ただ、想像になりますが、特に元々「アデランスブランドの女性向け商品」の部分で、流通チャネルの対応が悪くなるなどの影響があったのでは、と思います。


いずれにしても、消費者向けに謳っているADERANS(男性向け)、FONTAINE(女性向け)の両ブランドは変えないようなので、まずは社内向けのアピールではないか、という気もします。
どちらの選択肢もアリとは思いますが、ブランド戦略は時間がかかるものなので、いずれにしても「やりきる」という意志が重要です。「傷が浅いうちに元に戻した」という意味では良いことかもしれませんが、何回も出来ることではないので、この路線でもとにかく推し進める、という事が重要でしょうね。