PEST分析、とは、マーケティング環境を分析するフレームワークの一つで、特に、マクロ環境を整理するための視点を提供するものです。
それぞれ、Political(政治)、Economical(経済)、Social(社会)、Technological(技術)の頭文字を取っています。

実務上、ほとんどの企業、ほとんどの担当者はここまで大きな話はコントロールできないため、意識しないことも多いのですが、実際にはビジネスにおいて、これらが業界に与える影響は大きなものです。業界の競争ルールは、これらのマクロ環境に依存する部分も多く、マクロ環境が変化する時に、大きく業界のルールが変わることが多いようです。
例えば、タバコの購入にtaspoが必要になったため、コンビニの需要が急激に上がりました。一方で、自動販売機というチャネルの市場規模はかなり下がったはずです。
経済的には、2010年現在はデフレ傾向にありますから、低価格のプレイヤーが元気が良いように見えます。
このように、マクロ環境が与える影響をつかんでおくと、大きな方向性を誤る可能性が下がります。

さて、PEST分析は、次の観点で分析します。
P:Political
 法規制や政府の方針等をチェックします。医療業界や通信業界など、法制度に縛られている部分が大きな業界では当たり前のようにチェックしていることと思います。
 また、グローバルの視点で考えるのであれば、資本主義、社会主義や、国家の方針、国内でも、政党の方針などもここでチェックします。
E:Economical
 マーケットの経済水準や所得の変化、為替の状況などをチェックします。
S:Social
 社会の価値観や習慣、人口動態などをチェックします。
T:Technological
 技術動向についてチェックします。

P.コトラーは、「マーケティング・マネジメント ミレニアム版」の中では、上記に追加して、「人口動態」「自然」の二つを追加しています。が、Sに混ぜてしまっても問題ないと思います。このフレームワークの重要な点はヌケモレをなくすことにあるので、ヌケモレなければ問題ありません。

PEST分析は、それぞれの項目をチェックするだけでなく、それぞれの関連性を見るとより全体の構造が分かりやすくなります。
例えば、携帯電話を例に取ってみます。もともとは、通信技術や携帯電話端末を小さくする技術、バッテリー技術等、様々な技術が積み重なって携帯電話が今のような形になりました。これは、携帯電話市場の拡大とともに、より洗練されていきます。この携帯電話市場は、総務省によって、通信法が定められており、取り扱えるキャリア(NTTドコモ、au、ソフトバンク、等)が認可制です。通信においてはNTTがかなりのシェアを押さえており、認可制のため、海外企業の参入も遅かったため、独自技術により仕様が出来上がりました。日本は、経済水準が高いため、市場規模として成り立ちやすい、とはよく言われます。政治的に通信などを開放しない、というスタンスがあるだけでなく、十分な市場規模を確保できるため、キャリアが生き残れる、という側面もあります。
一方で、携帯電話は、社会的価値観が核家族化、さらには、個人化していく中で支持を受けていきました。携帯電話の拡大が、それを増長させた、という側面もあります。

というように、様々な事柄が関連しながら、業界に影響を与えていきます。P、E、S、Tの各項目だけでなく、全体のつながりを見ながら今後の業界動向を予測してみてください。

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