「マーケティング戦略」と言ったときに、決めなければいけないポイントはいくつかありますが、最低限次の二つは決めておきたいものです。
・ターゲット顧客は誰か?
・何を訴求するか?

なぜこの二つを決めておかなければいけないのか?
大きく二つあります。
1) 競争環境に置かれているから
2) 資源は有限だから

基本的には1)の理由が全てではありますが、補足として2)があります。
特に最近は、世の中が成熟してきているため、ほとんどの業界で競争がかなり激しくなっています。そうなると、同じような製品が出てきますので、より特化する方が顧客に選ばれやすくなる、という傾向が強くなります。例えば、「誰でも使えます」と言うよりも、「30歳になったばかりの男性用です」と言った方がその近辺の男性は選びやすいですよね。もちろん、それ以外の年齢の方や、女性はほぼ買わなくなります。
成熟業界になる、ということは、「それ以外の年齢向け」「女性向け」の製品がそれぞれ別の企業から出されている、ということでもあります。(正確に言うと、特定セグメント向けの製品で、デモグラフィックだけで切ったセグメントだけではなくなります。)
特に成熟業界において勝っていくためには、いかにその顧客にマッチしたものを出していくか、ということが重要になりますが、その観点ではターゲットを絞れば絞るほど、ニーズを特定しやすい、ということになります。

それならば、あらゆる層に併せてカスタマイズしていけば、という意見が出ますが、それが2)の話です。
全ての企業において、ヒト・モノ・カネの経営資源は有限です。他社に比較して相当の資源差があれば別ですが(いわゆる圧倒的リーダーが一社だけの状態)、そうでない場合には全てのセグメントに投下する資源はありません。

規模の経済、範囲の経済の議論をおいておけば、一つのセグメントでの競争は、そこにどれだけの資源を投下したか、に大きく影響を受けます。従って、持っている資源をなるべく分散せずに投下した方が競争は有利になるのです。

よく、戦略は「選択と集中」、つまり言いかえれば、「捨てること」が重要、と言います。勝てないセグメントを捨てなければ、資源を集中できず、本来勝てる市場すら落とすことになりかねないからです。

一方で、「何を訴求するか?」が重要なのは、顧客に対して他社との差別性を明確にするためです。同一セグメントであっても若干ずつ趣向が違うため、様々なタイプの顧客が存在します。あるセグメントで同一ニーズを持っていたとしても、様々な要素によってKBFの優先順位が異なるケースがあります。例えば、「おいしいものを食べたい」というニーズを持つ人がいたとして、KBFが「味」だったとしても、それ以外に「見た目重視」「雰囲気重視」「価格重視」など、2番目に重要なポイントは変わってきます。
何を訴求するかによって、そのセグメントでの地位は変わってきます。少なくとも、訴求ポイントが無ければ、いかにセグメントを絞ったとしても、顧客にとっては、「他の有象無象」と同じに見えても仕方が無いでしょう。

マーケティング戦略の定義はいろいろとありますが、少なくとも最低限、ターゲットと訴求点は決めておきたいものです。